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虎の子の退職金の額を7割が知らないシニア大国日本。このままで老後破綻を防げるのか?=川畑明美

「高齢者の金融リテラシー調査」で、退職金の金額を知らなかった人が約7割もいたという衝撃の事実が判明しました。この7割の人は、老後生活が始まって初めて資金が足りないことに気づきます。老後破綻を防ぐために、自分の退職金の金額を今すぐ調べるようにしましょう。(『教育貧困にならないために』川畑明美)

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プロフィール:川畑明美(かわばた あけみ)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。

約7割が退職金の金額を知らない

「住宅ローンの返済と子ども達の教育費のために必死に働き退職後は、のんびり旅行に行きたいと思っていました。

ところが退職金をもらって、老後に必要なお金を計算してみたら、生活はできるけれど旅行に行くお金なんかなかったのです」

このようにご相談をいただいて少しビックリしました。

退職金がいくらなのか、計算をしていなかったのでしょうか?

気になって調べてみるとフィデリティ退職・投資教育研究所が調査した

高齢者の金融リテラシー調査』によると退職金の金額をもらうまで知らなかった人は31.6%もいるのです。

続いて定年退職前の半年以内が20.3%、覚えていないいないという方も19.9%います。

覚えていないという方も「知らない」に含めると約7割の方が退職金の金額を知らないのです。

退職金の計算は就業規則に掲載してある

退職金は、大切な老後資金ですから「知らなかった」では定年後に不足するお金がわからない状態なのです。

冒頭にご質問された方のように多くの人が退職金の計算をしていないことが分かりました。

退職金の計算は、就業規則に掲載してあります。

正確ではなくても、およそ退職金がいくらになるのかは計算しておくべきです。

そうでないと、老後資金の不足額がわからず準備もできないまま、現役を終えてしまいます。

Next: 老後の生活費が不足することもある再雇用



再雇用から老後資金の準備は難しい

再雇用で働けると言っても、退職時の給料の50~70%程度です。

ここから老後資金を準備するのはかなり無理があります。

ご質問いただいた方は、退職金で生活費は、なんとか確保できそうでしたのでまだ良かった方なのです。

退職金があっても、老後の生活費が不足する方は多いのです。

退職金を知ることで資産運用のリスクを取れる

遅くとも40歳代には退職金の計算をしておきましょう。

早くから把握していれば、ある程度のリスクをとった運用をして少ない資金で準備することができます。

ただし50歳代からでは間に合わないということではありません。

10年あれば、まだリスクを取ることも可能です。

ただ残念なことに、退職金をもらってからでは

リスクはあまり取れなくなってしまいます。

今すぐ、退職金の計算をしてくださいね。

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image by:takayuki / Shutterstock.com

教育貧困にならないために』(2022年7月26日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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