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ブルーライトカット“効果なし”との研究結果に「JINSさん、5000円返して!」との声。以前は大々的に宣伝も「最近は全然推してなかった」との見方も

スマホやパソコンの画面から発せられているブルーライト。かねてから目に悪いものとされ、それから守るフィルター付きのメガネ、いわゆるブルーライトカットメガネなどが多く発売されている状況だが、それらがほぼ意味がないものだった……と結論付けた研究発表が、大きな波紋を呼んでいるようだ。

論文を発表したオーストラリア・メルボルン大学の研究者によれば、「コンピューター使用に伴う目の疲れを軽減するためのブルーライトフィルター付きめがねレンズを使っても、短期的にはメリットがない可能性があることが分かった」とのこと。

論文では、ブルーライトフィルターレンズでカットできるのは、コンピューター画面などから放出されるブルーライトの10~25%のみだとし、仮にブルーライトのカット量をより増やそうとすれば、レンズの琥珀色が強くなりすぎてしまい、色の見え方に相当大きな影響が出る、と指摘している。

今回研究者らは6か国で数日から数か月にわたって実施された臨床試験、計17件の研究データを検証。ただ臨床試験の期間が短いことから、長期的な影響については検討できなかったと、研究者らは語っているようだ。

JINSの躍進にも一役買ったブルーライトカットメガネ

日夜パソコンとにらめっこの日々を送るデスクワーカーの“必需品”として、日頃掛ているメガネの他にもう一本、あるいは別段目が悪くないという人でも、度なしのものを持っている……といった話もよく聞くブルーライトカットメガネ。

そんなブルーライトカットメガネに関して、日本国内におけるパイオニアであると広く消費者から認識され、さらに自らもそのことを“自認”しているのが、他ならぬJINS(ジンズ)である。

売上高ランキングでは、「眼鏡市場」や「ALOOK」といったチェーンを擁するメガネトップに次ぐというJINS。SPA(製造小売業)モデルの採用によって実現した低価格路線で、創業からわずか20年ちょっとで業界2位のメガネブランドに成長したJINSなのだが、同社では単なる低価格モデルだけでなく、顧客ニーズをうまく取り入れた商品の開発にも注力。

例えば、掛け心地の良さを追求した軽量メガネ「Airframe」や、くもり止め加工を施した度付きサウナメガネ「JINS SAUNA」、そして今回取沙汰されているブルーライトカットメガネの「JINS SCREEN」などは、その代表的な商品だ。

2011年に発売され、翌年には早々に累積販売本数100万本を突破するなど大ヒット商品となった「JINS PC」が、2015年にリニューアルされて誕生したのが「JINS SCREEN」。その後も着実に発売本数を伸ばしていった同商品だが、特にコロナ禍に突入後は、リモートワークやオンライン授業の普及で、より注目度がアップしていたところ。

このように、いわばJINSという会社が大いに躍進した原動力のひとつといっても過言でないブルーライトカットメガネの存在なのだが、それが事もあろうに“効果なし”だと断じられることに。

これを受けて、かねてからブルーライトカットメガネを愛用していたという向きからは「ずーっと騙されていたよ」「5,000円返して!」などといった声も、少なからずあがっているといった状況だ。

JINS持株会社の株価にほとんど影響なし

いっぽう今回の研究結果は、ブルーライトカットメガネを長年に渡り推してきたJINSにとって、当然ながら大きな打撃になるのでは……とも想像されるところなのだが、実際にJINSの持株会社であるジンズホールディングスの株価を見てみると、21日の終値は前日から5円高の3,440円と、結果的にはほぼ横ばい。

今回の報道による影響はほぼないといった状況なのだが、というのもJINS自体、ここ最近は実のところブルーライトカットメガネをそんなに推していなかったのでは……といった見方も出ているようなのだ。

あれだけブルーライトカットメガネの宣伝をしまくっていたJINSが、どうしてそんな“心変わり”をしてしまったのか。そのきっかけの1つになったかもしれない出来事が、同社が渋谷区内の公立小中学生へブルーライトカットメガネを寄贈しようとしていただ。

当初の計画によれば、2021年度に合計約9,000本の「JINS SCREEN」を寄贈し、同様の取り組みを3年間継続するとしていたのだが、計画発表から程なくして、日本眼科学会などの医療系団体がブルーライトカットメガネに関して「子どもに推奨する根拠はなく、むしろ発育に悪影響を与えかねない」といった趣旨の意見書を発表。これを受けてJINSは、メガネ寄贈計画を中止したという。

その意見書には、ブルーライトカットメガネによって太陽光がカットされることで、子どもにとってはむしろ近視が進行する懸念がある、と指摘されていたとのこと。さらには、アメリカの眼科アカデミーが患者向けに公開している文書を引用する形での、ブルーライトカット眼鏡に眼精疲労を防ぐ効果は認められず、そもそもブルーライトが目に悪いという科学的根拠はない……といった記載もあり、いうなればブルーライトカットメガネの存在意義を真っ向から疑問視する内容だった模様。この一件以来、JINSサイドはブルーライトカットメガネを以前ほど推さなくなった、ということも大いに考えられそうなのだ。

もっとも「JINS SCREEN」のリニューアル自体は、直近だと今年2月にも行われているようなのだが、その反面でリリースやサイトに見られる“累計販売本数”を見てみると、2022年8月末時点の数字となっており、ほぼ1年間アップデートされていない状況。そのあたりにも、同社のブルーライトカットメガネに対する“熱量の低下ぶり”が現れていると、言えなくもなさそうである。

サイトやリリースには「学術機関との共同研究を重ねてきた実績と信頼性」といった文言も躍るJINSのブルーライトカットメガネ。今回取沙汰されているメルボルン大学の研究者による研究発表に対して、同社からのリアクションは未だないといった状況だ。

Next: 「効果ないのにそのまま売り続けんのかしら?」

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