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割安で放置?トヨタ・野村総研・塩野義製薬・ベルクの企業価値を長期投資のプロが分析=栫井駿介

株価が高止まりするなか、「今から何を買えばよいのか」「暴落を待つべきなのか」と悩んでいる方は少なくないでしょう。私が長期投資で重視しているのは、流行している銘柄を追いかけることではなく、素晴らしい企業を安く買うことです。今回は、現在の市場環境をどのように捉え、どこから投資候補を探し、何を確認して投資判断へ進むのかを詳しく解説します。そのうえで、市場から相対的に評価されていない業種のなかから、ベルク<9974>、トヨタ自動車<7203>、野村総合研究所<4307>、塩野義製薬<4507>の4社を取り上げます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

人気の中心ではなく、資金が抜けた場所に目を向ける

慎重な投資家であれば、まず「暴落待ち」という戦略が考えられます。
最も条件のよい局面を待って買う方法には合理性があります。
しかし、本当に暴落が来るか、いつ来るかは誰にも分かりません。
現金を持ったまま待ち続ければ、相場上昇の恩恵を受けられない可能性もあります。

そこで重要になるのが、全面的な暴落を待つだけでなく、好調な市場のなかで置き去りにされている業種や企業を探す視点です。
市場全体が上がっていても、資金は均等には配分されません。
人気テーマへ資金が集中すれば、その裏側では、業績や競争力に大きな問題がなくても売られる銘柄が生まれます。
そこに、長期投資家の機会が隠れていることがあります。

話題のテーマ株を追うだけでは長期投資にならない

現在の人気テーマとしては、半導体、データセンター、防衛などが挙げられます。
また、金利上昇を追い風に銀行株も大きく上昇しました。
こうした分野のなかにも、長期的な成長性を持つ素晴らしい企業は存在します。
すでに保有している成長企業については、伸びる芽をそのまま伸ばす考え方も有効です。

ただし、盛り上がっているという理由だけで、上昇後の銘柄へ無理に手を出すことには慎重であるべきです。
企業が長期的に成長しても、買値が高すぎれば、しばらく含み損に耐える展開になりかねません。
長い目では報われる企業でも、期待が先行した高値で買えば投資成果は低下します。

投資で本当に大切なのは、流行を当てることではなく、企業価値と市場価格の差を見極めることです。
企業価値とは、その企業が将来にわたって生み出す利益やキャッシュフローを現在価値で捉えたものです。
十分な価値があるにもかかわらず、市場価格がそれを下回っている状態が理想です。
そして、そのような価格差は、多くの投資家が注目する場所よりも、市場に見過ごされた場所で生まれやすいのです。

<短期は人気投票、長期は重量計>

株式市場については、「短期的には投票機だが、長期的には重量計である」という有名な考え方があります。
短期の株価は人気や期待、需給に左右されますが、長期では企業が実際に生み出す価値が問われます。
美人投票の比喩で知られるケインズの考え方に対し、ベンジャミン・グレアムは長期的な価値の重要性を「重量計」と表現しました。
グレアムは、ウォーレン・バフェットの師としても知られています。

価値のある企業であれば、時間の経過とともに、その“重さ”が株価に反映される可能性があります。
だからこそ、目先の人気ではなく、企業の本質的な価値を見据えて投資する必要があります。

5段階の銘柄選定

<1. マクロ環境と市場の物語を把握する>

まず、半導体やデータセンターが盛り上がっている、金利上昇で銀行株が買われている、といった市場全体の流れを把握します。
人気企業についても、なぜ評価されているのか、成長を支えるファンダメンタルズは何かを確認します。
ただし、人気テーマの分析と、実際にそこで新規投資をすることは別問題です。

<2. 人が見ていない場所を探す>

次に、人気分野へ資金が集中した結果、相対的に資金が抜けている業種や企業を探します。
有名ファンドマネジャーのピーター・リンチも、華やかな名前の会社より、地味で人が関心を持ちにくい事業に投資機会が潜むと説いています。
また、著名なバリュー投資家ジョン・テンプルトンも、上昇率ランキング上位ではなく、誰もが敬遠したくなるセクターに目を向ける考え方を実践しました。
日本の相場格言「人の行く裏に道あり花の山」にも通じる姿勢です。

<3. 評価されない理由を見極める>

株価が下がっているだけでは買いの根拠になりません。
業績悪化が一時的なのか、事業構造そのものが損なわれているのかを分けて考える必要があります。
一時的な原材料高や景気循環による落ち込みで、回復の根拠があるなら機会になり得ます。
一方、需要の消滅や競争力の喪失といった構造的な悪化であれば、安値に見えても投資は難しくなります。

業績が悪化していないのに、人気がないというだけで下がる株もあります。
ただし、その下落が単なる不人気なのか、市場が将来のリスクを先に織り込んでいるのかは慎重に検証しなければなりません。
企業を1社ずつ調べ、下落理由を言語化する作業が不可欠です。

Next: まだある銘柄選定の評価軸。長期投資のプロが実践しているのは?

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