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From 首相官邸ホームページ

頭が悪いのに勉強しない。“アベ化”する世界と日本人の行く先=不破利晴

山口二郎・法政大教授が5月15日の東京新聞、本音のコラムで興味深いことを指摘している。そこから読み取れるのは、世界の潮流はすなわち極右化であり、さらに踏み込んで言えば、世界は“アベ化”しているというのだ。(『インターネット政党が日本を変える!』不破利晴)

単純かつ極めて危険な“アベ化”5つの兆候とは――

安倍首相は永遠の子供である

山口教授の指摘が面白いのは、この“アベ化”なるフレーズを目にしたとき、瞬時に何を言わんとしているか、おおよそ察しがつく点にある。それだけ安倍首相の言動は、悪い意味で単純、かつ極めて危険であるということだ。

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正確には世界はアベ化しているのでなく、世界の基本的な方向性が安倍首相の考えるベクトルとマッチしているから「世界はアベ化している」との指摘も成り立ってしまうのだが、では、このアベ化なる特徴はどのようなものだろうか。

(1)自己愛が極めて強く、自分を正しい・美しいと思い込んでいる。
(2)自分に対する批判や責任追及に対しては一切耳を閉ざし、欠点を直そうとする意欲を持たない。
(3)自分を攻撃するものに対し、過度に攻撃的になる。
(4)敵を攻撃する際には嘘、ねつ造も平気で行い、それらがバレても恥じることがない。

山口教授の指摘は以上の4点に集約されるが、要素が4つというのは何とも締まりが悪いので、教授の指摘にもなかった重要な要素を5番目としてつけ加えたい。

それは──、

(5)基本的に頭が悪いが、それを克服するために勉強しようとする意欲を持たない。

どうだろうか? 安倍首相のキャラクターが端的に5点にまとまったかと思われる。それにしても、こういったキャラクターは普段我々が頻繁に接している人間の“ある典型” を象徴しているように思われる。それは、一体どのような人間と言えば、それはズバリ「子供」である。

そうなのだ、安倍首相の言動は「子供」の言動そのものなのである。しかも、安倍首相のようにセレブな家系に生まれ育った者は俗に“ボンボン”と揶揄されるが、こんな安直なたとえさえ安倍首相に対しては何の違和感もなく大方の世間の人々は納得してしまうのである。

あらためて定義するまでもないが、「安倍首相は子供そのもの」なのである。日本はこのようなボンボンに統治されている、といっても過言ではないのである。

Next: 世界に見る“アベ化”の兆候~ドナルド・トランプ/フランス国民戦線


世界に見る“アベ化”の兆候~ドナルド・トランプの場合

世界は “アベ化” している。

山口教授に言わせれば、日本はアベ化の先頭を走っているという。そして、2番手以降の走者としてアメリカのドナルド・トランプフランスの極右政党・国民戦線を挙げ、あたかも“アベ化三銃士”とでも言いたげである。

確かにドナルド・トランプは分かりやすく、ここで説明する必要性を感じないのだが、それでもトランプについては「計算高い男」というが当初からの評価であり、共和党の大統領候補選出が現実的になったここにきて、その計算高さを徐々に見せつけ始めている。

プロンプターを使っての“まっとうな”演説は、それだけで話題になったし(トランプも成長したもんだ、といったように)、政策も予定調和的に現実味を帯びてきている。

そもそも、トランプが大富豪であるという、一歩間違えれば貧困層からひんしゅくを買いかねない状況(現にヒラリーはひんしゅくを買っているようだが)を上手く政治的にコントロールできる時点で、彼に一定の能力はあると見なすべきなのだ。

選挙戦を自己資金で賄うことでしがらみを払拭し、自由闊達に戦いを展開したのはジョン・F・ケネディ以来ではなかろうか。

当たり前だが、何もトランプがケネディの再来と言いたいわけではない。それにしてもティーパーティー(茶会)と結託したクルーズはブッシュのバージョンアップ版にしか見えなかったし、ルビオに至っては軍産複合体の阿呆な使いパシリでしかなかったというのは情けない限りだ。

そんな中で問題発言を撒き散らしたトランプであったが、それは彼の自由さというより「自在さ」の象徴でもある。それをトランプは大人の戦略で「もう一つのトランプ像」を作り上げたというわけだ。

世界に見る“アベ化”の兆候~フランス国民戦線の場合

フランスの極右政党、国民戦線(フロン・ナショナル:FN)の場合になると、急に事態は複雑になる。山口教授はコラムで、このフロン・ナショナルの幹部が日本の新聞のインタ
ビューにこう答えたと書いている──「自民党こそ自分たちの手本」であると。

そうであれば、国民戦線は自民党の後方を掛けゆく2番手に見えなくもない。しかし、これは単なるリップ・サービスではないにせよ、フランス人特有の理屈っぽさからくるアイロニーだと思われる。

現代フランスを代表する極右政党である国民戦線が設立されたのは1972年のことだが、それでもこの党が国内外から注目されるようになったのは、1980年代も終わろうとしている頃だった。

1988年の大統領選では、当時の党首ジャン=マリ・ル・ペンが14.4%の票を獲得、2012年の大統領選ではジャン=マリの三女、マリーヌ・ル・ペンの得票率は17.9%であった。フランス社会で確実に国民戦線が浸透しているに違いないと思われるものの、急進的な躍進とは言い難い。

党首以下、幹部連も過激な発言を繰り返す国民戦線ではあるが、意外なことに極右政党としての動向は目立たない場面もあり、むしろ見落とされてきた側面もある。この間、反ユダヤ主義である父親と、穏健路線を模索する娘との間に確執が生じ、現在の党首マリーヌ・ル・ペンは、初代党首であったジャン=マリ・ル・ペンを党から除名するといった事件も起きた。

国民戦線を支持するのは、主に労働者階層であると言われており、地域的にはパリの北東部、そして南仏プロバンス地方である。つまり、フランス国境で「コの字型」を描くように支持者の密集が見て取れる。

この地政学的事実は極めて重要であると言える。というのも、このような地理的な配置は、フランス革命の時の革命勢力が跋扈した地域と見事に符合しているからだ。

Next: 国際結婚が多いフランスならではの「移民問題」が火種に



国際結婚が多いフランスならではの「移民問題」が火種に

国民戦線を支持するような労働者階級は、移民たちによって自分の仕事を奪われるのではないかと戦々恐々としていると言われている。だから移民排斥を売りにするような国民戦線を支持するのだと。

その見方は全然誤っていないだろうし、基本的には全くその通りなのだが、これにしても事態はそう単純ではないようだ。

フランスは他のヨーロッパの国々の中でも、とりわけ“異文化コミュニケーション”が盛んな国である。要するに国際結婚が多いということ。この場合の国際とは、文字通りアフリカ、中東といった“非ヨーロッパ”も含まれてのことだ。

そして、先ほどの労働者階級は、その上に位置する中産階級よりも“非ヨーロッパ”を含めた国際結婚の率が高いことは統計上の数値でも明らかなのだ。

これは大きな矛盾である。つまり、誰よりも外国人排斥を訴える層である労働者階級は、同時にそんな外国人と結婚する率も高いのだから。労働者にとって外国人とは敵なのか味方なのか?

フランスに見られる“異文化コミュニケーション”は、ある意味、移民の同化とも受け取れるが、そんな移民が同化できない、同化しようとしなかった場合、由々しき事態となる。

フランスの国家としてのコンセプトは、「自由」「平等」「博愛」のトリコロールであった。ところが、ここに人権に関するロジックのぐらつきが発生する。

つまり、世界中の人間が同じで平等であるならば、フランスにやって来てフランス人と同じような行動をしない(同化しない)移民は、「そんな連中はもはや人間ではない」という理屈が成り立ってしまうという恐ろしさだ。このことは昨今フランスを震撼とさせた当時多発テロに対する、フランス人の受け止め方にも通底するものがありそうだ。

フランス同時多発テロにおいてよく言われるのが、イスラム教という宗教的な問題である。ドナルド・トランプは「すべてのイスラム教徒がテロリストではないが、テロリストはすべてイスラム教徒である」と言ったとか。

ここでも「欧米社会 VS イスラム教」といった対立構図で人々は安心しようとするが、それは現実に即していない。国民戦線を支持し、移民を蔑視し排除しようとする階層が、無意識のうちに最も問題視しているのは移民の生活行動・生活様式であるはずだからだ。

Next: 自民党は世界的右傾化の「トップランナー」たり得るか



自民党は世界的右傾化の「トップランナー」たり得るか

自民党はヨーロッパでは“極右”として紹介されることも多々あるが、では、そんな自民党を支持する階層はこれまでどのように分析されてきただろうか。

フランスの極右政党・国民戦線はその動態や支持者の嗜好が複雑な状況を生み出し、それはテロをも誘発するほどの事態になったにせよ、一つの社会学的見地の面からは重要なモチーフを我々に与えてくれそうだ。

その一方、自民党はその主張や支持者の動向一つとっても極めて表層的で、つまるところ創価学会というメガ新興宗教の組織票でしか語れないとするならば、果たして世界的右傾化気分のトップランナーと言えるだろうか。(続く)

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インターネット政党が日本を変える!』(2016年5月17日号)より
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「あなたにとってハッピーな世の中とは、どのようなものですか?」驚かせてすみません。私は不破利晴と申します。私は、元駐レバノン特命全権大使・天木直人氏と共に、「インターネット政党」の成功に向けて活動しています。インターネット政党『新党憲法9条』のWebサイトをつくり、日々の運用管理をしています。想像して欲しいことがあります。→「毎日働き詰めで辛くありませんか?」→「生きることに目的を見失って辛くありませんか?」→「あなたにとってハッピーな世の中とは、どのようなものですか?」インターネット政党の主役は「あなた」です。

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