「米証券取引委員会(SEC)」がビットコインETFをやっと承認した。しかしながら、ビットコインの相場は下げに転じた。この原因を見てみる。また、「ChatGPT4」によるビットコインの相場予測も更新されていた。これも紹介する。(『 ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン 』高島康司)
※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2024年1月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
ビットコイン価格に影響を与えた5つの動き
先週ビットコインは「SEC」による10社のビットコインETFの認可直後には約702万円まで上昇したが、それ以降は暴落した。1月15日現在では約615万円で取引されている。過去5日間は、9.59%の下落である。
まずは、ビットコインを中心とした暗号通貨の相場に影響を与えた可能性のある先週の動きを概観する。次のような動きがあった。
<1. スポット・ビットコインETFが「SEC」から正式認可を受ける>
「米証券取引委員会(SEC)」は、米国初の規制対象スポット型ビットコイン上場投資信託を正式に承認した。1月10日、「SEC」は「ARK 21Shares」、「Invesco Galaxy」、「VanEck」、「WisdomTree」、「Fidelity」、「Valkyrie」、「BlackRock」、「Grayscale」、「Bitwise」、「Franklin Templeton」からの申請を承認した。取引初日の出来高は10本のETF合計で45億ドル以上に達し、中でも「Grayscale Bitcoin Trust」の出来高がトップで、初日の出来高は23億ドルだった。
<2. 偽ビットコインETFの投稿とハッキング>
「米証券取引委員会(SEC)」が「X」のメインアカウントで2要素認証を有効にしていなかったため、ハッカーがアカウントにアクセスし、ビットコイン上場投資信託(ETF)の虚偽の承認を公表することができた。「X(旧Twitter)」によると、正体不明の行為者がアカウントに関連する電話番号を管理し、それを使って「SEC」の公式「X」ページにアクセスした。この種のハッキングは一般にSIMスワップとして知られている。このセキュリティ侵害を受け、上院議員たちは「SEC」に対し、数日以内に議会に報告書を提出するよう要請した。連邦捜査局がこのセキュリティ事件を調査している。
<3. ベネズエラの不運なペトロコイン、1月15日に停止へ>
報道によると、ベネズエラの国営暗号通貨、ペトロが1月15日に運用を停止する。このコインは、同国が米国の制裁を回避するために2018年に作られたが、広く使われることはなかった。国営で石油を裏付けとするこの暗号通貨は、同国の不換紙幣であるボリバルが米国の制裁による圧力で急落した後、またビットコインがすでに同国に確固たる足場を築いた後に発行された。ペトロは「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」ではなかった。「ベネズエラ中央銀行」は2021年にCBDCを創設する計画を発表したが、その計画は実現しなかった。
<4. サム・バンクマン=フリード、判決公判を前に新たな弁護士を選任>
FTXの元CEOサム・”SBF”・バンクマン=フリードは、7件の刑事告発に対する判決公判を前に、連邦裁判所に新たな弁護士を雇ったことを通知した。1月9日に提出された書類では、Mukasey Young LLPのTorrey YoungとMarc Mukaseyがバンクマン=フリードの代理人であると述べている。SBFの弁護団は、11月の有罪判決に対する上訴の可能性を示唆する封印文書も提出した。陪審は昨年10月、詐欺、詐欺の共謀、マネーロンダリングの共謀の7つの罪状でバンクマン=フリードを有罪とした。彼の量刑手続きは3月28日に予定されており、ニューヨークのルイス・カプラン判事が監督する。
<5. USDCの発行体、「Circle」が米国でIPOを申請>
ロイター通信によると、USDコインの発行元である「Circle Internet Financial」は、米国で新規株式公開(IPO)を申請した。同社は、「米証券取引委員会(SEC)」が審査プロセスを完了した後、IPOが進むと予想しており、これはまだ市場の状況次第であると付け加えた。
なぜビットコインは下落したのか?
このような動きであった。しかしやはり先週もっとも注目を集めたのは、「SEC」によるビットコインETFの承認であった。ところがビットコインの相場は、承認発表直後には約702万円まで高騰したものの、その後は大きく下落し、発表前の1月4日前後の水準まで相場は下落した。
ビットコインの相場は720万円まではすぐに上昇すると見られていたので、多くのアナリストにとってこれは予想外であった。
なぜ予想に反して下落したのだろうか?
Next: なぜビットコインは下落した?著名投資家たちの見解は……
その理由はいくつかあるが、相場にもっとも大きな影響があったのが、ビットコインのマイニングを行うマイナー業者によるビットコイン売りの加速である。ビットコインの半減期が100日未満となっている。周知のように、ビットコインの供給が半分になるのが半減期である。この結果、半減期を過ぎるとマイナーは大きな損失を被る。
今回、ETFの認可でビットコインの相場が約702万円まで高騰したタイミングで、マイナー業者が一斉に手持ちのビットコインを売りに出たのだ。
10億ドル以上の価値がある数万ビットコインが取引所に送られ、マイナーの流出が数年ぶりの高水準に達している。「CryptoQuant」のデータによると、マイナーからのBTC送金の他のいくつかのピークは、2022年6月、11月、2023年3月、8月の価格の底値と一致している。このデータは、マイナー業者によるビットコインの一斉売りが相場にどれほど大きな影響力を持つのか示している。ビットコインETFの認可による上昇で、はからずも今回はこれが起こったのだ。
他にも要因は考えられるが、これはもっとも大きな要因だと思われる。
こうした背景なので、ETF承認後にビットコインの相場が下落したことにアナリストたちは、現在のマイナーの流出が、米国初のビットコインETFの上場の影響で起きていることから、過度に弱気なシグナルではないとしている。半減期を前に、今後は上昇するという予想が多い。
しかし、弱気の予測もあることに留意しなければならないだろう。ビットコインは10月上旬から80%の大幅上昇を記録し、2年ぶりの高値をつけた。暗号調査会社「Swiss Block」はマーケットレポートで、ビットコインETF発表に向けて49,000ドルまで上昇したビットコインの最後の足が、燃料切れの兆候を見せ、売りが47,500ドルの価格水準を上回ったと指摘した。
このレポートでアナリストは、「最近のビットコインの動きは、多くのビットコイン最大主義者が設定した期待に応えておらず、資産は5万ドルの大台を突破できず、ETFをめぐる誇大広告は冷え込む兆しを見せている。現在の重要な問題は、市場が上昇の勢いを維持できるかどうかである。42,000ドルの価格水準は、買い手が市場に参入する可能性があるため、ビットコインが跳ね返される可能性がある重要な流動性ゾーンを形成している」、とレポートは説明している。
このレポートのように、42,000ドル(約609万円)の価格水準を下回ると、ビットコインは上げるのではなく、むしろ失速する可能性があると指摘する予測も多い。
「BlackRock」のCEOがイーサリアムETFを支持
先週のビットコインETF認可の狂騒の背後で注目すべき動きがあった。それは、イーサリアムのETFに向けた動きである。「BlackRock」のラリー・フィンクCEOがイーサリアムETFを支持する発言をしたのだ。
「BlackRock」のラリー・フィンクCEOは、待望のビットコインETFが稼働した翌日、イーサリアムETFの構想を支持し、CNBCのインタビューで次のように述べた。
「私はイーサリアムETFに価値を見出す。これはトークン化に向けた足がかりに過ぎず、私は本当にこれが我々の進む先だと信じている」
「BlackRock」の「シェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」は、「証券取引委員会(SEC)」がファンドを承認した後、米国で取引デビューしたいくつかのそのような商品の一つであった。「IBIT」はETFの総取引高46億ドルのうち約10億ドルを占めた。
資産運用大手である「BlackRock」は現在、トークン化に向けた進行中のプロセスの一環として、イーサリアム・ブロックチェーンのネイティブ・トークンに相当する商品の上場を目指している。トークン化とは、ブロックチェーン上のトークンの形で資産を表現することを指す。フィンクは、トークン化によってマネーロンダリングやその他の汚職に関する問題を排除できると考えている。これはイーサリアムETFをデジタルなトークンの形で販売することを意味する。
フィンクはまた、暗号通貨を通貨としてではなく、資産クラスとして見ていると述べ、特にビットコインについて、地政学的リスクの懸念から「あなたを守る資産クラス」と言及した。
「暗号通貨は、何千年にもわたって金が象徴してきたものと何ら変わりはない。金と違って、ビットコインは作れる量がほぼ限界にきている」
このように述べ、これからはビットコイン、ならびにイーサリアムなどの有力な暗号通貨が金とならぶ資産になると力説した。
Next: ここからビットコインは上がる?下がる?2024年の相場を左右する要因
2024年のビットコインの相場を左右する要因
では、ビットコインETF認可の後、相場は実際にはどうなるのだろうか?
急騰する予測は多いものの、下げや停滞を予測するアナリストもいる。だが、今後の相場に影響を与える要因は比較的に限られているので、それを確認しておこう。イベントとしてのETF認可は除いた要因を以下に列挙した。
<1. 2024年4月のビットコイン半減イベント>
歴史的に、新しいブロックを採掘するための報酬を減らす半減イベントは、ビットコインの価値の大幅な上昇に関連付けられてきた。2024年の半減イベントでは、ブロック報酬が6.25BTCから3.125BTCに減少し、新しいビットコインの供給が遅くなるため、ビットコインの価格が上昇する可能性がある。
<2. 新しい財務会計基準>
デジタル資産に関する新たなルールは、ビットコインの会計処理を簡素化し、企業の財務にとってより魅力的なものにする。ビットコインETFが承認されたので、これは今後「SEC」によって発表されるものと見られている。
<3. 不換紙幣の破綻>
米国の信用格付けの引き下げと米ドルの安定性に関する懸念は、特に潜在的なハイパーインフレに直面した場合、ビットコインを安全な逃避先として位置づける可能性がある。しだいにこの見方が市場では強くなっている。
<4. アナリストの価格予測>
有名なビットコインアナリストである「PlanB」は、今後4年間でビットコインが史上最高値の52万4,000ドルになる可能性があると予測している。
「Blockware Solutions」のアナリストは、2024年にビットコインの供給が半減することで、価格が400,000ドル程度まで上昇する可能性があると指摘している。
グローバル投資ファンドの「VanEck」は、米国の選挙、半減期による供給ショック、規制シフトなどの要因に影響され、2024年第4四半期までにビットコインの史上最高値を更新すると予測している。
こうした予測を支持する投資家は多いので、ビットコインの実際の相場に影響を与えるだろうと思われる。 先週の予測では、「ChatGPT4」はビットコインETFの承認による上昇は予測していなかった。むしろビットコインは500万円台の後半まで下落すると予測していた。この予測が示すトレンドは比較的に当たっていたのではないかと思う。それでは今週の予想はどうだろうか?―― ※2024年1月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2024年1月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。 ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込1,100円)。
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今週の「ChatGPT4」によるビットコインの価格予測
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※記事タイトル・リード文・本文見出しはMONEY VOICE編集部によるヤスの第四次産業革命とブロックチェーン
昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。