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メリットしかない新NISA、目玉の「非課税枠の再利用」が投資家と相場に与える4つの影響とは?=佐々木悠

NISA改訂が金融業界・投資家界隈で大きな話題となっています。今後、税制改正大綱を元に2023年国会で議論が行われ、2024年より新NISAが動き出す予定です。投資額の増加や非課税期限の無期限化など投資家に大きなメリットをもたらす制度変更となりますが、もう1つ大きなポイントがあります。それは「非課税枠の復活」という仕組みです。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

投資の可能性を広げる非課税枠の復活

新NISAの概要を表にすると以下のようになります。

つみたて 一般

(成長枠)

新NISA
制度の期限 2042年まで 2023年まで 恒久化
併用 併用不可 併用不可 併用可能
非課税期間 20年間 5年間 無期限
年間投資額 40万円 120万円 つみたて:120万円

成長枠:240万円

生涯投資額 800万円 600万円 1,800万円

(成長枠1,200万円)

売却後の生涯投資枠復活 なし なし あり

※参考:日経新聞楽天証券朝日新聞令和5年度与党税制改正大綱

投資家に大きなメリットをもたらす点は一般(成長)・積立併用可、非課税期限の無期限化、生涯投資額の設定、などです。

そして今回注目すべきは表の一番下売却後の非課税枠の復活が認められる、という点です。

<非課税枠の復活の仕組み>

従来のNISA口座で保有していた資産を売却した場合、非課税枠の復活は認められませんでした。何年保有しようが、何回売買しようが年間の上限である120万円(つみたては40万円)を超えて投資することはできませんでした。

しかし新NISAでは、保有資産を売却した場合、新たに設定された生涯投資枠が復活すると報道されています。(税制改正大綱には売却後の取り扱いについて具体的な記載はありませんが、非課税枠の復活が可能と解釈が可能です。)

その仕組みは一体どういうことなのでしょうか?図で示すと以下のようになります

Pasted-Graphic-6.jpg

まず、生涯投資可能額という考えが導入されました。生涯でNISA制度を活用して1,800万円(成長枠(旧一般NISA、図の青部分)の生涯投資可能額は1,200万円)まで投資できると設定されました。

さらに年間では成長枠240万円、つみたて枠(図の赤部分)は年間120万円と投資上限が拡大しました。そのため5年間360万円ずつ株式を購入した場合、5年目の保有株式は1,8000万円になります。5年目にNISAで運用していた資産を全て売却した場合、非課税枠の復活によって6年目の使用可能残高は1,800万円となり、5年目以降も毎年360万円の投資を継続できるのです。

つまり売却してしまえば、累計購入金額1,800万円を超えてNISAを使用し続けることができます。

Next: 損切り・利益確定がしやすくなる?「非課税枠の復活」4つの影響

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