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割安で放置?トヨタ・野村総研・塩野義製薬・ベルクの企業価値を長期投資のプロが分析=栫井駿介

<4. 競争優位性と将来業績を検証する>

流行の有無から離れ、企業の事業内容、ブランド、顧客基盤、コスト競争力、乗り換えの難しさなどを調べます。
そして、今後の売上、利益、キャッシュフローがどう推移するかを考え、本当に競争優位性があるかを見極めます。

<5. 企業価値を数値化し、十分に安ければ長期保有する>

将来の業績見通しをもとに企業価値を見積もり、現在の株価がその価値より十分に安いかを判断します。
安全余裕があると考えられる価格で投資し、市場が価値を再評価するまで長期保有する。
これが基本的な流れです。

■実例:不振期の良品計画に投資し、再評価を待つ

この考え方が成果につながった例の一つが良品計画です。
つばめ投資顧問では2019年頃から同社へ投資していましたが、その後もしばらく業績と株価が振るわない時期が続きました。
コロナ禍で株価が大きく下落し、いったん回復した後も再び半値近くまで下がるなど、厳しい期間が長く続きました。

しかし、「無印良品」のブランド価値そのものは失われていないと判断しました。
また、ファーストリテイリング出身で、以前から良品計画の役員を務めていた堂前宣夫氏が社長に就任し、地域への土着化や店舗改革を進めました。
在庫回転率などの改善が進み、その経営戦略が成果として表れたことで株価も見直されました。

つばめ投資顧問では、改革が成果を上げる可能性を見込み、株価が安い時期にも追加投資を続けました。
その結果、取得価格から見ておよそ5倍に達する投資成果となりました。
重要なのは、単に下落したから買ったのではなく、ブランドという実態が残り、経営改革による回復の根拠があったことです。

業種別の騰落率から、見過ごされた4社を探す

2026年7月17日時点の株式市場は全体として好調で、多くの業種が上昇していました。
非鉄金属、ガラス・土石、電気機器などは、半導体やデータセンター向け素材・部品への期待から大きく上昇しました。
金利上昇を受けて銀行業も買われています。

一方、その他製品では任天堂などのエンターテインメント企業が重しとなり、空運ではJALやANA、陸運ではJR各社などが相対的に冴えませんでした。
原材料価格の高騰を受けた小売業や鉄鋼、自動車などの輸送用機器、AIによる代替懸念が意識された情報・通信、コロナ特需の反動が続く医薬品も、人気分野に比べて評価が低い状況でした。

そこで、相対的に評価されていない業種から、小売業のベルク、輸送用機器のトヨタ自動車、情報・通信の野村総合研究所、医薬品の塩野義製薬を取り上げます。
以下の分析は投資判断の“入口”であり、推奨や断定ではありません。
実際の投資前には、さらに深い調査と企業価値評価が必要です。

企業 市場が懸念する点 注目すべき強み・論点
ベルク 原材料高、利益率の低下 標準化された店舗運営、従業員生産性、安定した成長
トヨタ 減益、関税・原材料高、EV競争 世界最大級の販売基盤、低コスト生産、バリューチェーン収益
野村総研 AIによるSI・SaaS代替、海外事業の減損 金融システムの高い乗り換えコスト、AI実装需要
塩野義製薬 パテントクリフ、M&Aによる借入増 感染症領域の強み、新薬群の拡充、低いPER

注目企業1:ベルク――地味だが堅実なローコスト経営

ベルクは埼玉県鶴ヶ島市に本社を置く食品スーパーマーケットです。
埼玉県を地盤に、群馬、東京、千葉、茨城、神奈川へ店舗を展開しています。
華やかな成長テーマとは距離がありますが、業績は長期にわたりきれいな右肩上がりを続けています。

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出典:マネックス証券

<株価低迷の背景>

5年程度の株価チャートでは、おおむね横ばいに見え、現時点では7,000~8,000円程度だった高値から6,500円前後まで、ピーク比で20%弱下落していました。

ベルク<9974>週足(SBI証券提供)

ベルク<9974>週足(SBI証券提供)

売上高や営業利益は基本的に成長している一方、売上高営業利益率には低下傾向が見られます。

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出典:マネックス証券

原材料価格や人件費などの上昇により、今後も利益率が圧迫されるのではないかという懸念が、株価の重しになっていると考えられます。

<競争力は店舗運営の標準化>

ベルクの強みは、特定の大ヒット商品ではなく、店舗フォーマットを標準化したローコストオペレーションです。
運営方法を揃えることで効率を高め、従業員1人当たり売上高は他のスーパーを大きく上回る水準にあります。
地味ではありますが、堅実に利益を積み上げる仕組みを持っています。

フリーキャッシュフローも、直近では投資負担などによりマイナスとなった期があるものの、長期ではプラスの期が多く、安定経営を示しています。

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出典:マネックス証券

現時点の指標はPER約10.8倍、PBR約1.11倍、ROE約11%でした。
一般的なROEの合格ラインとされる8%を上回り、収益性に対して株価は割安に見えます。
利益率低下が一時的か、価格転嫁や効率化で回復できるかを確認できれば、検討対象に入る企業です。

注目企業2:トヨタ自動車――1,000万台の顧客基盤を収益化できるか

トヨタは一時、時価総額首位の座をソフトバンクグループ、キーエンス、三菱UFJフィナンシャル・グループなどに譲る場面がありました。
しかし、時価総額順位の低下だけを見て、企業そのものが衰えたと判断するのは早計です。
収録時点では首位へ復帰したとの話題もありましたが、重要なのは順位ではなく、低評価が妥当かどうかです。

Next: 割安で放置されている?トヨタ・野村総合研究所を分析

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