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暗号資産を総崩れにするロシア「ネット遮断」リスク。ビットコインは安全資産になりえるか?=山本仁実

ウクライナ侵攻が始まった日、全世界の株価のみならず、暗号資産価格も下落した。本来は金(ゴールド)と並び資産の退避先となることを期待されるビットコインですら、大幅安が続いている。ビットコインの市場規模は、まだまだ世界の情勢不安や通貨不安を受け入れるに足りるものではなかったと、この展開を見て思い知らされた。

プロフィール:山本仁実(やまもと ひとみ)
株式会社サクラエクスチェンジビットコイン(SEBC)代表取締役。フランス・スイスにて国連機関でのインターンに従事。2016年9月マサチューセッツ工科大学 Fintech Future Commerce修了。日本が暗号資産の世界最先端国になることを確信し、大学院在学中に起業。「Crypto for Happy」をテーマに暗号資産の仕組みを用いた社会貢献、人を幸せにするプロダクト開発を目指し活動中。毎日放送「よんチャンTV」、TBS「NEWS23」などメディア出演多数。

暗号資産(仮想通貨)は「有事の資産」になれたのか

ロシアによるウクライナに対する軍事行動が始まって、約3週間が経過した。状況は依然として混沌としており、その影響は世界全体に波及している。

あの日、全世界の株価のみならず、暗号資産価格も下落した。本来は金(ゴールド)と並び資産の退避先となることを期待されるビットコインですら、大幅安が続いている。ビットコインの市場規模は、まだまだ世界の情勢不安や通貨不安を受け入れるに足りるものではなかったと、この展開を見て思い知らされた。

昨年末以降、下落を続けていたことも影響したが、上昇を続ける金の価格と比べると、その差は歴然である。もし仮に、今この状況でビットコイン価格が上昇するような局面が来れば、それは新しい価値の保存先としてビットコインが果たす役割を認められたことを意味する。しかし現実には、そんな状況になったとは言えない。

ビットコインの誕生以来、私たちは初めて、有事の資産とは何なのかを目の当たりにしている。金は今も、世界の不安を受け止めている一方で、暗号資産は、この先どこに向かうのだろうか。

「マイニング大国」のウクライナとロシアが不安定に

暗号資産価格に対する中長期的な影響を考えると、暗号資産のマイニングに割り当てられる計算量の行末にも注視したい。

中国国内でマイニングに対する圧力が高まった結果、一部のマイナーは東欧へと退避していた。中でもウクライナやロシアは、エネルギー価格の安さと寒冷地であるという条件によって、マイニングの拠点として好まれていた。

今後も両国にまたがる地政学的なリスクが増すことで、エネルギー価格はさらに上昇し、領域全体の安定性を欠くことになる。暗号資産価格が下落している現在の状況では、採掘成果物も値下がり、マイナーにとっては厳しい。

採算が合わなくなったマイナーが稼働を止めれば、計算量は一気に下落し、負の連鎖が起こる可能性がある。

Next: 経済制裁で法定通貨が崩れたとき、ビットコインが個人を守るが…

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