もし政府が一気にパチンコ業界を叩きつぶすことができないというのであれば、タバコやアルコールに何重もの税金をかけているのと同じように、パチンコ業界にも何重もの税金をかけて締め上げていけばいいのではないか。増税したいのであればパチンコ業界から取るべきなのである。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
大量のパチンコホールに囲まれていて、逃れられない
パチンコ依存はまぎれもなく病気である。パチンコが、アルコールやドラッグと同じような常習性を生み出し、中にはそれを止められずに人生そのものが破壊されてしまう人たちも存在する。
こうした人たちを詳細に描写したのが拙著『どん底に堕ちた養分たち』(刊:集広舎)である。
ホームレスの少なからずはパチンコ依存であるというのは、こうした人々を支援する社会的企業を運営しているビッグイシューでも、『ホームレス状態とギャンブル障害』という冊子の中で指摘している。
パチンコは巨大産業であり、パチンコに関わる企業は巨大企業である。ユーザー数も多く、社会に定着してしまっている。そして、パチンコ企業は大量の宣伝費をかけて今も新規のユーザーを取り込み続けている。
だから、パチンコによる依存や生活破綻が底辺で大きな問題になっても、もはや誰もパチンコ業界を批判することはできなくなってしまっている。いや、批判はあるのだが、少々批判されたところでビクともしないくらい社会に定着してしまったと言うべきか……。
日本人は大量のパチンコホールに囲まれていて、逃れられない。街のどこにでもパチンコ屋が存在する。地方でも、道沿いに巨大なパチンコホールがあって、朝から晩まで台が埋まっている。
学生でも、主婦でも、サラリーマンでも、年金暮らしの高齢者でも、いつでもふらりとパチンコホールに入って依存性の高い「ギャンブル」に耽ることができる。そして、次々とパチンコ依存者を生み出す。
しかし、日本人はそれが「異様」だと感じないくらい馴染んでしまっている。
マスコミも、絶対に何があっても、パチンコというものの危険性を本気で啓蒙したり、注意喚起したり、やめさせようとはしない。むしろ、そういった危険性を喚起する人間の声は抹殺するか、表に出さないようにするか、強い反論と共に紹介する。
なぜなら、そこに金がうなっているからだ。
パチンコ依存は、立派な「ドラッグ依存」である
今のパチンコはハードが高機能化し、グラフィックスの表現は進化し、より強い刺激を得られるように進歩している。そして、強い刺激が得られるようになればなるほど依存と中毒が突き進んでいく。没入感は半端なく強くなっているのだ。
パチンコ依存は、ある意味「ドラッグ依存」とも言える。パチンコに熱中しているユーザーは、脳内で快楽物質であるドーパミンを大量に放出している。それは、まさにそれはドラッグと同じ働きをしているのだ。
ドーパミンが大量放出されると、ユーザーはそれを少しでも長引かせたくて、どんどんパチンコの世界に引き込まれていく。パチンコを止めることなどできなくなってしまう。
まわりから見ると、まるで気が狂ったように見えるほどパチンコに魂を奪われているのは、つまりドーパミンという快楽物質を必死に放出させようとする依存者の姿なのである。
ドーパミンが継続して大量放出されると、脳は快楽に溺れる。
しかし、強い刺激を受け続けていると、その刺激に慣れてやがて効かなくなる。そうすると、もっと強い刺激、もっと長時間のプレイが必要になっていく。パチンコをしないではいられなくなってしまう。
世界保健機関(WHO)が指摘している危険性は、まさにこの部分を指している。
パチンコにハマり、何時間もパチンコに熱中して他のことをまったくしなくなるのである。人間関係が破綻し、仕事を解雇され、借金が積み重なり、人生そのものが悲惨なものになっていく。
そうなってしまえば、正常な人間関係を保つことはできないし、社会から排除される要因となるので、ますますパチンコ三昧になって孤立を深めていく。
極度なまでにパチンコに取り憑かれていたら、間違いなく人生そのものがゲームオーバーと化す。パチンコに没頭するのは、ドラッグに没頭するのと同じだ。それは自分の脳を破壊し、自分の人生を破壊する。
しかし、そんな危険なものがどこの町にもあって、誰でもふらりと利用できるようになっている。