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台湾有事も追い風。地政学リスク拡大で鉄鋼・海運関連株は波高き好調相場の第二幕へ=菅下清廣

米国ナンバー3であるペロシ米国下院議長の台湾訪問の「強行」に反発し、中国は今にも台湾に攻め込む姿勢の演習を開始した。ヨーロッパに続き、北東アジアでも有事の危険性が高まった。これらの事態を受け、元々好調だった日本の鉄鋼・海運関連株に、さらなる追い風が吹いている。(『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』菅下清廣)

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※本記事は『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』2022年8月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:菅下清廣(すがした きよひろ)
国際金融コンサルタント、投資家、経済評論家、スガシタパートナーズ株式会社代表取締役、学校法人立命館顧問 近畿大学世界経済研究所客員教授。ウォール街での経験を生かした独自の視点で相場を先読みし、日本と世界経済の未来を次々と的中させてきた「富のスペシャリスト」として名を馳せている。「経済の千里眼」との異名も。著書に『今こそ「お金」の教養を身につけなさい』ほか多数。

急上昇する北東アジアの地政学リスク

8月3日、注目のペロシ米国下院議長の台湾訪問「強行」によって、にわかに北東アジアの地政学リスクは急上昇している。中国は主権侵害と今も強烈に非難を続けている。中国はすぐさま台湾領土内にも踏み込むような軍事演習で圧力をかけている。

なぜ、この時期にペロシ米国下院議長が訪台したのかはわからないが、米国の事実上ナンバー3が台湾有事には米軍が介入すると宣言したに等しい。

台湾を自国の領土とみなしている中国にとっては、一歩も譲れないという立場のため、内外になんらかの反撃、報復を行動で示さなければならない。それが台湾封じ込め軍事演習だ。

一方ウクライナ戦争では、欧米の支援を受けたウクライナ軍とロシア軍の激戦が続いている。ロシアはさかんに欧米の武器供与をけん制している。

中国、ロシアにとって、米国はまさに、不倶戴天の敵。ロシアも中国も、ウクライナ、台湾は、それぞれの生命線として、それを侵犯するモノとは一戦を交える覚悟があるように見えるが、果してどうであろうか?

ペロシ訪台で、台湾有事も現実味を帯び始めている。

今の世界情勢をひと言でいえば、日米欧と中国、ロシアとの対立は次第に、一触即発の状況に向かいつつある。

時あたかも、岸田首相は大方の意表をついて、8月10日に内閣改造、役員人事を実施して人心一新に着手する。なぜなら、外にウクライナ戦争、台湾有事、内に統一教会問題、国葬の是非など内憂外患に直面しているからだ。

特に、ロシア、中国からの軍事的脅威が迫っている。そのため、新内閣では、岸田首相がバイデン米国大統領に約束した防衛予算の大幅増によって、防衛力の強化が急務となる。

強い投資テーマは有事の「鉄と鉛」

以上のような内外の流れから、東京株式市場では「鉄と船」が有力な投資テーマとして浮上。

ウクライナ戦争の長期化、台湾有事の想定などによって、株式市場では海運株、鉄鋼株がすでに人気化している。以前、この稿でも解説したように、第一次世界大戦当時のような特需ブームがすでに起り始めている。

海運株は船賃の高騰や円安が追い風になっている。鉄鋼株は言うまでもなく、いかなる戦時においても需要急増となるのが必定。今や、海運企業も鉄鋼産業も超繁忙となって業績様変りだ。

強気相場のオンパレードが続く海運・鉄鋼株

2022年7月21日に日本郵船<9101>、商船三井<9104>川崎汽船<9107・東プ>の海運大手3社が、通期の業績予想を大幅上方修正を発表したのをきっかけに、海運株が軒並み高となって、今も海運株オンパレードの強気相場が続いている。

日本郵船は9月に1対3の株式分割、川崎汽船も10月に1対3の株式分割と、それぞれ中間配当を発表している。

鉄鋼株も日本製鉄<5401>を筆頭に、業績見通しが絶好調。先週末、8月5日は日本製鉄は上にマドをあけて高寄りして160円高、プラス8.31%の2,085円で引けている。

日足チャートを見ると、1月、3月、6月に2300円近辺が壁となってトリプルトップで天井形成しているので、この2,300円近辺の壁を突破するとストップ高とかになるのではないだろうか?

日本製鉄<5401> 日足(SBI証券提供)

すでに中山製鋼所<5408>のような中堅鉄鋼企業が、8月4日の大引け後に決算を発表。

2023年3月期第1四半期(4-6月)の連結経常利益が、前年同期比4.3倍の33億円に急拡大した。あわせて、通期の同利益を従来予想の60億円から110億円(前期は66億5,000万円)
に83.3%上方修正し、一転して65.3%の増益見通しとなった。

同時に、4-9月期(上期)の同利益を、従来予想の20億円から70億円(前年同期は20億6,000万円)に3.5倍上方修正し、一転して3.4倍の増益見通しとなった。

この発表を受けて翌8月5日の中山製鋼所の株価は寄り付きから上にマドをあけて急騰、80円高のプラス17.20%の545円、ストップ高気配で引けた。それでも予想配当利回りは4.22%と高利回り。前述の日本製鉄の配当利回り(予想)は7.33%。

中山製鋼所<5408> 日足(SBI証券提供)

好業績、高利回りの鉄鋼株や海運株に個人マネーが大挙流入しているのではないかと思われる。

その他、大阪チタニウムテクノロジーズ<5726>も、先週末5日は503円高のプラス18.31%でストップ高、年初来高値を更新して、3,250円で引けている。

戦闘機に使う高度なチタン製造会社は世界に4社しかない。そのうち2社が、日本の大阪チタニウムテクノロジーズと東邦チタニウム<5727>。残りの2社はロシアのメーカーということで、欧米の企業はロシア排除に動いているから、日本の2社に注文殺到しているらしい。

以上のように防衛関連、資源関連に余剰資金が流入して、マネーバブル相場の第2幕が始まった。

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第一次世界大戦に酷似するウクライナ戦争

あのフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッドの近著『第三次世界大戦はもう始まっている』文春新書の中でも第4章、133ページで、今回のウクライナ戦争は「第二次世界大戦より第一次世界大戦に似ている」と解説している。

第一次世界大戦も、まさに今回と同じようにヨーロッパを戦場にして、欧州をことごとく破壊して終戦した。

その結果、戦場から遠く離れていた米国や日本に恩恵をもたらした。それまで世界の覇権国であった大英帝国、パックスブリタニカからパックスアメリカーナ、米国の時代へと移行する転換点となったのです。

今回のウクライナ戦争によって、新冷戦構造が世界秩序となり、日米欧と中国ロシア北朝鮮との覇権争奪戦が始まっている。

その結果、最悪のシナリオでは、中国、ロシア連合軍とNATO、米国そして日本の自衛隊との軍事的衝突もありうる情勢だ。

まさに世界は弱肉強食の戦国の世の中になろうとしている。

その動乱の時代には「鉄と船」が限りなく重要な産業となって、そのすう勢が戦いの行方を左右することになる。

したがって、今後も海運株、鉄鋼金属株は波高き相場が続きそうだ。

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image by:Dmytro Mikriukov/ Shutterstock.com

経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測”』(2022年8月8日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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