今回は「自分は大丈夫と思っていても現役世代の8割強が貧困老後へ押しやられる!すべての原因は現役時代の誤った認識と思考と習慣だ」というテーマでえぐっていきたいと思います。「今はふつうの生活ができている」「周囲の人も特別なことはしていない」などとぼんやり考えて、「成り行き」に任せていては危険な時代がやってきます。(『 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』)
※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年12月4日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。
生涯賃金2億円に到達しなくなっている
厚労省管轄下の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が毎年公表している「ユースフル労働統計2022」によれば、同一企業の職業生涯の場合、生涯賃金(60歳まで・退職金含まず)は、男性の高校卒で2億5,000万円、高専・短大卒で2億4,000万円、大学卒で2億8,000万円となっています。
そして、企業規模別に見ると、男性高校卒は1,000人以上の企業で2億7,000万円、100人未満の企業で2億1,000万円、男性大学卒は1,000人以上規模で3億1,000万円、100人未満の企業で2億3,000万円となっています。
これらの指標から、一般的な大卒男性の生涯賃金は、退職金を含まずで、2億円〜2億5,000万円などとよくいわれるのです。
はてさて、皆様の「実感」はいかがでしょうか。
しかし、実際の中央値(賃金額を上下順番に並べた時の真ん中)では、どうなのでしょう。はたして、大卒男性の生涯賃金では、2億円そこそこぐらいも、いかないのではないでしょうか。
途中で転職などをしていれば、さらに下がるケースも多くなるので、2億円に到達できない可能性も少なくないでしょう。
しかも、こうした金額は総支給額であって、税金や社会保障費を引かれれば、7掛け程度に見積もったほうがよいでしょう。
となると大卒男性サラリーマンでも、手取りは1億6,000万円とか1億8,000万円といったところではないでしょうか。
すると、ざっと見た感じの印象では、40年働いてたったこれだけかよ、1年にならすと手取りで400万円から450万円程度にしかならないじゃないか――などと嘆きたくもなるでしょう。
なんだかサラリーマンをやるのがばかばかしく感じられます。
日本人の賃金は、1997年のピーク時以降30年近く上がっていないどころか、ジリ貧傾向です。さらに可処分所得(税金や社会保障費を除いた自由に使える手取り金額)もどんどん減っています。
そこへきて、昨今の物価高ですから、サラリーマンの生涯賃金はますますどん詰まりで、手取り額はガンガン減っていくことでしょう。
ちなみに日本に法人登記された企業は、約367.4万社ありますが(2021年6月時点・経産省公表値)、大企業(正式な定義ナシ。国税庁では資本金or出資金5億円以上を大法人、日銀では10億円以上を大企業、マスメディアでは従業員数1,000人以上を大企業と呼ぶことが多い)に分類される企業数は、一般的に約1万2,000社とされます。
つまり、日本の法人企業数約367.4万社のうち、99.7%が中小企業であり、大企業の占める割合は0.3%で、雇用は全体の約30%前後にすぎないのです。
ゆえに、圧倒的に数が多い中小企業に勤める大卒男性の生涯賃金は、2億円どころか、1億5,000万円以上あれば御の字というのが実情でしょう。
少なすぎて、どひゃーっという感じなのです。
自分は大丈夫と思っていても現役世代の8割強が貧困老後へ
となると、ユースフル労働統計の公表数値は、現役サラリーマンの生涯賃金の「実感」と比べてみても、退職金を含めた金額に直したうえで、かなり水準の高い企業の会社ならば、まあまあそんなところか――といえる数値になるのではないかと思われます。
なぜ、こんなに「実感」と乖離するのかは、前述の通り、平均値で見てしまうからで、甚だしい勘違いのもとなのです。
もっとも退職金の額も、この30年間で大企業でさえ1,000万円前後減っていますし、すべての法人企業のうち、退職金がまったくナシという企業も20%前後に及びます。
退職金の平均額は、大企業でざっと約2,000万円、中小企業でよいところで約1,000万円といわれますが、中小企業なら、退職金が300〜500万円前後というのもザラにあります。
老後の頼みの綱となる退職金がこれでは、大多数のサラリーマンは、老後の貯蓄もままならないことになるでしょう。
Next: 貧困層を増やした「派遣労働」の罪。黒幕は経団連と政府……
この国を衰亡させ、国民の大多数を貧乏にしてきたのは経団連とカネまみれの自民党政治
これまで、 当メルマガ 当メルマガ では、自民党の「大企業優遇政策」や「労働者の賃金下落推進政策」について、さんざん糾弾してきました。
今さら、自民党政府が「賃上げ」などというのは、「へそが茶を沸かす」ほどの大茶番で笑止千万もよいところなのです。
今までさんざん、大企業のために、日本人の賃金を下げようとあれこれ画策し、経団連(大企業経営者)の言いなりに終始してきたのが自民党です。
その極め付きは、何といっても「派遣労働」です。
「労働者派遣制度(1986年導入)」で「中間搾取」を解禁し、「有期雇用」や「間接雇用」を常態化させ、現役時代の賃金が低く抑えられて老後は年金が少なすぎ、生活保護の受給を余儀なくされる人たちをせっせと生み出してきたのが自民党でした。
今や、生活保護費の支給総額は約4兆円にまで及び(2022年度)、1991年度のおよそ3倍に膨らんでいます。30年で3倍です。
いかに国民が貧しくなったかがわかります。
敗戦後の混乱期の中で、生活保護受給者数がピークとなったのは、1951年の204.6万人ですが(その後95年度には88.2万人まで減少した)、直近の2022年10月には202.4万人(164.4万世帯)にまで及んでいます(2011年には過去最多の205万人超を記録したこともある)。
敗戦後の混乱期と大差ない貧困レベルになっているのがニッポン国なのです。
現在の約4兆円の生活保護総支給額も、2050年には現在の2.7倍の年間11兆円にまで膨らむという試算まであるのです。
どうするつもりでしょう。
少子化の問題にしろ、生活保護の問題にしろ、未来の日本のことなど、なーんも考えていないのが、目先のカネ集め最優先の反日・売国・世襲だらけの政党が自民党だったのです。
ちなみに、自民党が「反日」というのは、もちろん悪徳霊感商法で日本人を騙し、日本人信者家庭からカネを巻き上げ、韓国宗教本部に還流させていた旧統一教会との半世紀以上の癒着があるからです。また、「売国」はアメリカ隷従で兵器を爆買いさせられ、横田空域(独立国なのに一都9県にまたがる広大な空域に日本の管制権が及ばない)の占拠を許しているからであり、「世襲だらけ」というのは、自民党の国会議員の4割が身内の利権を継承したバカボンの集まりだからです。
なにしろ、かつての安倍政権は政権発足直後の2013年から、せっせと生活保護費の減額を推進していましたが、生保の減額は違法として訴える訴訟は現在全国で30件もあるという有様なのです(11月30日の名古屋高裁の2件目の控訴審判決では「違法」とされ国が敗訴)。
そのうちに、たぶん「違憲判決」までが出て、国家予算が生活保護費の1割強を占拠する日も近いのではないでしょうか。
こうした自民党の悪政は、年金受給減額につながる派遣労働者の解禁だけではないのです。
自民党の悪政は、とどまるどころか、てんこ盛りだからです。
Next: 老後資金は2,000万円でもまだまだ足りないことが浸透してきた
日本は自民党の「悪政てんこ盛り」の政治で国民は窮乏
自民党は、経団連の命令を受けて、外国人技能実習制度(1993年導入)まで作り、低賃金・奴隷労働によって日本人全体の賃金下落圧力を推進しました。
適性に合わない仕事を発展途上国の人に強制的にあてがい、転職も認めないという憲法違反のこの制度によって、毎年7,000人〜9,000人の失踪者を生みだし(ただちに不法滞在)、犯罪に追いやる酷い仕打ちを続けています(現在、政府・自民党は新制度を画策中ですが、本質は変わらず奴隷労働で、3年程度で帰国していた外国人労働者をせめて5年ぐらいに延長して働かせようという悪巧みにすぎません)。
また、富裕層のためには、利子や株式配当金や株式売却益などにかかる金融所得課税を「源泉分離課税」に一本化し(1988年導入)、所得税率15%、住民税率5%の計20%(現在はこれに復興所得特別税が0・315%上乗せされる)だけとしたのも、政府・自民党でした。
これによって累進課税の所得税なのに、1億円以上の所得を超えるとかえって税金が安くなる「1億円の壁」を創出しています。上級国民・優遇政策の極致でしょう。
そして、消費税(1989年導入)によって、子供から高齢者まで国民全員の消費に罰金を課すような制度をつくったために、GDPの6割を占める個人消費を衰退させ、国内需要をそぎ落として、企業の設備投資意欲までも減退させてきました。
これらは、すべて大企業中心の経団連の命令によって、自民党が率先して行ってきた悪政に他なりません。
もちろん、経団連だけでなく、アメリカ政府からの日本改悪の「年次改革要望書(毎年10月)」の指令も来て、その意を受けた日米合同委員会からも、数多くの秘密指令が次々出され、それに忠実に従ってきたのが政府・自民党とカルト教団傘下で別名「下駄の雪政党」と呼ばれる公明党でした。
経団連加盟の大企業は、全体でも年間たかだか20〜30億円レベルの政治献金を自民党議員にバラ撒くだけで、その数千倍にのぼる大企業税制優遇などのキックバックを得てきています。
このように、自民党は、とことん大企業や富裕層のフトコロを肥やすためだけに寄与してきた政権政党だったのでした。
経団連は、労働者の賃金が上がらないように、また自分たち大企業や富裕層が出来るだけ税金を払わずに済むように、自民党を使い、法制度を捻じ曲げでっち上げて、自分たちに都合のよい方向へとさんざん日本を荒廃させてきたのです。
消費税率アップとともに、法人税率を下げてもらい、さらに大企業にだけ、特別減税措置を次々つくらせて、法人実効税率が30.62%の日本で、大企業だけが17%前後の税金しか払わず、輸出大企業は6兆円を輸出還付金としてもらっています。
下請けに対して、払ってもいないのに、仕入れにかかったと称して、仕入れ分の消費税額を返してもらっているのです。
消費税率をアップするほど還付金は大きくなるため、経団連は消費税率を19%まで上げろと自民党に命じています。
かくして、国民はひたすら窮乏化し、2022年度の大企業(資本金10億円以上)の内部留保額は511.4兆円(過去最高)という、日本のGDP並みの金額にまで膨ませることができたのでした。
老後「2000万円問題」から4年が経ち、老後資金は2000万円でもまだまだ足りないことが浸透してきた
ここまで見ていただいた通り、国民を窮乏化させてきた自民党政治はまだまだ続きそうです。野党に期待する人々が少なすぎるからです。
なんたって、今の岸田総理が駄目でも、次の総理は「小石川連合」の中から選べば……などと言うことを、バカなマスメディアが喧伝しているぐらい脳天気な日本の状況だからです。
ちなみに「小石川」という語呂合わせは、小泉進次郎、石破茂、河野太郎という3氏のことだそうで、全員が自分の「一族の繁栄」しか考えていないようなレベルの世襲議員なのですから、もはや絶望的な政治状況です。
小泉氏あたりが選ばれたりして、「セクシーな総理大臣」誕生とかいって、メディアは盛り上げるのでしょうか。
とまれ、話はここからが本番です。
現在、20代、30代、40代、50代の現役サラリーマンの方々は、「自分はまあ普通のほうだし、まずまず平均的な位置づけの勤労者だから、老後も何とかなって大丈夫」などと、老後のことを、あまり深く考えていない方も少なくないのではないでしょうか。
こうした考えでいることは、極めて危険です。
前述した生活保護受給者約202.4万人のうち、約半数の105万人が65歳以上高齢者です。高齢者のほとんどが貧乏暮らし――だからなのです。
Next: 高齢者のほとんどが貧乏暮らし……現役時代に認識を改めないと窮地に
2019年に「老後2,000万円問題」というのがあり、物議を醸しました。金融庁の公表したレポートが「老後の夫婦の生活費は、厚生年金だけでは不足するので2,000万円は必要」という内容だったのですが、マスメディアや野党が騒ぎ立て、「年金は100年安心じゃなかったのか」などと、ここぞとばかりにチンケな与太を飛ばしました。
もともと年金だけでは老後の生活が成り立たない――というのは周知の事実だっただけに、とんだ空騒ぎだったのですが、揚げ足をとられた形の自民党政府は慌てふためいたものでした。
金融庁のレポートでは「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では、家計調査のデータから、毎月の平均支出額約26万円に対して、収入が20万円程度なので、毎月平均の不足額が5・5万円程度で年間約66万円、これが30年間に及べば、ほぼ2,000万円が不足してしまう」という他愛のないものでした。
夫が自営業だったら、夫と妻の国民年金しかないので、収入はもっと少なくなります。
しかし、現実はバイトやパートで少し働けば、月額5.5万円ぐらいは、埋め合わせ出来ている高齢者が多かったのです。
要は、まったく働けなくなった場合や、介護を要する状況になった時の収入や貯蓄のほうがもっと大変な問題だったのです。
高齢施設に入所しようにも、リーズナブルな介護施設でも、一人あたりの費用は月額20万円前後はするからです。
夫婦で入所すれば、月額40万円はかかります。
こうなると、とてもじゃないですが、2,000万円ぐらいの預貯金では対応不可能になってきかねないでしょう。
平均寿命が長くなるにつれ、体に不調が出る人も多くなります。
現役世代の人たちは、自分の老後を考える時、こうした過去の世代を参考にすることになるわけですが、実際には自民党が、年金支給額を下げたり、受給年齢を70歳・75歳へと引き上げてくることも十分考慮しなければなりません。
岸田政権は軍事にも莫大なカネを投入していきますから、やがて財政もまともに回らなくなるでしょう。
日本では、アベノミクスの滅茶苦茶な金融緩和のせいで、出口が亡くなっていますから、今以上の円安の進行も予想されます。
現役時代に副業で稼ぎ、収入の上積みが絶対必要になる
すると、今の老後世代以上に、家計が苦しくなるのは間違いありません。
老後のために「現役生活」を犠牲にするのは本末転倒ですが、少しでも早いうちに、「現役」のうちに「積極的窮乏生活」を実践し、お金を貯めることを考えるべきでしょう。
副業で稼げる人は、それだけで家計が成り立つぐらいの収入アップを図るべきですし、窮乏生活で投資のタネ銭をつくったら、金融商品や現物投資の賃貸不動産物件の購入も視野に入れるべきでしょう。
賃金もさらに下がったり、リストラされるかもしれない今日にあっては、とにかく自力でサバイバルできる生活環境を作るしかありません。普通の常識で考えていたら、追いつかない時代がやってくるのです。絶対的な守りを固めることが望まれます。
35年でマイホームを買ったりしたら、劣化して価値の落ちるものに大枚をはたいて捨てるようなものです。
マイホームを買うぐらいなら、賃貸不動産の実物投資のほうが将来に希望が持てるはずでしょう。
自分たち家族は徹底的に安い賃貸物件に住み、コストを落とし、ダウンサイジングに励んで、タネ銭をつかみましょう。
いずれにしても、「今はふつうの生活ができている」「周囲の人も特別なことはしていない」などとぼんやり考えて、「成り行き」に任せていては危険な時代がやってくる――ということなのです。
「成り行きサラリーマン」から、今すぐ卒業して、危険な未来に備えていきましょう。 ※2023年12月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
※本記事は、神樹兵輔氏のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年12月4日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読を ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
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神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!
神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!
』(2023年12月4日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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1990年のバブル崩壊から続く「失われた30年」を経て、ニッポン国の衰退ぶりは鮮明です。デフレ下でGDPは伸びず、賃金は上がらず、少子高齢化で人口は減り、貧富の格差も広がりました。いったいどうしてこんなことになったのでしょう。政治、経済、社会、マネーや投資に瑕疵があったのは否めません。本メルマガは、そうした諸分野に潜む「闇」を炙り出しグイグイえぐっていこうとするものです。