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2024年「新NISA」最強戦略を長期投資のプロが解説。自分に合った投資の見つけ方とは?=栫井駿介

今回は2024年に導入される新しいNISA制度とそれに伴う投資計画についてです。新しいNISAが始まることは聞いたことがあるかもしれませんが、その詳細や自分がどのように活用すべきかについて、まだ十分に理解している人は少ないかもしれません。投資に興味があるけれども何から始めればいいかわからない初心者の方はもちろん、経験豊富なベテランの方々にとっても参考になると思いますのでぜひお読みください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

「新NISA」何が変わる?

まず、2024年から始まる新しいNISAについて、一言で言えば非常に魅力的な制度だと言えます。

岸田政権は資産所得倍増計画として、運用から得られる利益を今の2倍に増やす目標を掲げており、その中心的な要素が新しいNISAです。

新しいNISAは、これまでのNISAと比べてかなり利用しやすくなります。

今回のNISAは以前の使いにくさを一掃し、非常に魅力的な内容となっています。

投資を検討している方にとって、この制度は絶対に活用すべきものです。

開設には証券会社または銀行を利用できますが、証券会社の方が個別株の売買などがしやすいためおすすめです。

特に、SBI証券はネット証券の中でもトップクラスで、手数料単価も業界最安値水準です。

SBIは競合他社が手数料を引き下げる場合にも、必ずそれに対抗する強力な体力を持っている信頼性のある企業ですので、私はSBI証券をおすすめします。

NISAとは、少額投資非課税制度のことで、英語ではISA(Individual Saving Account、個人貯蓄口座)といいます。

簡単に言えば、運用益(配当や売却利益など)に対して税金がかからないという仕組みです。

従来のNISAには、一般NISAとつみたてNISAの2つのタイプがありました。

一般NISAは年間120万円までの投資が非課税で、5年間の非課税期間がありました。

つまり、120万円を2015年に投資した場合、2019年までの間、得られる配当や売却利益には税金がかからないという制度でした。

つみたてNISAは、一般NISAと異なり、基準に合致する特定のインデックス投資信託のようなものに限定され、20年間非課税となります。

しかしつみたてNISAは40万円に限定され、毎月一定額を投資しなければならない制約がありました。

従来のNISA制度にはいくつか問題がありました。

まず、非課税期間が5年と短期間であることが挙げられます。

また、一般NISAとつみたてNISAは同時に利用できないため、選択肢が複雑で迷いが生じました。

さらに、制度自体が一時措置であり、将来の存続が不確かであることも懸念材料でした。

出典:金融庁

しかし、2024年からの新しいNISAでは大幅に改善されました。

まず、投資枠の上限が大幅に拡大し、一般NISAの上限が240万円、つみたてNISAが年間120万円に増加しました。

これにより、多くの人にとって「足りない」という心配が無くなったといえます。

さらに、一般NISAとつみたてNISAの併用が可能となりました。

迷うことなく両方を活用することができるようになり、利用しやすくなりました。

さらに、以前の5年間の非課税期間の制約がなくなり、無期限に非課税となりました。

これにより、長期的な投資計画を立てやすくなりました。
最大で1800万円まで非課税で積み立てることができ、老後への備えが強化されました。

また、大きな変更点の一つは、枠の再利用が可能となったことです。

例えば、5年間で360万円を積み立てて1800万円に達した場合、利益確定して900万円分売ったとしたら、再び900万円を投資できるようになります。

これにより、利益確定や損切りがしやすくなり、柔軟性が向上しました。

最も重要なのは、この制度が恒久的に続くという点です。

法律は変わる可能性がありますが、恒久化された制度は簡単に変更されないでしょう。

投資対象も幅広く、特定の条件を満たす投資信託に限定されず、成長投資にも適用されます。

出典:金融庁

要するに、新しいNISAは非常に魅力的な制度であり、迷う理由はほとんどありません。

特に、長期投資を推奨する視点から見れば、非常に有利な条件が整っていると言えます。

これは老後の資産形成にとって非常に有用な制度であると言えます。

株価の上昇が必要なことは確かですが、実はアメリカでも同様の状況がありました。

アメリカでは、将来の資産形成のために投資を促進する優遇制度が導入されました。

例えば、1974年には非課税口座である『IRA』が導入され、その後も拡充が行われました。

このような制度が整備された背後には、株式市場への個人の資金流入が大きな役割を果たしています。

実際、アメリカでは株式市場の成長が、個人の資産形成に大きな影響を与えました。

個人が資産を株式市場に投資することで、株価の上昇が支えられ、アメリカの株式市場が右肩上がりで成長しました。

アメリカでは、個人の資金が時価総額の50%ほどを占めるほどになりました。

出典:macrotrends

同様に、日本でも資産を積み上げ、積立てを行うことが非常に重要です。

売買のみではなく、資金の流入を続けることが株式市場の成長を支えます。

また、個人の金融リテラシーが高まり、株式投資に関する情報が充実することで、投資家が増えることも期待されます。

この機会を逃さず、投資に取り組むことが日本の株式市場を活性化させる一環となるでしょう。

Next: NISAを使うなら避けるべき投資法は?自分に合った商品の見つけ方



NISAに適さない投資法

NISAを効果的に活用するために避けるべき投資は、要するに短期売買です。

NISAの投資枠は、成長投資なら年間240万円となっています。

しかし、短期売買を行うと、投資枠をすぐに使い切ってしまう可能性があります。

例えば、100万円で銘柄を買い、売却するとその100万円の枠が使われます。

そして、次に別の銘柄を買いたい場合、再び100万円の枠が必要になります。

このように、短期売買を繰り返すと、240万円の枠がすぐに使い尽くされてしまいます。

結果として、NISAのメリットを活かす余地がほとんどなくなります。

このため、特に初心者の方にはお勧めできない方法です。

リスクが高く、資産を失う可能性があるため、控えるべきでしょう。

NISAには適していない手法と言えます。

あなたに合った投資は?

NISAについて、投資対象商品は多岐にわたり、選択肢が多くて迷うこともあるでしょう。

特に、成長投資枠において、投資信託と個別株式の2つの選択肢があります。

投資信託は大まかに、インデックスタイプとアクティブタイプに分かれます。

インデックスタイプは、世界の株式を平均的にカバーしようとするもので、トピックスなどに連動するものなどがあります。

一方、アクティブタイプは、ファンドマネージャーが特定の戦略や企業に基づいて選んだり、高配当株や割安株などの戦略を活用するものです。

個別株に関しても、日本株か米国株か、成長株か割安株か、高配当株か、REITなどの選択が必要です。

つみたてNISAの場合は、投資信託のうちインデックスかアクティブか程度の選択となります。

成長投資枠において、何を選べば良いか悩む方が多いと思います。

そこで、このような投資診断チャートを作ってみました。少しでもあなたの投資選択の助けになれればと思います。

投資に関する迷いや苦痛を減らすために、自分の性格や考え方に合った方法を見つけることが重要です。

深く考え続けたくない方や、個別株には苦手意識がある方には、インデックスファンドが適しています。

一方、アクティブなアプローチが好きな方や、特定の分野に興味がある方は、アクティブ系の投資信託や個別株式の方が合っていると思います。

チャートを使って自分に合った方法を見つけてみてください。

Next: 投資は人生をより良いものにする手段。NISAの前にやるべきことは?



NISAの前にやるべきこと

ここまでNISAについて話しましたが、NISAは単なる投資手段であり、人生の目的ではありません。

資産運用と資産形成は、生活全体において資産を積み上げ、効率的に増やす方法を考えることが重要です。

効率的な方法は人によって異なりますが、全体の戦略を考えることが大切です。

実際、NISAは全体の戦略において最優先されるべきものではないと考えています。

もちろん、NISAを通じて資産を構築することは重要ですが、特に、働いている人にはそれ以上に優先すべきことがあります。

それが確定拠出年金です。確定拠出年金は、俗に「401k」や「iDeCo」と呼ばれるものです。

NISAとは異なり、将来の年金として使える制度で、自分でお金を積み立て、老後に受け取ります。
受け取り方には一時金と年金の2つの方法があります。

企業型確定拠出年金(401k)と個人型確定拠出年金(ideco)の違いについて簡単に説明します。

企業型確定拠出年金は、確定拠出年金制度のある企業の社員しか加入できない制度です。
一方、idecoは誰でも利用できる個人向けの確定拠出年金制度です。

企業型確定拠出年金はその企業の社員に限定されますが、idecoは誰でも利用可能です。

企業型確定拠出年金の限度額は月に最大5.5万円で、年間で66万円になります。
この蓄積を長期間に渡り運用することで、最終的な資産が非常に大きくなります。

idecoの利用は個人の事情に合わせて柔軟に選択できますが、一般的な会社員の場合、月額の限度額は厚生年金に加入している場合は月額2.3万円、自営業者の場合は月額6.8万円となります。

企業型確定拠出年金は給料から天引きされるため、年末調整の対象外で税金がかからないのが特徴です。一方、idecoは年末調整を行い、返金を受けることができます。

確定拠出年金にはいくつかメリットがあります。

まず、掛け金は所得控除の対象となります。これは所得から差し引かれ、所得税の減免につながります。所得によって税率が異なりますが、高所得者ほど大きなメリットが得られます。たとえば、60万円の確定拠出年金掛け金を支払った場合、年末調整で所得税の一部が還付され、実際に手元に残るお金は確実に増えます。

確定拠出年金は、将来の老後資金をしっかりと積み立てる手段として非常に重要です。これがあれば将来の安心感が増し、仮に他の投資に失敗したとしても最低限は確保できるということになります。

また、2番目のポイントとして、確定拠出年金の運用益にも税制上のメリットがあることがあげられます。具体的には、受け取る際に収入として計算され、いわゆる退職金にかかる税金として処理されます。退職金は将来の年金と合算され、その際には通常、現役世代の方が高い給料を受け取っているため、所得税が少なくなることが期待されます。

税制的なメリットについては、具体的な計算が個人によって異なるため一概には言えませんが、少なくとも年末調整で返ってくるお金は自由に使えるということで、メリットと言えるでしょう。

さらに、確定拠出年金からの引き出し制約は、老後資金を守る面で大きなメリットとなります。手元にお金があるとついつい使ってしまうという方も多いと思いますが、引き出し制約のおかげでそれを防げます。引き出し制約があることで、老後の資金をしっかり守ることができるのです。

確定拠出年金は、老後の安心を守るための重要な手段であり、たとえ他の投資に失敗したとしても老後資金は確保されているということになります。

毎月5万円、年率6%で20年運用した場合のシミュレーションを行うとこのようになります。

出典:金融庁

40歳で始めたとして、60歳になる頃には2,300万円以上になっているという計算で、これだけでいわゆる“老後2,000万円”は確保できているということになります。

確定拠出年金で老後資産の土台を形成した上で、NISAを利用し、自分に合った投資を行って人生をより良いものにしていてはいかがでしょうか。

まとめ

・資産形成はまず確定拠出年金から
・新NISAで「自分に合った資産運用」を考える
・投資を楽しもう!

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2023年9月8日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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