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30年後の日本はもっと悲惨。黒田日銀“異次元緩和”の爪痕がいまの現役世代を苦しめ続ける=神樹兵輔

今回は「黒田日銀総裁の大規模異次元緩和で日本は泥沼に嵌った!いま現役人生バリバリの30代・40代が30年後に迎える老年の日本社会は地獄」というテーマで、その問題と個人における対策をえぐっていきます。(『 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』)

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※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年7月24日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:神樹兵輔(かみき へいすけ)
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

「失われた30年」は終わっていない

「30年後」の未来を思う時、誰もが考えるのが「30年前」の過去の日本社会はどうだったのか――ということでしょう。

皆様ご承知の通り、ざっと振り返って見ても、それは日本国の「衰退の始まり」の姿だったのです。

つまりは「失われた30年」であり、これからの「失われた40年~60年」への幕開けだったのです。

今から30年前といえば、1980年代後半のバブル景気が弾け飛んで、景気低迷の90年代に入り、株価も地価も下がっていくバブル崩壊過程の真っ最中になります。

そして、97年の金融危機を経て、それ以降の長いデフレのトンネルに入っていった時代でした。

これが「失われた30年」でした。

現在30代・40代の人は、物心つく頃から、ずっと日本経済の右肩下がりを体験してきた世代に他なりません。

また、現在50代の人であっても、社会人になってからというものは、下り坂の日本経済だけを人生で多く味わってきた世代といってよいでしょう。

つまりは、現在30代の終り頃から50代になり始めた世代は、バブル崩壊後の不況期に社会に出ることを余儀なくされた「就職氷河期世代」に相当する人たち――というわけです。

こうしてみると、かろうじて、現在60代以上の人たちだけが、社会人になってからの浮き沈みはあっても、それなりに日本経済の栄光の時代を、そこそこ体験できた世代といってよいのです。

こういった世代間の経済感覚の格差といったものを俯瞰して見ると、やはり、30年間というのは、それなりに長く、ひと世代が、大きく人生を移り変わらせる過程となっているのです。

30年ひとむかし――なのです。

この30年間、日本はデフレでした。

しかし、デフレといっても極端なデフレスパイラルは起こらず、物価は横ばい、実質賃金もジリジリと下がるだけで、後半になってインバウンドだけが好調といった、ある意味「奇妙な安定」の中にあった、いわば衰退が本格化する前の「踊り場」の状況にあった――と見ることも出来るでしょう。

それが、コロナ禍とその収束によって、ここにきて様相が一気に変わり始めました。

日銀の10年に及ぶ異次元緩和の副作用として、円安がすすんでも輸出は伸びず、エネルギー価格や物価が上昇し、日本国民のフトコロ具合が急速に厳しくなってきているのです。

岸田政権は国民の窮乏も何のそので、隙あらば、増税の道を探る構えでしかありません。

政治献金をくれる大企業優遇の政策を続けるだけの「利権・口利き主体」「米国隷従」「反日・旧統一教会癒着」「世襲議員主導」の腐った自由民主党が与党である限り、日本国民は格差拡大を確実に強化され、国中が貧困層だらけになっていくのは間違いないことでしょう。

日本はここから長期にわたって、ジェットコースターのように急降下していく流れに乗り始めた――といってよいのかもしれません。

Next: ここからがさらに地獄。国民目線の政治が行われない国・ニッポン



国民目線の政治が行われない国・ニッポン!

そして、現在、30年以上前から懸念されていた「人口減少」「少子高齢化」といった問題が顕著にスピード感を増して、社会のあちこちに「ひずみ」を生じ始めています。

こうした時代が来ることが30年以上前からわかっていながら、日本の政治は無頓着でした。

自民党政権も「少子化担当相」などという特命大臣を設け、「やってる感」のアリバイづくりのポーズだけはとってきましたが、票に結び付かないので、実際は無策を続けてきたのでした。

アメリカの命令に従って大軍拡に走った岸田首相は、その批判を交わしたい思いなのでしょう。唐突に「異次元の少子化対策」などと持ち出してきています。

しかし、内実は子育て手当などの増額が主軸で、その財源も不明瞭で、「異次元のしょぼさ」と揶揄されるばかりの少子化対策なのです。

今さらもう手遅れなのです。

岸田首相は就任早々、「新しい資本主義」などと意味不明のプロパガンダを唱え、「所得倍増計画(荒唐無稽なので資産・所得倍増計画と言い換えた)」などと大風呂敷を拡げたり、「異次元の少子化対策(これもあとから次元の異なる少子化対策に言い変えた)」とぶち上げたり、知恵も工夫も何のアイデアもないのに、出来っこないことを口先だけで唱えています。

何も考えないで、これまで国会議員をやってきたことがバレバレの、中身のない「空っぽ人間」だったことを露呈しています。

そのため、多くの国民はシラケるばかりでしょう。

皆様ご承知の通り、1989年に3%で導入し、今日10%までに引き上げてきた消費税率は、これまでの税収の75%が、法人税率引き下げによる減収、所得税率引き下げによる減収分に充当されてきました。

消費税は、もとより目的税ではありませんから、社会保障の財源に充てた――などいう反日・売国政党・自民党の宣伝は大嘘です。

そして消費税率をアップするたびに、景気を冷やし、日本をインフレにするどころかデフレに留まらせてきています。

消費に罰金を課すような税なので、需要を減退させる効果が高いのは当たり前の話だったのです。

それにも関わらず、この政策の愚かさを改めようとしないのが反日・売国の自民党をはじめ、それに連なるおバカな野党の面々でした。

岸田政権はインボイス制度導入で、今後も増税していくつもりですから、この負のサイクルから日本は逃れられないのです。

Next: 国民は無気力・無関心・無責任…おかげで自民党は利権政治に邁進できる



「無気力」「無関心」「無責任」の国民の三無主義のおかげで自民党は口利き・利権政治に邁進できる

フランスでは、年金支給開始年齢を62歳から64歳に引き上げる――という法律案を強行議決しただけで、デモや暴動が起こっています。たった2年支給開始を繰り延べするというだけで、これだけの騒動になるのです。

しかし日本では、どれだけ消費税率を上げても、政権癒着のマスメディアも批判しないため、国民も静かなものです(1989年に3%で導入、2019年10月に8%から10%)。

日本で年金支給開始年齢を60歳から65歳に引き上げる――と決めた時も、これまた静かなものでした(2000年)。

「中間搾取」を合法化し、「有期雇用」「間接雇用」「低賃金」の派遣労働者をひろく制度化しても、静かなものでした(1986年労働者派遣法施行)。

コロナ禍で五輪を強行しても、静かなものでした(2021年)。

危険極まりない「原発推進法」を採決しても静かなものでした(2023年6月)。

専守防衛を放棄して大軍拡に走っても、静かなもので、ほんの小さなデモがそこそこ起こったぐらいでした(2022年12月安保関連3文書閣議決定)。

日本では、米国や大企業の言いなりで、世襲政党・自民党が好き勝手に悪魔のような法律を通しても、ほとんど騒動にもならず、首相の支持率もどんなに下がったところで3割を切ることもなく、ひたすら「ゆでガエル」状態の国民の静観が続いてきたのです。

自民党政治に対して「クソ馬鹿野郎、やめてしまえ!」という怒りと不満をもつ人が圧倒的に少なすぎるからです。

消極的岩盤の自民党支持層が、何も考えずに自民党に投票し、その他の国民は、選挙があっても「何も変わらないから」と諦観し、有権者の半分しか投票所に足を運びません(自民党支持の国民が約3割、無党派層が約4割)。

強制投票制を導入すれば、日本の政治風景も変わってくるはずですが、国会両院で単独安定多数の自民党にとっては、投票率が上がると不都合ですから、そんな制度も導入されません。

ゆえに、自民党は大企業からの献金欲しさに、経団連のいわれるままに、大企業優遇政策をとり続けることになっていきます。

ちなみに、経団連は輸出大企業が中心なので、国内で下請け企業イジメで、仕入れ時にロクに払ってもいない消費税が輸出時に還付されるので、消費税率アップにも大賛成です。

これまで消費税率アップとともに、法人税率もその分引き下げてもらってきました。

非正規雇用拡大で賃金を抑制出来たおかげで、内部留保も500兆円台まで積み上げてこれました。

マイナンバーカードの健康保険証紐づけと、健康保険証廃止も経団連の自民党への指令でした。加入者個々の負担と給付の比率を把握して、給付削減につなげたい思惑があるからです。

年間たった数十億円程度の自民党への献金で、その千倍~1万倍のキックバック効果を得てきたのが経団連に連なる大企業でした。エビでタイを釣るが如しです。

Next: 不況で「金融緩和」しているのに「消費増税」する大バカな政府…



不況で「金融緩和」しているのに「消費増税」する大バカな自民党

第2次安倍政権下で、2013年から日銀総裁に就任したばかりの黒田東彦氏はアベノミクスの一環で「大規模異次元緩和」を始めました。

2年で安定的なインフレ率の2%を実現して、デフレから脱却する――と黒田東彦総裁は就任会見で大見得を切りました。

しかし、1年経っても、2年経っても、その後においても、いつまで経っても、それは実現できず、言い訳の垂れ流しでズルズルと資金供給を拡大させる一方となるのでした。

「戦力の逐次投入」はしない――といって、2013年4月にドカンと黒田バズーカ第1弾で国債買い入れ額を年間50兆円、日本株のETF(上場投資信託)などを年間1兆円ペースで買い入れる――と表明します。

そして、1年後には日経平均株価も12000円台から15000円台にのせ、為替相場も90円台から100円台までの円安にのせ(2011年10月31日には1ドル75.58円の最高記録あり)、有効求人倍率も何とか1%を上回らせ、消費者物価の前年比上昇率も1.4%まで上げることが出来ます。

しかし、異次元緩和の効果はたった1年のここまででした。

あとは、官製相場で、空虚な株高を演出しただけです。

2014年4月に安倍政権によって、消費税率が5%から8%に引き上げられると、景気は減速し、ますます物価も上がらなくなります(GDP年率換算で7.5%減)。

不況の時に平気で増税を行うのが、反日・売国の自公政権なのです。

そのうえ、当時の世界的な景気減速と原油価格の下落も追い打ちをかけました。

あとは泥沼に陥るだけ――だったのです。

狂気のYCC政策で出口をなくした黒田日銀総裁の迷走ぶり

2014年10月には、黒田バズーカ第2弾で年間国債買い入れ額を30兆円増やして50兆円から80兆円に、ETFなどの金融商品買い入れ額を年間1兆円から3兆円ペースにしましたが、安定的な物価上昇率2%の目標にもとても届きません。

2015年2月には物価上昇率が0%台になり、夏場以降はマイナスにまでなったのです。「2年で2%」の公約どころではありませんでした。

もはや手詰まり感どっぷりなのに、黒田日銀総裁は暴走を続けます。

黒田日銀総裁は、ことここに到っても強気で「ピーターパンの物語には、飛べるかどうか疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう。大切なことは前向きな姿勢と確信です」などとうそぶく始末でした。

永遠に日本を飛べなくしたのは、あんたたちアベ・クロのコンビだろう――と指摘しておきたいです。

2016年6月には、日銀・黒田総裁は、日本の金融政策市場はじめての「マイナス金利」の導入を打ち出しました。

民間金融機関が日銀に預けている当座預金にマイナス0.1%の金利を適用するということは、日銀当座預金にカネを積まずに市場に回せということです。

当座預金にカネを積んでいると、金融機関が日銀に金利を払う形になり、積んだカネが目減りするだけだからです。

金融機関は、市場で融資先を必死に探すしかなくなりますが、これではいくら貸出先を増やしても、金融機関も利ザヤで稼げなくなります。

喜んだのは、資金調達が楽になった企業や、住宅ローン金利が借りやすくなる人、官製相場で株価が上がる投資家だけでした。

さらに2016年9月には、10年物の長期国債を買いまくって、10年物国債金利を0%程度に抑え込むという、とんでもない狂気の手法に打って出ます(YCC=イールドカーブコントロール)。

しかし、それでも物価は上がらなかったのです。

そして、2019年10月からは、安倍政権が消費税率を8%から10%に引き上げたため(GDP年率換算で7.1%減)、再び景気は減速、需要は萎み、物価は低迷します。

アベノミクスどころか、ブレーキとアクセルを同時に踏み込む「アベコベ」のミクスだったのです。本当にバカとしか、いいようがありません。

そして、2020年コロナ禍が襲い、4月には国債の買い入れ枠上限の80兆円をとっぱらい、ETFなどの金融商品買い入れを6兆円から12兆円に増やします。

それでも安定的な物価上昇率2%は達成できません。

9月には敵前逃亡の体で安倍首相も政権を投げ出しました。

2度目の「政権投げ出し」でした。

ともあれ、とんでもなく無茶苦茶で出鱈目な政権運営と金融政策だったのです。

Next: 日本経済の長期に及ぶ「イバラの道」のスタート



日本経済の長期に及ぶ「イバラの道」のスタート

こうして2023年4月8日に2期目の最終期日を迎え、10年間の任期をすべて終え、黒田日銀総裁は退任しました。

退任会見では、「大規模異次元緩和は適切な政策だった」の一点張りで「4%台だった失業率も2%台に下がり、400万人以上の雇用の拡大に貢献した」などと胸を張ったものでした。

雇用増加の大半は人手不足対策からの賃金水準の低いパートや非正規雇用にすぎず、全体の賃金も上がらず、金融機関などの経営に打撃を与えた異次元緩和の副作用や後遺症についてはまったく触れることもありませんでした。

しかし、この10年間で金融緩和に投じた日銀の資金総額は1,500兆円あまりに上ります。GDPの約3倍の規模です。

そして国債発行残高約1,000兆円のうち、すでに半分を日銀が保有する異常な状態となり、ETFなどの金融商品保有額も50兆円を超える――というベラボーな財政ファイナンスの危機的状況に日本を陥らせたのです。

学者出身の植田和男氏が日銀の新総裁に就きましたが、泥船の日銀ゆえに引き受け手がない中、どうやら名誉欲だけに駆られて総裁職を引き受けた――という説もありますが、いったいどうやって、これから正常な金融政策に戻す――というのでしょうか。

長期金利のコントロール(YCC)が効かなくなったら、金利上昇で日銀は膨大な国債の含み損を抱えて債務超過に陥ります。

日本円という通貨の信認を毀損した日銀のその後は、急激な円安が襲い国内物価急騰、ハイパーインフレで国の借金も多くがチャラになるものの、国民は大窮乏!――というハチャメチャな結末を迎えかねないわけです。

世襲3代目の故安倍元首相といい、能天気だった黒田日銀総裁といい、ホントに日本国のために、とんでもない状況を作ってくれたものなのでした。

コロナ禍の収束とともに、ロシアのウクライナ侵攻があり、足元では悪いインフレ(コストプッシュ型)でエネルギー価格や食料価格が上がりました。

さらに物流や人手不足の影響からよいインフレ(ディマンド型)も始まっているようですが、日銀の植田新総裁は、まだ安定的な物価上昇率2%には到っていない――というのです。

ゆえに、異次元金融緩和はこのまま継続すると言明しています。もはや局面が大きく変わっている――というのにです。

実際のところは、長期金利コントロール(YCC)だけはやめたくても、金利急騰が怖くてとても動き出せない――という状況なのは間違いないところでしょう(原稿執筆時点2023年7月17日。28日の日銀金融政策決定会合にて、黒田総裁はYCCの修正を決めています)。

この間、円安は米ドルだけでなく、ユーロに対しても、新興国通貨に対しても進行しています。欧米はインフレで政策金利を上げていますから、金利差で日本円が売られます。

一時はドル円相場で、151円まで下がりましたが(2022年10月21日)、長期的に考えると、身動きできない日銀ですから、これから先、ドル円やユーロ円で、200円台、300円台の超円安もあり得そうな気配さえしてきます。

為替の専門家は、目先の円高を憂いますが、長期では日本円低落の可能性のほうがはるかに高いでしょう。

Next: 奈落の底に落ちていく日本経済…30年後の「円安・地獄」に備えるには?



30年後の将来は今よりひどい「円安」が襲う?

こうなるともう、日本円そのものの保有すらヤバくなっていくでしょう。日本円を持つリスクが高い――といえるのです。

もちろん、円がドルやユーロに対して、200円台、300円台になったら、国内物価も爆上がりして、生活はさらに苦しくなり、日本人の海外旅行なども、夢のまた夢になるでしょう。

しかし、かつてドル円が、360円の固定相場だった時代(1950年代後半から70年代はじめ)に、日本経済は輸出主導で絶好調でした。

はたして、円安が恒常化すれば、もう一度そういう輝かしい時代に戻れるのでしょうか。

これもまた夢のまた夢でしょう。

輸出にはある程度貢献しても、かつての高度成長期の輝きは取り戻せません。輸出数量が伸びず、円換算の額面だけが増えるだけです。

日本の人口減少とともに進む少子高齢化によって、生産年齢人口(15歳~64歳)が縮小する一方ですし、日本経済の潜在成長率も、かつての成長期には4%前後あったものが、今や下がるばかりで、0%台が常態化しています。

日本のモノづくり産業も、空洞化とともに、競争力は中国や韓国、ベトナムといった新興勢力に奪われてしまっているからです。

日本の出番は、世界経済にあって小さくなるばかりなのです。

奈落の底に落ちていく日本経済!30年後の「円安・地獄」に備えるには?

過去にも取り上げた通り、これからの日本で貧困老後になる早道は、現役時代に「マイカー」「マイホーム」「生命保険」「教育費」の4つを無理して選択した場合です。

【関連】お金をかけたら老後貧困にまっしぐら。マイカー、マイホーム、生命保険、教育費に仕掛けられた4つの罠=神樹兵輔

「マイカー」はご承知の通り、保有にベラボーなカネがかかり、長期間にわたる保有コストが所得を圧迫します。マイカーを選択しないで生活できる環境を模索すべきでしょう。

「マイホーム」もしかりで、長期ローンを30年後に完済した時には、住宅の価値が大幅に下がっています。価値の下がるモノに、長期で借金すれば、大損するのは当たり前です。

「生命保険」は、保険会社と保険加入者の「利益相反」ゆえに無駄の塊です。イザという時の補償に回る費用(純保険料)よりも、保険会社などの販売側の利益やコスト(付加保険料)のほうが、バカ高いからです。

健保の「高額療養費制度」があれば医療保険などに入る必要もありません。コスパ最高の「都道府県民共済」に加入すれば、大幅な節約が可能なのです。

「教育費」も、AI時代には学歴が意味をもたなくなりますから、子供のために大金を使っても、4割が低賃金・非正規になりかねない労働環境の下では無駄になりかねません。

格安のフィリピン・イングリッシュ・リモートレッスンなどで、英語力を養わせた方が、実践では役に立つでしょう。

そして、これからは、ハイパーインフレに備えて、都市部の中心地域に限定しての不動産投資か、ドル保有を心がけたほうがよいでしょう。

マイナンバーカードの預金紐づけなどが増えれば、資産課税で一気に財産を奪われる可能性もありますが、外国の現地銀行でのドル保有は手続きが面倒なので、日本の銀行での外貨預金での保有でも致し方ありません。

Next: 30年後の円安・地獄に備えて「自分年金」を用意する方法も



30年後の「円安・地獄」に備えて「米国ゼロクーポン債」で「自分年金」を用意する

また、将来の超円安に備えて、金利の上がってきた米国の「ゼロクーポン債(ストリップス債)」を、10年後、20年後、30年後に備えた将来の「自分年金」として考えるのも悪くないでしょう。

数年後償還の既発債なら、現在3%以上の年利回りも期待できるからです。

ゼロクーポンとは、利息(クーポン)の付かない割引債のことです。数年後の満期時に1万ドルで償還される割引債なので、その分安く買えて、複利効果が狙えます。

証券会社は手数料がショボいので、ゼロクーポン債についてはほとんど宣伝しませんが、円高の時にこれを買っていた人たちは、現在大きな含み益を抱えています。

たとえば、今から21年後の2044年5月に1万ドルで償還される米国ゼロクーポン債は、現在およそ4,466ドルの割引価格で購入できます。

21年後の満期日に1万ドルで償還されれば、購入時の2.24倍になるわけで、年利回りは概ね3.9%程度ずつ増えた計算になります。そのうえ、さらに円安がすすんでいれば、手取りは大きく膨らみます。

このゼロクーポン債を1ドル140円の時に購入すると、円建ての投資元本は、62万5,200円です。

満期に1万ドルを受け取った時に、今より2倍の円高が進み、1ドル70円になったとしても、受け取る円換算額は、70万0,000円なので、投下した元本は62万5,200円なので元本割れしていません。

むしろ、将来は今よりさらに円安になる懸念のほうが強いのですから、証券会社で既発の米国債の5年や10年、20年といった残存期間のゼロクーポン債を買って、満期まで持てば、今以上の円安になればなるほど、円換算では大いにトクをするでしょう。

1ドル140円が200円になったら、単純に資金が1.4倍に増えたことになり、1ドル140円が250円になったら、1.7倍です。

もちろん、前述の通り、米国ゼロクーポン債を、満期時や途中で売却した際に、購入時よりも円高になっていたら、損をする場合もあります。

いくらまで円高になったら、投資元本割れする可能性があるか――などを検討してから、買うのが安全第一で正解でしょう。

ゆえに購入時は、なるべく円高になったタイミングを狙うことが重要です。

こうした米国ゼロクーポン債の購入は、日本円の将来に極めて悲観的な筆者のような人間にとっては、有効な円安地獄対策になっているわけです。

Next: 地獄の日本の未来は「自助努力」で乗り切るしかない



地獄の日本の未来は「自助努力」で乗り切るしかない

約30年後の2050年に、世界人口は今より20億人増えて、100億人になるようですが、日本の人口は2,000万人減少して1億人を割り込むと推計されています。

現在、65歳以上高齢者の人口比率は29%ですが、2050年には38%になると推計されています。2060年には39.9%の老人比率で、2.5人に1人が65歳以上の老人です。

日本はそこら中、老人だらけの国になるのです。社会保障も風前の灯となります。そして、3軒に1軒は住宅も空になっています。老人だからと言って、孤独死を怖れられて、家を貸してくれないといったこともなくなるでしょう。

安い電子機器での「見守り機能」も充実して普及しているはずですから、むしろ孤独死はなくなり、部屋で倒れたら、即救急搬送対応といった状況が期待できるでしょう。

くれぐれもマイホームなど購入しないように、安くなっていく賃貸物件で手堅く生活していきましょう。

30年後には、国内需要の減少とともに、GDPも大幅に縮小しています。現在GDP世界3位の日本も、インドやインドネシア、ブラジル、メキシコに抜かれて7~8位に後退しています。

人口も減り、老人だらけになっていくこの国で、岸田首相はアメリカを喜ばせるべく大軍拡に走っていますが、国の将来設計をまともに考えたことがあるのでしょうか。

首相在任中の自分の体裁だけを考える、世襲3代目の限界と言わざるをえないのです。

まあ、世襲政党の自民党を選んできた、私たち日本人の「自業自得」と言ってあきらめるしかなさそうです。

地獄の日本の未来は、今からの私たち自身の「自助努力」で乗り切るよりありません。

次回は、「年収の壁を取っ払え!人手不足社会到来なのに矛盾した制度を温存する政府へはNOを突き付けよう!」というテーマでお届けします。サラリーマンの夫に扶養される、妻という第3号被保険者の立場で、パートやアルバイトで働く人々の税負担、社会保障負担の問題点をえぐっていきます。

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2023年3月配信分
  • 手抜き・ボッタクリの「名ばかり管理」が横行する「不動産管理業務」という業態の闇! 不動産所有者は騙されっぱなし!(3/27)
  • 後任が見つからない中、名誉欲に駆られて就任した植田・日銀新総裁に待ち受けるハイパーインフレという地獄の洗礼!(3/20)
  • 地方議員は不要! 議員のなり手不足解消策での報酬アップは無意味! 地方議会の定数大幅削減こそが大正解!(3/13)
  • 平和国家・日本でなくなる! 専守防衛を捨てた国家のイメージが固まる日! 自民党政権のアメリカ隷従の成れの果て!(3/6)

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2023年2月配信分
  • ボッタクリ美容整形外科を駆逐すべし!(2/27)
  • 日本の少子化は止められない! 国家消滅へ向かう地獄の未来図!(2/20)
  • 少額投資でスタートする「サラリーマン大家さん」たちの死屍累々! サラリーマン大家を騙す不動産業界の魑魅魍魎!(2/13)
  • 人々の心をあやつるマインドコントロールの闇(2/6)

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2023年1月配信分
  • 怠け者の楽園と化した『高額報酬の大都市の地方議員』と『なり手のいない過疎地の地方議員』の闇をえぐる!(1/30)
  • 自民党の世襲バカボン政治によって日本はボロボロに! 自民党への支持を続けて政権をとらせてきた日本国民の哀しい自業自得!(1/23)
  • マイホーム購入の罠! 人生のリスクを最大化し、貧困老後を招く危険な道筋!(1/16)
  • 無税サラリーマンになるメソッド! 税金を払わずに再投資で儲ける! 悪徳でも合法の蓄財術!(1/9)
  • 学歴と資産形成の不思議な関係! 高学歴パラドクスに陥ると老後の貧困地獄が待っている!(1/9)

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2022年12月配信分
  • 歯科医師業界の闇(12/26)
  • 認知症の高齢者を食い物にする法律専門職たちの犯罪行為(12/19)
  • 宝くじにまつわる闇(12/12)
  • 不動産業界の騙しの手口の数々! 悪徳業者だらけの業界の闇をえぐる!(12/5)

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2022年11月配信分
  • 製薬メーカーの闇!(11/28)
  • 介護が必要になっても介護施設に入れない日本人老後の危機的状況!(11/21)
  • 諸悪の根源である政治献金はただちに禁止!(11/14)
  • 現役サラリーマンの9割が貧困老後に陥る――という近未来の地獄!(11/7)

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2022年10月配信分
  • 毒まみれ外食・中食・加工食業界の食品素材! トレーサビリティを徹底しない農水省と厚労省の深い闇!(10/31)
  • マイナンバーカード普及を急ぐ政府の本当の狙いは国民への資産課税!(10/24)
  • 「怠け者の楽園」といわれる地方議会の議員は不要!(10/17)
  • 儲けすぎで肥大化したNHK! スクランブル放送化での解体が急務! そのエグすぎる闇の本質とは!(10/10)
  • 弱いものイジメの消費税!インボイス制度導入は、さらなる消費税率アップへの布石!今こそ消費税反対!(10/3)

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2022年9月配信分
  • 不動産投資で失敗する人続出! イールドギャップの罠に嵌り、メガ大家を目指すサラリーマン不動産投資家の危険な構図!(9/26)
  • アパート入居者は大損させられている! 都市ガスよりも料金が2〜3倍も高いプロパンガス業界の闇!(9/19)
  • なぜ「個人情報保護法」があるのに、他人の秘密を暴く「探偵調査業や興信所」という商売がはびこっているのか?(9/12)
  • 無資格で誰でも始められて事故続出!リラクゼーション業界の闇(9/5)

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2022年8月配信分
  • 宗教とカネ! 所詮は金集めが中心の宗教団体! 宗教法人のオイシイ税制優遇制度!(8/29)
  • なぜ金持ちはますます肥え太り、庶民はますます貧乏になるのか――金持ちほど税金を払わないですむカラクリ!(8/22)
  • 大企業は中小・企業よりも法人税を払っていない!(8/15)
  • 日本人の賃金低下を促す「労働者派遣事業」は禁止すべし! 「中間搾取」「間接雇用」「有期雇用」が格差社会の元凶!(8/8)
  • 兄弟姉妹間での「争族」を増やす! 「亡親の遺産」独り占めを狙う親族に加担する悪徳公証人が横行!(8/1)

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2022年7月配信分
  • 日本の生命保険は加入者とは「利益相反」の矛盾だらけの高額で無駄な欺瞞商品!(7/25)
  • 「ふるさと納税」は金持ち優遇で税金の無駄遣い! ただちに廃止すべき、その理由!(7/18)
  • 悪名高き奴隷労働の「外国人技能実習制度」はただちに廃止すべき!(7/11)
  • 世襲議員が日本を滅ぼす!(7/4)

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神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』(2023年7月24日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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1990年のバブル崩壊から続く「失われた30年」を経て、ニッポン国の衰退ぶりは鮮明です。デフレ下でGDPは伸びず、賃金は上がらず、少子高齢化で人口は減り、貧富の格差も広がりました。いったいどうしてこんなことになったのでしょう。政治、経済、社会、マネーや投資に瑕疵があったのは否めません。本メルマガは、そうした諸分野に潜む「闇」を炙り出しグイグイえぐっていこうとするものです。

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