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ローソン“コーヒーサブスク”を愛知限定で開始へ。「リピート客獲得」「公式アプリ加入促進」などの思惑が垣間見えるもSNSからは全国展開を待ち望む声が

コンビニ大手のローソンが、店内で淹れたてのコーヒーを提供する「マチカフェ」で、定額制のサブスクリプションサービスを始めると発表した。

報道によれば、対象となるのは「マチカフェコーヒー」のSサイズ(税込み110円)で店内で、公式アプリを提示して1か月分の利用券(1,500円)を購入すると、1日1回使えるクーポンが配信されるとのこと。

まずは4月4日から7月末まで、愛知県の約620店舗で実証実験を行うといい、需要などを検証した上で、その後の全国への拡大を検討するという。

すでに2,000億円規模に達したコンビニコーヒー市場

インスタントコーヒーの誕生などにより世界中でコーヒーが安価に飲めるようになったファーストウェーブ、「スターバックス」をはじめとしたシアトル系のコーヒーチェーンが世界的にブームとなったセカンドウェーブに続き、近年は高品質なスペシャルティコーヒーが持て囃され、日本でも2015年の「ブルーボトルコーヒー」のオープンで一気に広まったといわれる、いわゆるサードウェーブの真っただ中だというコーヒー業界。

主に“意識高い系”といった層が支持しているイメージも無きにしも非ずといったサードウェーブだが、いっぽうで日本国内においてはそのような流れと並行して、コンビニエンスストアでのコーヒー販売が、2010年代から各チェーンにおいて普及。淹れたてのコーヒーが手軽に安価で味わえるということで、より幅広い層から人気を集めている状況。

実際、コンビニコーヒーの先駆け的存在であるセブンイレブンの「セブンカフェ」は、2013年から22年2月末までの累計販売数は70億杯を超え、年間では約7億4,000万杯を売っているとのことで、コンビニコーヒー全体の市場規模も、すでに2,000億円に達しているとの話もあるようだ。

そんなコンビニコーヒーだが、セブンカフェの場合だとその粗利率は約53%と、コンビニ商品の平均粗利率が30%程度であることと比べれば、かなり高い部類に入るといい、コンビニ側としてもどんどん売っていきたい商品であるということ。

また、そんな単体での売上以上に、多くの人々に毎朝コーヒーを買ってもらうといった習慣付けをすることで、その店のリピート客獲得にも繋がり、そういった利用者によるコーヒー以外の“ついで買い”が見込めるということで、各店舗の戦略的な面でも欠かせない存在となっているコンビニコーヒー。今回ローソンが始めるコーヒーのサブスクサービスは、そんな“リピート客獲得”という狙いを、さらに強化するための施策とみて間違いなさそうである。

今後は他のコンビニチェーンの追随も?

このところは焼肉店やラーメン店など、飲食業界でも多くみられるサブスクサービス。カフェや喫茶店などの業態では、「coffee mafia」という月額定額制をウリにしたチェーンが都内に数店舗存在するほか、「上島珈琲店」も首都圏や関西の一部店舗でサブスクサービスを実施中

またカフェ以外だと、JR東日本の駅構内にあるコンビニ「NewDays」でも、一部店舗においてコーヒーのサブスクサービスを展開しているようだ。

そんななか、ローソンが始めようとしている「マチカフェ」のサブスクサービスだが、先述の通り1日1杯・Sサイズのみという縛りはあるものの1か月分で1,500円と、既存のカフェによるサブスクサービスとはもちろんのこと、「NewDays」の月額1,800円と比較してもかなりリーズナブルな設定に。

しかも、当分は愛知県内のみで実証実験を行うということだが、今後全国のローソン約1万5,000店舗にサービスが拡大するようなこととなれば、利用可能店舗数が限定される傾向の既存のコーヒーサブスクと比べても、かなり使い勝手は良くなりそう。元を取るためには、月14回以上の来店と購入が必要となる計算の当サービスだが、これだけ店舗があればそんな条件のクリアも容易だろう。

コンビニコーヒーを巡る各チェーン間での競争が依然激しいなか、サブスク導入によってリピート客のさらなる囲い込みや“ついで買い”への広がり、さらにはサービスを受けるために必要な公式アプリのダウンロード促進など、ローソン側の思惑は様々透けて見えるところだが、それでもSNS上からは「いいなあこれ!!!」「愛知以外もさっさとやって」など、全国拡大を望む声が早くもあがっている状況。また、他のコンビニチェーンがこの動きに追随する可能性も無きにしも非ずということで、それらを含めた今後の動向に大いに注目が集まるところだ。

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