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メリットしかない新NISA、目玉の「非課税枠の再利用」が投資家と相場に与える4つの影響とは?=佐々木悠

非課税枠の復活をどう使う?

非課税枠の復活が認められたということは我々投資家にどのような影響をもたらすのでしょうか?今回は4つの影響を考えます。

<損切りしやすくなる>

NISA制度のメリットは配当や譲渡益に対する税金がかからないことです。しかし言い換えると、損切りをしてしまうとメリットが無くなってしまいます。そのため、従来のNISAは損切りしづらい制度となっていました。

しかし売却後に非課税枠の再利用が認められるのであれば、損切りによって売却することで、より良いと思えるものに乗り換えることができます。

非課税のメリットが得られないことは残念ですが、損切りを行うことによって気持ちを切り替えて新たに利益獲得へ向けて投資をすることができるようになります。

ここに関しては、良い面が大きいと思います

<利益確定しやすくなる>

非課税枠の再利用が認められるのであれば、損切りと同様に利益確定も行いやすくなります。しかし特につみたて枠を重要視する投資家は注意が必要です。

旧つみたてNSIAは20年という長い時間をかけて資産を築く制度でした。つみたての原則は売却せず価格が高い時も低い時も購入を継続することです。

しかし、非課税枠の再利用が認められる事で、「利益が出ているし、一度売却して、またつみたてを0からやり直せばいいや」という利益確定の動機が生まれやすくなります。

つみたて資産をいつ売却するのか?という疑問に正解はありませんが、あまりにも短期的に売却してしまうと、つみたての強みである購入価格の平均化、という効果が薄れてしまいます。

つみたてを重要視される投資家の方は、非課税枠の再利用が認められるからと言って短期的に売却しないことをおすすめします

<自分の都合にあわせた売買が可能>

新NISA制度では、ライフイベントに合わせて資金の出し入れを行うことができます。

例えばつみたてで貯めた100万円を車の購入費として、一度売却。5年後にまた100万円を貯めて旅行に行く、など非常に柔軟性の高い投資計画を立てることができます。

従来のNISAでは、売却した場合非課税枠が復活することはなかったため、売却には慎重にならざるを得ませんでした。そもそも売却のタイミングで含み損になっている可能性もあるため、「新車購入のために貯めた100万円だけれども含み損だから売却したくない」という状況も想定されます。

しかし非課税枠の再利用が認められている以上、含み損をある程度許容できるという考えもあります。

あなたがお金を使いたいときに使いやすい改正であると考えます。

<回転売買が増える?>

従来のNISAは一度売ると非課税枠は戻ってこなかったので、売りの判断は慎重に行う必要がありました。

しかし非課税枠の再利用が認められるのであれば枠を無駄に消費することを気にせずに、一度株式を売却し、株価が下落したら買う、その後また売る…というような回転売買で非課税の恩恵を受けることができる可能性があります。

躊躇なく売買できるのは良い点ですが、売る必要がなかったのに売ってしまうことにも繋がりかねません。

また、証券会社も手数料稼ぎのために早期の売却を勧めてくる可能性もあります。

結果として、本来の資産形成の本旨から離れた投機的な動きに発展してしまうことが懸念されます

Next: 要するに「常に元本1,800万円までは非課税のメリットを享受できる」

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