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ユニクロはお手上げか。中国発「SHEIN」が日本のアパレル業界を丸呑み、常識破りの超高速生産でZARA超えへ=牧野武文

先日、神宮前に出店して大きな話題となった中国発の低価格アパレル「SHEIN」(シーイン)。贋作騒ぎなども起きていますが、そこを突っ込んで悦に入っている場合ではありません。今回は「SHEIN」がアパレル業界に現在進行形で起こしているイノベーションの数々を紹介します。(『 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード 』牧野武文)

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※本記事は有料メルマガ『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』2022年12月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:牧野武文(まきの たけふみ)
ITジャーナリスト、フリーライター。著書に『Googleの正体』『論語なう』『任天堂ノスタルジー横井軍平とその時代』など。中国のIT事情を解説するブログ「中華IT最新事情」の発行人を務める。

お手本にすべき「SHEIN」のビジネスモデル

みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。

今回は、日本の神宮前にも出店して話題の低価格アパレル「SHEIN」(シーイン)についてご紹介します。

SHEINの手法に、誰もが思いつかなかった新しい手法=破壊的イノベーションというものは存在しません。しかし、企画、製造、流通、販売、宣伝というあらゆるプロセスで、凄まじいほどの改善を行っています。つまり、持続的イノベーションの積み重ねなのです。

日本では、その国民性から破壊的イノベーションというのはあまり歓迎されないところがあります。そのため、穏やかな持続的イノベーションが好まれます。しかし、これはややもすると、局所的な改善に終わってしまいがちです。

しかし、SHEINはこの持続的イノベーションを凄まじい勢いで行っていき、アパレル流通のすべてのプロセスを変えてしまいました。

SHEINという企業も完璧ではなく、盗用問題などの課題は抱えています。しかし、生き延びるために持続的イノベーションを次々と実施し、広州市番禺区の下町工場地域を活用して、米国だけでなく、中東や欧州など150ヵ国で販売をしています。

「下町工場を活用して、持続的イノベーションで、世界に販売」というのは、日本企業がやるべきこと、できるはずだったことなのではないかと思います。そのビジネスモデルは日本企業が研究し、参考にすべき事例なのではないかと思います。

SHEINの5つの特徴

今回は、日本にも上陸して話題のブランドSHEINについてご紹介します。

早速、知財のパクリ問題、プロの目から見た場合の低品質問題などが話題となり、いかにも中国ブランドというイメージになりつつありますが、そのようなネガティブな部分が中国らしくもあれば、優れたポジティブな部分も中国らしい企業です。

SHEINのポイントは次の5つになります。

1)広州市番禺区の服飾生産地帯=下町工場を基地にしていること

2)AIアシストによる効率的なデザイン作業

3)小ロット生産から始める独特の発注システム

4)可処分所得の少ない女子大学生をターゲットにしたこと

5)KOCを活用し、消費体験を変えたこと

このうち、重要なのは3の小ロット生産と5のKOCの活用です。

SHEIN(希音、シーイン)の創業は2011年と古く、本格的な成長が始まるのは2017年からです。意外と雌伏の期間が長くあります。1から4のポイントは、この雌伏期間に試行錯誤をしながら獲得していったもので、イノベーションというより徹底した改善に近いものです。あるいは持続的イノベーションと言ってもいいかもしれません。既存の枠組みをどう改良すれば、より優れた結果が導けるか。SHEINはここに関しては徹底をしています。

これにより、SHEINが常にライバルとして目標にしていたZARA(ザラ)が企画から製造、出荷までが30日から60日というアパレル業界では脅威のスピードを誇っていましたが、SEHINはわずか2週間ほどで可能にしてしまいました。小さな改善を積み重ねて整理をしていくと、別次元の効果を生むということの好例になっています。

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