FRBの金融引締めにより米国経済と株価は暴風雨圏内に入ってきた。一方、日本だけは超緩和策を続け、急激な円安に見まわれている。日本では「悪い円安」論が幅を効かせているが、円安は日本のエクセレント・カンパニーにとっては非常に有利な状況。現在の日本株はバーゲンセールの真っ最中。今から狙い球を絞っておこう。(『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』菅下清廣)
※本記事は『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』2022年6月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:菅下清廣(すがした きよひろ)
国際金融コンサルタント、投資家、経済評論家、スガシタパートナーズ株式会社代表取締役、学校法人立命館顧問 近畿大学世界経済研究所客員教授。ウォール街での経験を生かした独自の視点で相場を先読みし、日本と世界経済の未来を次々と的中させてきた「富のスペシャリスト」として名を馳せている。「経済の千里眼」との異名も。著書に『今こそ「お金」の教養を身につけなさい』ほか多数。
暴風雨圏内に入った米国経済と米国株
今年のはじめにウォール街で相場見通しの的中率が高いとされる、資産運用会社ダブルラインキャピタルのジェフリーガンドラック経営最高責任者(CEO)がFRB(連邦準備制度理事会)の利上げ、金融引き締め策で、米国株式市場は荒波の中で揺れる小船のようになると予想していたが、今まさにその通りの展開となっている。
私も昨年2021年11月にFRBがテーパリング(金融量的緩和の段階的縮小)を始めて以来、
日米の株式市場の下落を予想して、スガシタボイス会員の皆さんには、できるうる限り、キャッシュアップして現金保有率を高めることをオススメしていた。
ただ、全く投資しないわけではなく狙い球をしぼって、好球必打の投資を心がけるべきだとお話ししてきた。
しかし、ここに来て、直近の米国のインフレ率が8%台を突破、FRBも0.75%の利上げを決定するなど、すでに米国経済と株価は暴風圏内に入ってきている。
荒波で揺れる小船から嵐の中で沈没しそうな小船になっている。
世界の巨人、米国は内外で厳しい局面をむかえつつある。
米露の直接対決はあるのか?NYダウの大暴落
国内では「インフレかリセッションか」という選択を迫られている。
海外ではロシアとの直接対決を回避するのかしないのか、つまりバイデン米国大統領が言うように、第3次世界大戦のリスクまで踏み込む決断があるのかないのかを問われている。
なぜなら、自由と民主主義のためにウクライナを徹底的に支援するなら、いずれロシアとの直接対決のリスクが出てくるからだ。
いや、すでに米国とNATO(北大西洋条約機構)はその“虎の尾”を踏んでいるとも言える。
世界3大投資家のひとり、ジョージソロスはすでに第3次世界大戦が始まっていると明言してる。
それを反映するかのように米国株式市場は大暴落している。
つい先日、NYダウは8週連続安という1929年の大恐慌以来の下落相場となった。そして先週末、6月17日には、NYダウはついにフシ目の3万ドルの大台を下回って、2万9,888ドルで引けた。
週明けの6月20日以降、NYダウが3万ドルを割り込んだところで、当面の安値となって反発するのか、はたまた、続落するのか重要な局面となりそうだ。