社会から接点が切れた「ひきこもり」が、数十年も自宅から出ないで親に寄生する。しかし、親にも寿命がある。いや、その前に働かない子どもを抱えて生きるにも経済的に限界がくる。老親が彼らの面倒を見ることができなくなってしまったら、社会が彼らの面倒を見る必要がある。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
ステイホームで放置された「引きこもり」
2020年から広がった新型コロナウイルスによるパンデミックによって、全世界で自粛(ステイホーム)が行われたのだが、この2年半以上にも及ぶコロナ禍で、ますます深刻化しているのではないかと噂されているのが「ひきこもり」問題である。
コロナ禍の自粛によって「ひきこもり」は正当化された。そのため、もともと家から出なかった彼らが社会的に目立たなくなって、問題が放置されるようになった。
言うまでもないが、自粛してリモートワークをしている人たちと、収入がまったくなく何もしないでひきこもっている人たちとは同じ在宅でも状況が違う。
収入がないなか、社会からの接点も切れた状態でひきこもっている人たちは、コロナ禍でますます孤立して「社会に戻れなくなってしまっている」と見るべきなのだ。
しかし、コロナ禍で「ひきこもり」が許容されるようになって、彼らの存在は忘れ去られようとしている。リモートワークは一部に定着したが、これからはリモートワークしていた人々も社会に戻る時期となる。
そうなれば、もともと社会から断絶されて自粛していた「ひきこもり」の人々は、完全に棄民状態となって大きな社会問題になるのだろう。
実際、若年層よりも中高年のひきこもりの方が多い
ひきこもりは日本全国で見ると約100万人を超えている。
若者だけではない。中高年のひきこもりも多い。内閣府は「自宅に半年以上閉じこもっている「ひきこもり」の40~64歳が、全国で推計61万3,000人いる」とコロナ以前の2019年に報告していた。
実際のところ、「若年層よりも中高年のひきこもり」の方が多いのだった。そして、この中高年のひきこもりを、老いた親がいつまでも面倒を見ている。80代の親が自室に引きこもって何もしない50代の息子を年金で細々と養う。生活費が足りなくてどちらも貧困で共倒れになりつつある。それが「8050問題」である。
最近はこうした「ひきこもり」の中高年を「子ども部屋おじさん」と呼ぶようになっているのだが、何もできないで家に引きこもっている中高年が日本に満ち溢れている。