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中東不安でドル円相場は大荒れ…米雇用統計でさらに動く?堅実で有効なトレード戦略=ゆきママ

月に1度のお祭り相場、米雇用統計が今晩21:30に発表されます。しかし、すでに相場は大荒れとなっており、その背景は中東不安があります。今回も相場全体の値動きから、雇用統計の展望、トレード戦略について解説していきますので、よろしくお願いします。(ゆきママ)

中東不安

米国株はダウを中心に暴落、日経平均もマイナスとなっています。理由としては、イランが大使館を空爆されたことに対して、近いうちにイスラエルに報復する可能性が高いというリークがあったことが挙げられます。イランのコッヅ・デー(ラマダン月最後の金曜日)に合わせ、何らかの報復攻撃が懸念されているようです。

NYダウ 日足(SBI証券提供)

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

イランとイスラエルの戦力差は明らかであり、全面戦争は望んでいないといった指摘はあるものの、攻撃のダメージ、規模によっては偶発的に戦争状態に突入していく可能性は否定できないため、中東情勢への不安からリスクオフとなり、原油高、株安、そしてやや円高となっています。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

円高になるメカニズムとしては、リスクオフの円高とも言われ、あたかもリスクを避ける意味で円が買われているような印象を持っている方も多いと思いますが、基本的には売られすぎたポジションの解消だけで円高になっていると言えます。

特にここ最近はCFTC(米国商品先物取引委員会)が発表している、実需でない投機筋の円売りポジションの建て玉は13万枚近くと、過去10年でみても最高レベルの水準にまで高まっていましたから、何かが起これば、すぐにこのポジションを一旦決済する動きが出やすいのです。

したがって、直近でやや円高になっているのは、この円売りポジションの解消が主な原因となっています。

円高のメカニズム

それでも、極端な円高は発生しておらず、ドル円は一定以上の底堅さを見せています。151.00円ラインを大きく割ることもなく推移していますから、やはり大規模戦闘といったことでも起こらない限り、円高の動きは限定的でしょう。

また、未明から始まった中東リスクに対する値動きを除けば、最近は政府・日銀関係者からの口先介入が活発化していることもあって、1ドル=152円台が近づくと円売りが解消されて円高になる値動きが目立っていました。

つまり、ドル高で152円に近づくと円高となり上値が伸びきれず、逆にドル安で反落して151円台に近づくと円売りが出て底堅い値動きとなり、引き続き金利差を意識した円売りというのは出やすい傾向があります。

パウエルFRB議長ら、FRB(米連邦準備制度理事会)メンバーの多くが、インフレが目標の軌道に達するまでは利下げを急ぐ必要はない、としていることも金利高の背景となっています。

やはりインフレ、金利高が強く意識されているという点で、今日発表の雇用統計もインフレに直結する平均時給がポイントとなるでしょう。

Next: 先行指標は堅調。雇用統計でドル円はどう動く?



先行指標は堅調

これまでに発表された最新の雇用関連の数字を見ると、比較的堅調な数字が並んでおり、基本的には強めの数字が想定されています。

雇用指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

非農業部門雇用者数は+20.0万人が想定されており、初動の値動きは先月同様、この雇用者数の数字が鍵を握るでしょう。

もっとも、先月は平均時給が予想を下回ったことで、発表の瞬間以降のドル円は大きく下げることになりましたから、最終的にはこの平均時給の数字が重要となります。

想定は1ドル=150.50-152.00円

とはいえ、相場の流れを決定づけるには、平均時給が前月比+0.3%・前年同月比+4.3%という予想から大きく乖離する必要があるでしょう。

例えば、前月比で+0.5%といった数字が出た場合は、152.00円の介入警戒ラインを試すことになり、場合によっては抵抗ラインを抜けて一段高となるでしょう。ただ、この場合はいつ為替介入で暴落があってもおかしくはないので、早めに利益確定して次の値動きを待ちたいところ。

逆に前月比で0.0%以下といった弱い数字が出た場合、米金利が大きく低下してドル安に傾けば、積み上がった円売り解消の動きが出て150.00円の大台割れもあり得るでしょう。

この場合、148円ぐらいまでの下押しは許容できるでしょうが、それ以上に下げていくようだと相場のトレンドそのものがいったん変化する可能性がありますので、ご注意いただければと思います。

というわけで、基本的には初動は雇用者数の数字によって動きますが、最終的にはインフレに直結する平均時給の数字に引っ張られますので、そのつもりでトレードしていきたいところです。

雇用者数が予想を下回って下げても、平均時給が予想並ならドル円は底堅く、再び151円台後半から152.00円台を試しやすいですし、逆に雇用者数が上回っても平均時給が予想を下回る場合、ドル円の伸びというのは限定的でしょう。

また、短期的には中東情勢も相場に強く影響しますから、ニュースのヘッドラインに注意して、なるべくポジションは持ち越さないようにしましょう。

ドル円チャート(日足)

とりあえず、現在の151.00円台前後のレートは押し目のポイントでしょうか。ただし、平均時給が予想を下回った場合は、いったん損切りでしょうか。

あるいは、発表後に雇用者数の数字が+10万人以下という数字であってドル円が大きく下げた場合でも、平均時給が予想並の前月比+0.2-0.3%以上であれば、それは押し目買いを意識しておきましょう。

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image by: Pigprox / Shutterstock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2024年4月5日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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