ビットコインの高騰が止まらなくなっている。この高騰の理由と背景について解説したい。(『 ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン 』高島康司)
※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2023年10月31日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
さらに高騰が加速するビットコイン
ビットコインの高騰のスピードがさらに加速している。10月30日現在で513万円前後で取引されている。この価格水準は6カ月前の29%、そして年初来では136%の上昇である。
ビットコインは長い間300万円台の相場水準が続いていたが、最近の高騰で500万円台の水準が定着しつつあるように見える。
ビットコイン高騰の背景と理由
ビットコインの安定的な上昇が続いているので、この高騰の背景と理由についてもさまざまな議論がなされている。
先週、ビットコインの高騰の理由として上げられているのは以下の5つだ。
<高騰の理由その1. 投資家の興奮>
暗号通貨の価値は今年2倍以上になった。投資家は、伝統的な証券取引所で取引されるビットコインファンドを購入する可能性にますます熱中している。これは、規制が緩く、時には疑わしい暗号通貨プラットフォームを扱うのとは対照的である。
<高騰の理由その2. ブラックロックのビットコインETF>
ナスダックが運営する株式とETFの清算機関である「Depository Trust and Clearing Corp.」が管理するリストに、ブラックロックのビットコイン上場投資信託(ETF)が登場したことで、興奮はさらに高まった。世界最大のETFプロバイダーである「ブラックロック」は、6月にビットコインスポットETFの登録を申請していたが、まだ承認待ちである。承認されれば、「ブラックロック」のビットコインETFは暗号通貨に新たな正当性を与えることになる。
<高騰の理由その3. 他のビットコインETF>
「グレイスケール・インベストメンツ」を含む他の企業も、同様のビットコインETFを立ち上げる認可を申請している。「米証券取引委員会(SEC)」は当初、「グレイスケール」のETFに反対する決定を下したが、後にワシントンDC控訴裁判所の3人の裁判官パネルが、規制当局がその却下について十分に説明していなかったとして、この決定を覆した。この決定は、夏を通して暗号通貨にプラスの影響を与えた。
<高騰の理由その4. セーフヘイブンとしてのビットコイン>
ビットコイン上昇のもう1つの要因は、デジタルセーフヘイブンとしての認識である。不透明な時代には、ポートフォリオを分散させたい投資家がビットコインに目を向けることがある。しばしば「デジタル・ゴールド」と呼ばれるビットコインは、従来の株式や債券に代わる選択肢を投資家に提供している。
やはりこの中でも特に注目されている要素がいくつかある。そのひとつは、「ブラックロック」のビットコインETFがもたらす影響と意義である。
Next: 大手金融機関がビットコイン参入へ。暗号通貨の正当性が高まっている
「ブラックロック」のビットコインETFとその意義
世界最大のETFプロバイダーである「ブラックロック」は、6月にビットコインスポットETFの登録を申請した。この動きは、「ブラックロック」が数兆ドルの資産を運用していることから重要であり、彼らがビットコインの分野に参入することで、暗号通貨の正当性が高まることになる。
「ブラックロック」のビットコインETFは最近、ナスダックが運営する株式とETFの清算機関であるDTCC(Depository Trust and Clearing Corp.)が管理するリストに掲載された。この上場は必ずしもファンドがローンチされたことを意味しない。しかし、オンライン証券、「XS.com」のマーケット・アナリスト、サマー・ハスンが指摘するように、近い将来、ブラックロックがETFをローンチする準備の一環である可能性はある。
「ブラックロック」のような金融大手によるビットコインETFの導入は、機関投資家や個人投資家が暗号通貨を直接購入することなくビットコインへのエクスポージャーを得ることを容易にする可能性がある。これにより、需要が高まり、結果としてビットコイン価格が上昇する可能性が大きい。
ただ、現在の興奮状態と潜在的な影響にもかかわらず、「米証券取引員会(SEC)」はまだこのファンドを承認していないことに注意する必要がある。まだ規制上のハードルが残っており、結果は不透明である。
だが、「ブラックロック」のような大手金融機関によるビットコインETF導入の可能性は、市場に大きな興奮をもたらしたことは間違いない。このような展開は、ビットコインの広範な機関による採用への道を開き、暗号通貨をさらに正当化し、その価格を上昇させるきっかけになる。
セーフヘイブンとしてのビットコイン
さらに、先週からのビットコインの高騰を支えたのは、ビットコインがセーフヘイブンの安全な資産として注目されていることだ。
10月7日、イスラム原理主義組織、「ハマス」はイスラエルを攻撃し、1,405人の死者が出る惨事となった。この攻撃に怒ったイスラエルは、230万の人々が住む南部イスラエルの「ガザ」への空爆が開始し、10月30日現在で子供と女性を含む8,000人を越える人々が殺された。このような「ガザ」の状況に対する怒りはイスラエルに向けられ、世界中で大変な規模の抗議活動が起こっている。
反イスラエルの同盟が世界的に広まる中、中東諸国はイスラエルへの抗議から石油の禁輸に踏み切る可能性も指摘されている。これが、やっと下がり始めた各国のインフレ率を悪化させる可能性も出てきた。
そうした状況で、ビットコインに注目があつまりつつあるのだ。
経済の不確実性や市場のボラティリティが高い時、投資家はポートフォリオの潜在的な損失に対するヘッジとして機能する資産を求めることが多い。伝統的に、金のような資産は安全な隠れ家と考えられてきた。しかし、デジタル時代において、ビットコインは金と同等のデジタル資産と見なされるようになってきている。
Next: 投資家は富を守る手段としてビットコインに目を向けている
ビットコインは、貴金属との共通点から「デジタル・ゴールド」と呼ばれることがある。どちらも有限の資源であり(地球上の金の量に限りがあるように、ビットコインにも存在しうる最大供給量がある)、どちらも価値の貯蔵として機能することができる。加えて、どちらも伝統的な金融システムや特定の政府と直接結びついていないため、国ごとの経済危機とは多少無縁である。
金融情勢が進化するにつれ、投資家はポートフォリオを多様化する新しい方法を探している。ビットコインは、従来の株式や債券に代わる選択肢を提供する。その非中央集権的な性質と世界的な受け入れ態勢は、投資戦略の多様化を目指す人々にとって魅力的な選択肢となっている。
価格変動が激しいことで知られるビットコインが、セーフヘイブン(安全な避難場所)と考えられているのは、少々皮肉なことだ。しかし、この認識は価格の安定性よりも、特に伝統的な市場がストレス下にあるときに、長期的に価値を維持する可能性を提供している。
ビットコインの最近の価格高騰の理由の1つは、恐怖に起因する可能性がある。「ハマス」のイスラエル攻撃で世界的な経済情勢が不透明なままであるため、投資家は富を守る手段としてビットコインに目を向けているようだ。
要約すると、ビットコインの不安定な性質は、安全な避難先資産としてはありそうもない候補のように見えるかもしれないが、そのユニークな特性と金融界での受け入れの拡大により、伝統的な市場の低迷に対する潜在的なヘッジとして位置づけられている。 こうした状況で、ビットコインの相場予測も大幅に更新されていた。ネットの主要な予測サイトの予測を紹介する。予測はサイトによってかなりのバラツキがあるが、投資の目安にはなると思う。この予測を見ると、2026年には最高価格が―― ※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2023年10月31日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。 ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込1,100円)。
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※記事タイトル・リード文・本文見出しはMONEY VOICE編集部によるヤスの第四次産業革命とブロックチェーン
昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。