FX取引において、適正なポジションサイズはどのように決めたらよいでしょうか。「保有資産の何%」という考え方が一般的ですが、それでは収益が上がらないこともあります。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』)
プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。
※本記事は『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』(2016年12月21日号)の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
「儲けたい欲」と「損失が膨らむ恐怖」を上手にコントロールする
読者の質問: 最適なポジションサイズとは?
現在5万通貨でFX取引をしていますが、今の自分には大きすぎると感じています。
1000~1万通貨では損失を重ねても2~3千円でしたので、ロスカットや利益確定が決めた通りにできていて1日平均30~40pipsの利益という状況でした。そこから2~3万通貨にあげると緊張し始めて25~30pipsへと下がり、5万通貨まであげると20pipsまで下がっています。
ポジションが大きすぎるために、ロスカットや利益確定が早くなってしまっていることが原因かと思います。
純粋な利益だけを考えれば、5万通貨の方が大きいので「そちらでやりたい」という思いに駆られます。ですが、今後安定的に収益を伸ばしていくためには、まず2~3万通貨で1000~1万通貨の時にできていた1日平均30~40pipsできるようになり、それから4~5万通貨へとあげていった方が、目先の利益は減っても将来的には大きな利益になっていくのでは?と感じていますが、いかがでしょうか。
矢口新氏の回答: 小さすぎても、大きすぎてもいけません
適正なポジションサイズは、リスク管理の観点から、ボラティリティを考慮したうえで、「保有資産の何パーセント」という考え方が一般的です。一方で、リスク管理を前面に出したポジションサイズは一般的に小さく、思うように収益が上がりません。
プロの場合は、会社がポジションサイズを決めますが、個々のディーラーにとってそのポジションサイズが大きいと感じると、ストレスを感じたり、自ら小さなポジションしか取りません。小さいと感じると、大きくしてくれと要求したり、少し無茶なトレードをしたりします。
私の体験では、ポジションサイズは慣れてくるものです。例えば、あなたが仰る1000~1万通貨と言えば10倍もの幅がありますが、1万通貨には慣れてしまったので、このような表現になったのだと思います。
おそらく、1000通貨単位ではもはや緊張感がなくなり、じっと見ているどころか、トイレ、食事はおろか、外出中も気にならなくなっているのではないですか?
今の自分にとってポジションが小さすぎると、緊張感が保てない。一方、大きすぎるとストレスが高まり、心掛けている思い通りのトレードができなくなるのです。5万通貨まであげると20pipsまで下がるのは、そのためです。
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