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東京チカラめし、関東から消滅目前で「牛肉品切れ」の盛況ぶり。ファンの脳裏に刻まれる怒涛の出店ラッシュと「床ヌルヌル」の記憶

SANKO MARKETING FOODSが運営する「東京チカラめし 新鎌ヶ谷店」が、物件の定期借家契約満了のため、11月4日に閉店することが決定。国内では大阪日本橋店(大阪府大阪市)に1店舗を残すのみとなったことが、大きな話題となっているようだ。

「東京チカラめし」は、1975年に開業した神田のガード下の定食・牛丼の「三光亭」をルーツとし、2011年の東日本大震災の年に「『チカラがでるめし』で日本を元気に」というコンセプトのもとに、“焼き牛丼”の店舗を生み出した。

その後、一時は店舗数を急拡大したものの、次第にその数を減らしていき、2022年には東京都内で唯一残っていた新宿西口1号店も閉店していた。

急激な店舗拡大がチェーンの寿命を縮めた?

1号店の開店が2011年ということで、飲食チェーンとしてさほど歴史があるというわけでもなく、しかもここ4~5年は日本全国でも10店舗を割り込む規模でしかなかった東京チカラめし。

しかし2011年に1号店がオープンするや、急速に店舗数を増やしていき、翌2012年には早々に累計100店舗を達成。また新宿などの主要駅等では、ドミナント戦略による集中出店も行われていたため、当時はかなり目立つ存在だったのは事実。

さらに、隆盛を極めたのはほんの一瞬で、その後は桜の花が儚く散るように店がどんどん無くなっていったのも印象的で、それだけに今もなお、気に掛ける人が多いといったところのようだ。

この事業規模の急縮小に関しては、当時は輸入牛肉の値上がりが影響して……といった説明もあったようだが、実際のところは急激な店舗拡大による弊害が大きかった、との見方が専らのよう。

というのも、東京チカラめしで供されていた“焼き牛丼”は、その名の通り白米の上に焼いた肉を乗せたもので、具を乗せるだけの一般的な牛丼と比べて、調理にあたって練習が必要で、さらに提供に時間がかかったとのこと。

ところが急激な店舗拡大のため、そういったスタッフへの十分な教育を行う余裕はなかったようで、その結果少数の調理スタッフに負荷が集中し、やがて店舗運営にも支障が出るほどの各店舗の“疲弊”を招いたというのだ。

そんななかで、多くの東京チカラめしファンの間で、長きに渡り取沙汰されることとなったのが、同チェーンにおける「床ヌルヌル」問題。

東京チカラめしの焼き牛丼には、当然ながら肉を焼くという工程があるだけに、調理スペースを中心に油跳ねが多かったようで、またスタッフがそこから客席のほうに行き来することで、店全体の床に油が回ることに。

さらに先述のような急拡大による人手不足もあり、掃除もお世辞にも行き届いていない状況もあったことから、開店からさほど経っていないはずの店舗でも、床はまるで老舗の町中華やラーメン店のようにヌルヌルでベタベタ……というのが、同チェーンのいわば代名詞となってしまったのだ。

閉店を前に“食べ納め”客が来訪

このように焼き牛丼の味わいと同じほど「床ヌルヌル」の記憶も、多くのファンの脳裏に刻み込まれているといった東京チカラめしなのだが、関東地方では当分食べられなくなりそうということで、閉店する新鎌ヶ谷店には“食べ納め”ということか、ここに来てかなり混雑している模様。一時的には“牛肉品切れ”という、まさかの事態にまでなったようである。

SNS上では閉店を惜しむ声とともに、今後の復活を期待する声も多くあがっている状況なのだが、そもそも焼き牛丼というメニューが、大々的にチェーン展開していくための主力メニューとしては、あまり向いて無さそうというのは、自らの過去の歴史が証明しているところ。

そのうえ昨今は、東京チカラめしが急拡大していた約10年前のタイミング以上に、飲食業界をはじめとして人手不足が深刻ということで、今後のチェーン再拡大は限りなく望み薄といった状況だ。

ただ、SANKO MARKETING FOODSによるリリースによれば「できるだけ早いタイミングで東京都内に新店舗オープンのご案内ができるよう、現在はふさわしい物件を探している」との記載が。

もし仮に実現すれば、近年は衰退の一途だった東京チカラめしとしては、久々の新規オープンとなるわけだが、果たして本当に実現するのか。今後の動向に多くの焼き牛丼ファンから、期待の視線が集まっているところである。

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