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植田和男日銀新総裁就任でついに資産所得倍増が始動。高値をつける“鉄と船”に続くAI業界の注目銘柄は?=菅下清廣

植田和男日銀新総裁の所信聴取を受け、日本の株式市場は上昇した。政府と日銀がダックを組み、脱デフレ、株高、円安へと向かう可能性が高まった。鉄鋼、海運銘柄はすでに動き始めた。さらに次の注目業界はAI関連銘柄と予想する。(『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』菅下清廣)

【関連】「円安」で有利なのは日本だけ。他国からのお咎めなしの大チャンスに仕込むべきセクター4選=菅下清廣

※本記事は『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』2023年2月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどう

プロフィール:菅下清廣(すがした きよひろ)
国際金融コンサルタント、投資家、経済評論家、スガシタパートナーズ株式会社代表取締役、学校法人立命館顧問 近畿大学世界経済研究所客員教授。ウォール街での経験を生かした独自の視点で相場を先読みし、日本と世界経済の未来を次々と的中させてきた「富のスペシャリスト」として名を馳せている。「経済の千里眼」との異名も。著書に『今こそ「お金」の教養を身につけなさい』ほか多数。

日銀・政府のデフレ脱却への強い意欲表明

先週末2月24日の金曜日に、日経平均株価は349円高となって、2万7453円で引けた。

週末の米国株式市場では、NYダウが336ドル安、ナスダック指数が195ポイント安と大幅安となっている。

まず、先週からの株高の背景は、2月24日に行われた植田和男日銀新総裁(4月8日就任予定)の所信聴取で「現在、日本銀行が行っている金融政策は適切だ。金融緩和を継続して、経済をしっかり支えることで、企業が賃上げできる状況にする」という植田氏のメッセージを、株式市場が歓迎したことにある。また、日銀と政府が2013年に発表した共同声明に明記した2%の物価安定目標について「表現を変える必要はないと考えている」と表明。前任の黒田東彦総裁の政策を踏襲してゆくことを明言した。

今回の植田和男新総裁の人事は、今のところ株式市場では“買い材料”(株高情報)と言って良い。

植田氏は、当面金融緩和の継続と物価安定目標2%の達成を目指すものと受け止められている。これは言い換えれば「政府、日銀が一体となってデフレ脱却を実現する」という決意でもある。

それで、植田氏の日銀新総裁就任を歓迎する株高相場が始まったのだ。

先陣を切った海運、鉄鋼、商社

私が以前からお話ししているように、2023年第2四半期の4月以降、「脱デフレ、株高、円安」へとマーケットは動き出してゆくものと判断している。

それを反映するかのように「脱デフレ、適度なインフレ、円安」で恩恵を被っている企業の株価がすでに上昇している。

その代表格が、海運、鉄鋼、商社だ。

先週末の24日には海運株が全面高となった。リーディングストック(けん引役)の日本郵船(9101・東プ)は144円高、プラス4.17%の3,595円で引けた。なんと高値引けだ。

川崎汽船(9107・東プ)も120円高、プラス3.65%の3,410円が終値。こちらも高値引け。商船三井(9104・東プ)は120円高のプラス3.43%の3,620円で引けているが、ザラ場の高値は3,630円とほぼ高値引け。

海運大手3社だけでなく、乾汽船(9308・東ス)は51円高のプラス2.52%で2072円引け。ユナイテッド海運(9110・東プ)、195円高のプラス4.55%の4480円でほぼ高値引け。海運株は好業績、高配当で人気化して軒並み高値追いとなった。

そのほか日本製鉄(5401・東プ)、神戸製鋼所(5406・東プ)などの鉄鋼株や大手商社株が買われている。

参考:日本郵船、コロナ乗り越え利益50倍 海運市況高騰で恩恵-日本経済新聞(3月3日付け)

昨年10月には、32年ぶりという超円安が到来して、150円台をつけた。

その後、押し目が入っているが、円安のトレンドが続いている。

超円安が続けば、日銀の金融緩和策が功を奏して、物価安定目標2%を達成しそうだ。

その時こそ、日本経済が1990年代のバブル崩壊後の失われた30年、デフレ不況、デフレ経済の長いトンネルを抜けて、2%程度の適度なインフレ経済に突入する。

もちろん株価も上昇する。

脱デフレ、物価高で企業業績も改善して、設備投資の拡大、雇用増、賃金上昇という好循環を呼びこむことになる。海運、鉄鋼、商社株などの株価上昇はその株高時代の助走と言って良い。

ようやく動き出した個人マネーは、当分、高配当の船や鉄にむかうだろうが、いずれデジタル産業革命という国策銘柄にも押し寄せるだろう。言うまでもなく、DX、GX関連企業、そして、その分野に新しいスター株、新成長株が登場してくるはずだ。

Next: 日本の未来を牽引する注目すべきオープンAI関連銘柄は?



注目すべき日本版オープンAI関連銘柄

そこで2月26日の日経新聞の記事に注目。

見出しが「オープンAI首位290億ドル」、生成技術の企業価値ランキング。

冒頭をご紹介すると

「人工知能(AI)を活用した文章などの自動生成技術を持つ企業が急成長している。オランダの調査会社ディールルームによると、未上場で企業価値10億ドル以上のユニコーン企業がすでに6社誕生し、1億ドル以上の新興勢は30社以上に達する。」

出典:生成AI企業価値ランキング、OpenAIが首位の290億ドル-日本経済新聞(2023年2月26日付け)

この記事の左隣にオープンAIが断トツのバリューの290億ドルで首位、以下30社が紹介されている。

ベストテンは米国、英国、カナダ、イスラエルなどの新興成長企業、残念ながら30位の中に日本の企業は見当らない。

そこで、チャットGPT関連の日本企業をネットで検索してみると、BUSINESS INSIDER JAPANというコラムでは、顧客対応チャットボットを提供するユーザーローカル(3984・東プ)が紹介されていて、チャットGPTを開発したアメリカのオープンAI社製の対話AIアルゴリズムを活用し、回答を自動生成とある。

チャットボットのQ&A執筆にかかる時間が半分以下になったという記事が出ている。

そのほか関連企業として、モビルス(4370・東グ)、monoAI technology(5240・東グ)、などの企業名がネット上に浮上してきている。

果して本物のオープンAI関連株はいずこに!?

というわけで、いよいよ、日本の株式市場では、まず脱デフレ、資産インフレ関連株から動き出している。

前述のように円安、インフレ、そしてウクライナ戦争特需関連とも言える。

「鉄と船」が力強く走り出している。

皮肉にも、岸田首相が何をしなくても超円安、脱デフレと植田新総裁の采配で「貯蓄から投資へ」、「資産所得倍増」の時代へとむかい始めているのではないだろうか。

そういう意味では、今の岸田首相には“ツキ”がある。

その幸運がいつまで続くか?読者の皆さんの声を聞いてみたい。

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※本記事は『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』2023年2月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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2023年2月配信分
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.273~「鉄と船」からチャットGPTへ!~(2/27)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.272~沈まぬ“日本製鉄”~(2/20)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.271~植田新総裁とバーナンキ~(2/13)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.270~「節分天井・彼岸底」?~(2/6)

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2023年1月配信分
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.269~インテリジェンスと情報の価値~(1/30)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.268~「BUY JAPAN!」日本買いの時代へ~(1/23)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.267~鉄と船、再び~(1/16)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.266~「維新」する覚悟、第三の敗戦~(1/9)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.265~年頭所感~(1/4)

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2022年12月配信分
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.264~有事に備えよ!~(12/26)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.263~君子(岸田首相)豹変す~(12/19)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.262~2023年の有望“ニフティ・フィフティ銘柄”~~(12/12)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.261~サムライブルーの快挙は株高の予兆か!?~(12/5)

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  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.259~私の情報源“スガシタファイル”~(11/21)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.258~“ニフティ・フィフティ銘柄”に投資を!~(11/14)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.2~ふたりの天才~(11/7)

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  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.255~ウォールストリートを読んで~(10/24)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.254~超円安の行方~(10/17)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.253~猛インフレ、動乱の時代に“めざせ、FIRE!”~(10/10)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.252~日本の正しい未来~(10/3)

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  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.249~“ニフティ・フィフティ銘柄”を探せ!~(9/12)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.248~2022年の今と1980年代のあの頃~(9/5)

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2022年8月配信分
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.247~投資研究会・スガシタプラチナクラブ~(8/29)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.246~お盆休み、巣ごもりを楽しむ PART8~(8/22)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.245~史上最大の資産インフレの波が押し寄せるか!?~(8/15)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.244~鉄と船~(8/8)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.243~不穏(ふおん)な時代をどう生きる!?~(8/1)

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2022年7月配信分
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.242~巣ごもりを楽しむ PART7~(7/25)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.241~次の3年に日本の命運がかかっている!~(7/18)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.240~アベノミクスから岸田プランへ~(7/11)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.239~危機は日本を強くする!~(7/4)

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2022年6月配信分
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.238~「日露もし戦わば…」~(6/27)
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  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.236~防衛とエネルギーに投資チャンス!?~(6/13)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.235~「日本を今一度せんたく致し申候」~(6/6)

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2022年5月配信分
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  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.230~“カイ”か“ウリ”か!?~(5/2)

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2022年4月配信分
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.229〜おしゃれな街角の山陽堂書店(4/25)
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  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.227〜ペイパルマフィアと仮想通貨の敵(4/11)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.226~100年前のポーランド孤児救出の秘話とウクライナ支援(4/4)

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2022年3月配信分
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.225〜キャシー・ウッドの逆張り(3/28)
  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.224~第1次世界大戦とウクライナ戦争~(3/21)
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  • 経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測” Vol.222〜ロシアのウクライナ侵攻と海運株の行方(3/7)

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経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測”』(2023年2月27日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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