雇用統計前日の昨日は、ドル円が1ドル=147円台まで急落するなど、久々に大きな値動きとなりました。そして、今日はいよいよ本番。150円台に再び向かうのか、それとも再度下落するのか、展望を踏まえて解説していきます。(ゆきママ)
ドル円が崩れるきっかけとなった日経平均の下落
米国の金利はかなりの低下幅となっていますが、ドルそのものはそこまで極端に下落していません。底堅い米ドル需要というのはありますし、やはり欧州と比べても圧倒的に堅調ですから、押し出されて買われやすいということがあります。
そして、昨日7日のドル円、クロス円の大幅下落の背景は、日経平均株価の急落が原因でしょう。メジャーSQ(先物とオプションの清算が重なる日)を前に手仕舞いする動きが目立ち、日経平均先物は最大1,500円幅の下落を記録しました。
これを受け、積み上がっていた円売りポジションを戻す動きが加速しました。日本株を買う場合、為替ヘッジとして円売りを行うのですが、株価が大きく下落されたので、それも手仕舞いされて円高に向かったということです。
日経平均株価 15分足(SBI証券提供)
米ドル/円 15分足(SBI証券提供)
海外勢からすると、日本の株を買ったとしても円がどんどん安くなってしまうと、それだけドルなどで見た時の評価価値が下がってしまいますから、備えとして同時に円を売ってドルなど外貨を買う取引をします。
本日8日は、メジャーSQを終えて日経平均が反発したことで、再び日本株を買う動きから円売りが強まり、ドル円、クロス円も堅調な値動きとなっています。
日銀のマイナス金利解除で円高といった報道もありますが、直近の値動きは日本株の下落による影響が大きいでしょう。
もちろん、マイナス金利解除は円高要因ではあるものの、発表直後はともかくとして、解除後に金利引き上げが伴わないのであれば、極端な円高要因にはなり得ない、との見方が海外勢の中でも共有されつつあるように思われます。
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雇用統計で米国の利下げに確信が持てるかが焦点
今週発表された米国の雇用関連の経済指標は、いずれも決して強い数字ではなく、やや弱さを意識させるものとなっています。
雇用指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)
雇用関連の経済指標は、前月と比べて悪化傾向が明らかとなっています。一方で、直近の雇用統計は想定以上に強く、利下げを支持するような数字ではありませんから、利下げを意識するには、少なくとも予想を下回ってくるような数字が求められるでしょう。
直近はやや利下げへ前向きという流れの中で、それを裏付ける数字が出るのか、それを否定する数字が出るのか、注目したいところ。
ここまでの雇用統計の数字が強かった影響もあるのか、雇用者数、平均時給ともに予想は強めの数字が並んでいます。
したがって、ドル安となってドル円が下がるためには、最低でもこの予想の数字を下回ることが求められるでしょう。これを超えることがあれば、ドル買い戻しにつながりやすいだけに警戒が必要です。
️日経平均が持ち直したことで円売り継続!
先月、1月分は悪天候の影響があっても強めの数字でしたから、今回も大きく下回るという数字は想定しにくいように思います。相変わらずインフレも根強く、企業が賃金を大幅に下げるという展開も考えにくいですからね。
したがって、予想並の数字が出てドル安は限定的というのがメインシナリオか。そして、本日は日経平均が堅調な値動きとなっていますから、円売り再開でドル円相場は底堅い値動きをしやすいと考えています。
ドル円チャート(日足)
予想を大幅に下回る数字、例えば、非農業部門雇用者数が+10万人を下回る、あるいは平均時給が前月比で横ばいかマイナスといったサプライズがあるならともかくとして、そうでもなければ昨日も割れなかった147.50円レベルすら割り込むのは難しいでしょう。89日移動平均線も強いサポートとなりそうです。
逆に強い数字が出てしまうと、再び利下げ後退、後ズレを意識して米長期金利が反発して、ドル買いに結びつきやすいでしょう。
やはり、利下げが意識されない限りは大幅なドル売りからの円売りの巻き戻しも発生しにくく、急落を想定してトレードするのは時期尚早といった感じがします。
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今夜の想定は1ドル=147.50-149.50円
これらを踏まえると、今夜の戦略としては予想並かそれ以上の数字を期待して、軽くドル円ロング(買い)で入ってみたいところでしょう。強目の数字なら、149円ぐらいまでは試しやすいです。
一方、よほど悪くない限りは147.50円すら割れなそう。もちろん、予想を下回る数字が並んだ場合は、さっさと損切りしましょう。過剰に円ショートが積み上がっているのも事実で、大きな下落リスクは常にありますから、それに巻き込まれないようにはしたいですね。
また、安全策でトレードするのであれば、数字を見てから押し目買いで良いでしょう。予想並かそれ以上であれば、148.00-148.50円レベルは押し目で、円売りがサポートとなって戻しやすいと考えられます。
とにかく、今夜は利下げを決定づけるような数字が出るかどうかが焦点で、そうでなければドル円は149-150円レベルまではジリジリ戻しやすいと想定しています。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2024年3月8日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による