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政府、就活生への卑劣な“オワハラ”禁止を企業に要請も「元凶は新卒至上主義」との声が噴出。早くも“有名無実化”を予測する見方も

企業が内々定を出した学生に対し、正式な内定前に他社への就活を終わらせるよう迫る、いわゆる「オワハラ」に関して、政府が経済・業界団体に禁止とするように要請を行ったと報じられたことが、大きな波紋を呼んでいる。

これは10日に開かれた文部科学省などの関係省庁連絡会議で決定したもの。小倉少子化相は「オワハラは学生の職業選択の自由を妨げる行為だ。防止の徹底をお願いしたい」と述べ、経団連の十倉雅和会長と日本商工会議所の小林健会頭に要請書を手渡したという

新たなルールでは、内定期間中に行われた研修について、学生が辞退した後に費用の返還を求める行為も禁止するとのこと。また、このようなハラスメントを受けた学生の苦情・相談に対応する窓口を設置することも求めたという。

企業側のモラルの低さを嘆く声も

昨今、次々と出てくる「○○ハラ」といったワードの類だが、今回取沙汰されているオワハラとは「就活終われハラスメント」の略。

具体的には、就活生に他企業の選考や内定の辞退を強要するほか、内定前に書面で入社意思を確認する「内定承諾書」を書かせることは結構あるようで、さらには教員からの推薦状を要求され内定を辞退しにくい雰囲気を醸成する、毎日のように電話がかかってきて就活状況の報告と内定承諾をしつこく要求されるなどのケースもあるのだという。

こうしてみると、過去のバブル期の頃に、一部大手企業などが囲い込みたい学生らを“拘束”する目的で、海外旅行へと連れて行ったというエピソードも思い浮かぶところなのだが、どの企業も今ではもうそんなお金の使い方はできないということで、その手法が学生の弱みにつけ込み精神的に追い詰めるという、かなり陰湿な方法にシフトしているといったところのようだ。

もっとも採用する企業側としては、新卒の売り手市場が続き人材の奪い合いが激化するなかで、早期に新年度の陣容を固めたいといった思惑もあり、ハラスメントと呼ばれるような手段に出ているよう。

だが、そういった行為が学生の“職業選択の自由”を妨げているのは明らかとあって、SNS上ではそんなオワハラを行う企業側に対して批判的な声がほとんどといったところで、なかには「ルール化しないと止まらないのか…」と、企業側のモラルの低さを嘆く声も。

また、そういった現象が現れるのは、ひとえに日本特有の「新卒至上主義」がそうさせているのではといった声もあり、単に“オワハラ禁止”といった場当たり的な対処だけでは、根本的な解決に至らないのではといった見方もあるようだ。

オワハラの有無はブラック企業の見極めに有益?

いっぽうSNS上では、この手の卑劣極まりないオワハラ行為は、まさに“ブラック企業ムーブ”そのものだということで、そういった仕打ちをされれば、入社前にその会社がブラックだと分かって良いのでは……といった意見も。

最近の若者世代は、ことさら“失敗を恐れる”傾向があると言われるが、そうでなくとも新卒で入る会社に関しては、間違ってもブラック企業だけは選びたくないというのは、誰もが思うところ。

それだけに、最近の学生は就活で訪れる社内をよく観察しているようで、現に最近では、とある会社の社内に貼られていた、社員教育セミナーを手掛ける某社が制作したポスターを撤去したところ、内定辞退者の数が激減した……といった話が、SNS上で大きな話題となったばかりだ。

そういう風に考えれば、仮に今回の“オワハラ禁止令”が順守されるようになれば、ブラック企業を見極める材料が減ることにもなりそうなのだが……。実際のところは、そもそも日本の就活スケジュールなどを守っていない外資系企業の存在もあり、政府が要請を出したところで有名無実だという見方も出ているところで、当分はブラック企業を“フィルタリング”する手掛かりとして機能することとなりそうな状況のようだ。

Next: 「2024年卒業組にはオワハラし放題ってことか??」



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Image by:Shutterstock, Inc.

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