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バフェットが日本株の買い増しを計画中…次に買うのは保険会社?商社に目を付けた理由から見える次の一手=栫井駿介

バフェットが再び日本円の債券を発行し、また日本株に投資するだろうと言われています。なぜバフェットが日本株にそんなに魅力を感じているのでしょうか。それは、バフェットの投資が堅実であるからだと考えます。これらの投資手法を通じて、バフェットの堅実な投資を学んでいただければと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

バフェットが日本株を買い増しか

バフェットが円建ての債券を発行したというニュースが出ています。
調達額は1,220億円ということです。
バフェットが日本円を調達しているのは2019年からで、これまでの動きを見ると、円建ての債券を発行したということは日本株に投資するということになります。

バフェットが日本株に投資した理由としては、日本の商社を買って、ドルに対するリスクヘッジを行ったということがあると思われます。

また、日本だと金利1%以下の資金を調達することができ、それを超える利回りを持つ株式に投資することがバフェットの戦略の一環とされています。
日本の商社は配当利回りが高く、その戦略に向いていたのです。
金利1%で資金を調達し、利回り5%で運用すれば確実に利益が出るというものです。

バフェットが2019年に投資した商社の株価は2倍から3倍に上昇しました。

出典:Yahoo!ファイナンス

その理由にはバフェットが投資したこと自体が影響している可能性もありますが、資源価格の上昇も商社の利益を増やし、株価の上昇に寄与しています。

商社は資源権益を買っていて、その投資先が増えるほど利益も増していきます。
同時に企業にも投資をして企業からも配当を得たり、連結対象となって利益をあげたりしています。
これらの動きによって商社は実は長期的に業績を伸ばしてきていて、配当も増加しています。
バフェットはこれらの要素を高く評価しているものと思われます。

バフェットはまだ商社株を買い増す可能性があると述べています。
三菱商事は約150年続いている企業で、バフェット自身はこれから100年生き残る会社だと評価しています。
アメリカの投資ルールにより10%を超えると様々な手続きが必要なため、その手前の9.9%まで買うかもしれないと述べていて、実際に円債を発行するなどそれに向けて動いているように見えます。

難しいところは、配当自体は増えているものの配当利回りが現在では3%ほどに減少していることです。
配当の面で考えると、今買ううまみがそこまで大きくないということになります。

また、今は資源価格が下がってきていることや、円高に転じて円安の利点を享受できなくなる可能性を考えると、今商社を買うことには疑問があります。
むしろ、資源価格が下がるのだとしたら下がった時に買えばいいのではないかという考えもあります。

バフェットが実際に商社を買い増すかということよりも、重要なことは彼がなぜ商社を買ったかということです。

<バフェットが商社を買った理由>

バフェットの考え方を理解することで、堅実な投資をするためにはどういうところにに投資すべきかが見えてきます。
バフェットは高齢ということもあり、堅実な投資にシフトしているように感じます。
その投資先として、割安に評価されている日本株はちょうどよかったのではないかと推察されます。

Next: 次に買うのは?バフェットの「堅実な投資」とは



バフェットが次に買うのは…?

商社はいま少し高くなっていると述べましたが、バフェットが次に買うとしたらどこを買うかという点について考えてみたいと思います。

私が一つ挙げるのは保険会社です。

出典:マネックス証券

配当が高めになっているからです。
業績も好調で純利益が右肩上がりに伸び、配当も着実に増えています。

出典:マネックス証券

長期的に続く企業であり、日本では知らない人がいないほどの歴史を持ち、海外展開もあって、商社と合致する部分も多いかと思います。
さらに、配当利回りが高いということは割安ということでもあります。
PERを見ても比較的低い数字です。

損保ホールディングスに関してはビッグモーターの件で安くなっている側面もありますが、業績を見る限りではバフェットの選択肢に入ってもおかしくないと思います。
しかもバフェットは保険業界に深く関わっており、バークシャーハサウェイが子会社として持つ外資系損害保険会社も成功していることから、この分野にはバフェットとの親和性が高い可能性があります。

懸念として挙げられるのは、保険会社は日本だけでなく海外にも存在し、アクサなどもっと利回りの高い企業もあるので、わざわざ日本の保険会社を選ぶかということがあります。

ただ、円で調達したことは事実ですし、円安の状況を考えると買いの局面なのではないかと思います。

株価に関しても、上記の保険会社は上昇傾向にあります。
保険会社は一気には伸びにくいビジネスではありますが、堅実に伸ばしてきています。

災害時には支払うものが増えるため、赤字になることもあったりしますが、堅実性は高い投資になると思います。

バフェットの「堅実な投資」とは?

これらの行動を、周りの意見に惑わされずに続けていくことが、長期投資では大事になってくると思います。

参考書籍としてジェレミー・シーゲルの『株式投資の未来』を紹介します。ぜひご一読ください。

株式投資に唯一の方法はありませんが、選択肢を多く持つためにも、様々な手法を知ることが大事です。
「堅実な投資」に関しては、今回の内容を参考にしていただきたいと思います。

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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image by:mark reinstein / Shutterstock.com

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2023年12月3日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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