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「ただの小型ヘリ」とツッコミ殺到の空飛ぶクルマ、万博で飛ぶのはたった数機?安全性への不安も広がるなか吉村知事は「商用運航を諦めない」と強気姿勢

関西万博での国内初の商用運航を目指している「空飛ぶクルマ」について、有人でテストフライトが先日行われたものの、SNS上からは「ただの小型ヘリ」などのツッコミが広がる事態となっているようだ。

報道によれば、テストフライトは経済産業省と日本航空などが、ドイツ製の試験用機体にパイロットを乗せて実際に操縦する形で行われたということ。万博では、別の機体で運航する予定だということだが、今回のテストで得られた離着陸時のデータや、オペレーションのノウハウを実際に万博でも活用する予定だという。

しかしこの報道を目にした人々の間では、「空飛ぶクルマ」といいながら車輪が付いていない車体に「ただの小型ヘリ」「どうやって走るんや」などの指摘が相次ぐことに。さらには「世界から物笑いの種では」などといった声もあがるなど、物議を醸しているようだ。

万博の目玉も量産化は開幕に間に合わず?

大阪府の吉村洋文知事もたびたび「空の移動革命」だと胸を張るなど、関西万博の目玉のひとつとされている空飛ぶクルマの商用運航。

パイロットを含めた定員は2~5人といった小型のもので、万博会場と大阪市内を結ぶ計画が公表されており、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の近くや水族館「海遊館」近くなどが、離着陸場として選定されているという。

ちなみに、今回「ただの小型ヘリ」との声もあがっていたわけだが、空飛ぶクルマには今回テストフライトを行ったマルチコプタータイプのほかに、見た目が飛行機のような固定翼タイプのものも存在するとのこと。

また、空飛ぶクルマと従来のヘリコプターとの違いとしては、電動で部品数が少なく、また騒音も少ないなどの点にくわえ、垂直離着陸が可能なため一般的なヘリポートよりも狭い場所でも離発着が可能という特徴があるとのこと。ぱっと見では分からない大きな違いがあるようなのだが、ただ「そもそもなぜ、空飛ぶ“クルマ”という名なのか」という点に関しては、謎が残るといったところである。

そんな空飛ぶクルマの商用運航に関しては、今年2月にその運航事業を「ANAと米ジョビー・アビエーション」「日本航空」「丸紅」「スカイドライブ」という4つの企業グループが担うと発表。今回行われたのは、そのうちの日本航空のグループによるテストフライトだったよう。

このようにみてみると、再来年の万博開催に向けて順調に事が進んでいるようにも思える空飛ぶクルマの商用運航なのだが、しかしながら実際のところは、万博運営側が当初思い描いていたような商用運航を行うために必須である、空飛ぶクルマの量産体制の整備に関しては、どうやら事前の思惑通りには進んでおらず、開幕には間に合いそうもないといった見通しがすでに出ているというのだ。

「オスプレイより危険」安全性を不安視

というのも、空飛ぶクルマの機体量産にあたって必要な安全認証である「型式証明」の取得が、一部企業グループにおいて遅れている状況だといい、先述の4グループのうち、自社開発の機体を使用予定だったスカイドライブでは、その取得を万博後の2026年目標にすることにした模様。

また丸紅においては、イギリスのバーティカル・エアロスペース社が製作した機体を用いる予定だったのだが、今年8月に同社の試作機がイギリス国内で墜落するなどのトラブルも影響してか、関西万博での商用運航は断念。操縦士のみが乗る“デモ飛行”を目標にすることにしたとのことである。

いっぽうで、残りのANAと日本航空の2グループは、それぞれ24~25年中に海外も含めて商用運航を実現させることを掲げているようだが、関西万博での実施は慎重姿勢で、またここに来てANAホールディングスの社長が、商用運航に関して「厳しい」と発言したよう。

結局のところ、万博開催時に調達できる機体数は、4社ともに最大でも数機に留まりそうということで、会期中に多くの空飛ぶクルマが大阪中の空を飛び交うといった未来的な光景は、どうやら幻のものとなりそうなのだ。

こういった状況を受けて、吉村知事も「飛べば十分だ」「最初から完璧に量産して地下鉄のように動くというのは難しい」と語るなど、明らかにトーンダウンしてしまっているのだが、その反面で自身のXでは「空飛ぶクルマは将来必ず空の移動革命になる。最後まで絶対に諦めない」と高らかに表明。

しかしながら、SNS上ではそんな空飛ぶクルマの安全性に関して不安を訴える意見も根強く、なかには莫大な開発費がかかったオスプレイでさえ墜落するのに……といった声まで。関西万博の“成果”として、空飛ぶクルマの商用運航実現をあくまでも実現させたいといった吉村知事ら万博サイドだが、これに関しての失敗は人の生死にも関わることだけに、くれぐれも慎重に事を進めて欲しいと願うばかりである。

Next: 「要は安全基準を緩めヘリコプターを飛ばしたいだけ」



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Image by:Dmitry Eagle Orlov / Shutterstock.com

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