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安倍元首相、消費税3%分をバラマキ外交。消費税の黒歴史を上塗りする“インボイス制度”の闇=神樹兵輔

2023年10月に、売上1,000万円以下の事業者にも消費税を負担させる「インボイス制度」が導入されます。財務省はこの制度の導入により、2,480億の増税を見込んでおります。弱者イジメの消費税がアップする一方で、安倍元首相は毎年、海外に消費税3%分ものプレゼントを送っていましたが、その成果は…。増税する前にやるべきことがあるのではないでしょうか。神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』)

※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2022年10月3日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:神樹兵輔(かみき へいすけ)
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

“インボイス制度”で国民の1割にさらなる課税

みなさま、こんにちは。

「衰退ニッポンの暗黒地図」をお届けするマネーアナリストの神樹兵輔(かみき・へいすけ)です。

今回のテーマは、消費税とその関連制度についてです。

来年10月、これまで「益税」を可能とさせてきた年間売上1,000万円以下の事業者にも、消費税を納めさせることを意味する「インボイス制度」が導入されます。

これによって、今まで1,000万円以下の売上だから、消費税の免税業者を今後も続ける…ということが適わなくなりそうです。

財務省は、このインボイス制度導入で、売上が1,000万円に満たなくても、課税業者への登録が増え、1社あたり15万4,000円の負担増となり、少なくとも2,480億円の増税になると試算しています。零細事業者の「益税分」を吐き出させるわけです。

全国に70万人の会員がいるとされる自治体高齢者のシルバ─人材センター登録の人までが対象となります。

いやはや何だかんだと、国民の1割もの人たちに影響を及ぼしかねないインボイスという厄介至極の制度導入というわけなのです。

なぜ消費税が導入され、次々と税率が上がってきたのか?

慢性的な財政赤字に悩んだ政府は、1989年4月に3%の消費税(うち1%は地方消費税)を導入、さらに97年4月から5%(うち1%は地方)に税率をアップしました。

また、2014年4月からは8%(うち1.7%は地方)に税率をアップし、その後2度にわたって時期を延期しましたが、2019年10月からは10%(うち2.2%は地方)に引き上げました。

消費税は、別名「付加価値税」とも呼ばれ、所得税のように、稼ぐほどに税率が上がる累進課税構造にはなっていません。

そのため、所得の低い人にとっては負担の比率が重く、逆進性の高い不公平な税と指摘されるのです。

日本では、89年に3%の税率で初めて導入し、翌90年度の税収が60兆円という当時の過去最高の税収額となったものの、実はそれ以降は税収が低迷し、2020年に到るまで、この税収額を超えることなく推移してきたのです。

消費税を導入したのに、税収額が長らく90年度の水準を超えられなかった理由は、景気の悪化で税収が減ったこともありますが、所得税率(1984年最高税率75%→45%)や法人税率(1984年最高税率43.3%→2011年30%→23.2%)を段階的に引き下げたことが大いに影響しています。

法人税率は、世界的潮流として税率が下がっていますから、日本もある程度は追随せざるを得ない側面もありました。

しかし、それらの穴埋めで消費税率を上げるというのでは、高額所得者や大企業優遇策でしかなく、本末転倒でしょう。

付加価値税率の高い北欧諸国では、医療費や大学の授業料が無料など、社会保障体制が手厚いために、国民の納得度も高い税制になっています。

日本の場合、消費税率を闇雲に上げていく前に、社会保障費の抜本的見直し、歳出削減の徹底を行うべきなのに財政規律は緩みっぱなしです。

日本は消費税率を上げる度に、消費が鈍り、景気を押し下げ、結局税収を減らす愚を繰り返してきたのです。

Next: 安倍元総理は、外国に毎年消費税率3%相当分をプレゼント



大企業と富裕層を優遇する政策で庶民は置き去り

日本の税収構成比を消費税導入時の1989年と2022年時点で比べてみれば、消費税が法人税減税や所得税減税の穴埋めに使われてきたことは、一目瞭然です。

★1989年→2022年

消費税6%→33%

法人税35%→20%

所得税39%→31%

いまや89年から導入してきた消費税収が一番大きくなっているのです。

政府与党は、消費税率アップは、社会保障充実のためと称してきましたが、消費税は一般税(普通税)であり、目的税とはなっていません。お金に色はついていないのです。

法人税減税のおかげで、大企業はGDPに匹敵する500兆円を超える内部留保を積み上げてきました。

内部留保とは、企業の純利益から税金や配当、役員賞与などを除いた残りで、利益剰余金や利益準備金と呼ばれる、いわば「企業の儲けの蓄積」なのです。

しかも輸出大企業は、輸出に消費税がかからないため、毎年消費税の輸出還付金(約6兆円)を戻してもらっています。

また、そのうえ大企業ならではの特別減税の優遇措置で約l5兆円規模の税額カットまでも受けています。

そのせいで大企業の法人税率は、小規模零細企業や中堅企業の法人税率よりも低くなっており、不公平もいいところなのです。

大企業の自民党への政治献金が効き、エビで鯛を釣るがごときオイシイ状況が続いてきたわけです。

さらに大企業は、アベノミクスの円安政策のおかげで、自然増収の享受が出来て、バカにならない増収増益効果がありました。世の中、大企業だけがトクをする経済環境だったのです。

おかげで、大企業が賃上げもせず人件費を削り続け、国内での設備投資もケチってきたため、国内需要はしぼむ一方でした。

つまり、株価が上がって経営陣の報酬さえ潤沢であればよし…とする風潮になっているのが現状なのです。

金融所得課税さえも、20%(復興特別所得税除く)と低率に抑えてきたので、富裕層は株式の配当や譲渡益のほうが、役員を務める報酬の所得税率よりも、株の配当金のほうの大幅に税負担が軽くなり、潤ってきたのでした。これまた不公平税制もいいところだったのです。

安倍元総理は、外国に毎年消費税率3%相当分をプレゼント

しかも政府は財政が厳しい…と年中言いながらも、賛否の中で国葬にまでなった安倍晋三元総理は、8年7カ月の在任中に「地球儀を俯瞰する外交」と称し、カモネギ大名外遊で、60兆円を超える税金を各国にばら撒きました。

さすがの「外交の安倍」を自認しただけのことはあったのです。

何より、訪問地域・国・回数および外国にばら撒いた国民の税金だけでも、日本の歴代首相の中ではナンバーワンだったからです。

1回2~3億円もかかる大名外遊の旅費を使って、100か国以上の地域や国々を巡り、60兆円を超えるお金をプレゼントしてきたのですから、まことに国葬するにふさわしい、偉大なお金の使いっぷりでした。もちろん、その外交の成果については、皆様が推して知るところなのです。

当然ですが、ばら撒いた60兆円の多くが、国会審議を経ることもなく、お得意の閣議決定のみで、持ち出された税金だったのです。

60兆円を在任期間の8年7ヶ月の年平均にならすと、毎年7兆円弱の税金を各国にばら撒いた計算になります。

つまり、消費税率換算では、毎年3%相当分(1%=2.6兆円)を外国にプレゼントしてきたことになるのです。あっぱれです。

一国の代表が、この有様ですから、日本の財政規律ははたらかず、先行き財政破綻でハイパーインフレまで突き進むしかないのかもしれません。

国の借金は積み上がっており、2021年度にざっとGDPの240%の1,200兆円にものぼりました。敗戦直後の国債発行額のGDP比率200%をゆうに超えています。

消費税率はこれから、まだまだ上がる

さて、ここにきて冒頭で紹介した消費税に付随する「インボイス制度」の導入が2023年10月から始まります。

10月から課税登録事業者として認められるためには、来年3月末までに税務署に申請しておく必要があります。

「インボイス」とは「適格請求書等保存方式」のことですが、8%と10%の複数税率が導入されてから3年が経ちますが、現行の帳簿上でのやりとりだけで、今までまったく税務上の問題は生じていないのです。

にもかかわらず、なぜこんなに面倒くさいインボイス制度などを導入するのでしょうか。

答えは簡単です──

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神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』(2022年10月3日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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