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ヘッジファンドも騙された「投資詐欺」を見破る3つのポイント=俣野成敏

これからは、自分の収入源を自分で確保していかなければならない時代ですが、とはいえ投資対象は何でもいいのかというと、そういうわけでもありません。特に気をつけたいのが「投資詐欺」です。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

※本記事は有料メルマガ・俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 2016年6月6日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

お金を増やすための絶対条件は、「投資詐欺」に騙されないことだ

詐欺を見抜く能力の重要性

金融商品で失敗する人は後を絶ちませんが、その多くは投資詐欺によるものであり、お金を「増やす」ためには、詐欺を見抜けるようになる必要があります。

一般に、投資をする際のリクスは大きく2つに分かれます。それは

  1. 運用リスク(事業リスク)
  2. 信用リスク

の2つです。

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(1)は、環境の変化や相場の上下動、事業そのものが持つリスクなどによって、損失を出してしまうことです。

たとえば「値上がりする」と思って買った1株2万円の株が、予想に反して値下がりし続け、やむなく1万5000円のときに売ったとすれば25%の損が出ますが、これはいわば「市場の読み間違え」による損失です。

市場が個人の力では操作できない以上、この運用リスクはある意味、仕方がないものです。専門家の間では「運用リスクに関しては、6割あたれば優秀」だといわれています。

対する(2)の信用リスクとは、そもそも「事業としての実態があったのかどうか」ということです。

投資詐欺のほとんどは信用リスク

(1)の運用リスクは、儲かる根拠はあったけれども、市場の動向などが影響して、予想外の結果になることです。一方(2)の場合は、リターンが出る仕組みもないのに、出資金を募ることを指します。

一般に発生する「投資詐欺」というのは、ほとんどがこの(2)の信用リスクが原因です。

Next: ヘッジファンドや銀行も騙された、初歩的な投資詐欺の手口とは



ヘッジファンドや銀行も騙された、初歩的な投資詐欺の手口

例を見てみましょう。2008年に世界中を驚かせた、米ナスダック・ストック・マーケットの元会長、バーナード・メイドフによる詐欺事件です。

メイドフ元会長が運用していた投資ファンドには、多くの著名人やヘッジファンド、銀行、証券会社などが投資をしており、その被害総額は500億ドルに上るとみられています。

詐欺の手口は単純なもので、「ポンジ・スキーム」と呼ばれる古典的な手法です。つまり、後から参加する出資者のお金を“配当金”と偽って、先に参加している出資者に渡し、運用益が出ているように見せかける手法です。実際は運用していなかったわけですから、明らかに(2)の信用リスクです。

手口自体は簡単ですが、それでもたとえば集めたお金を、そのまま年10%の配当金として別の投資家に還元した場合、運用などしていなくても10年は配当を払い続けることができます。

ウォール街の名士だったメイドフ元会長の元へは、次々と出資希望者がやってきたため、そのお金を使って先の出資者への払い戻しなどにも対応していました。

この詐欺事件が明るみになったきっかけは、2008年9月のリーマン・ショックです。投資家たちが一斉に資金を引き揚げたため、ついに払い戻しに応じ切れなくなり、破綻しました。

メイドフ元会長はナスダック創業時の功労者であり、上場株の場外取引システムをとり入れた先駆者でした。つまり、もともとは技術肌の人でしたが、徐々に会社の業務を資産運用へとシフトさせていきました。

本人が著名なこともあって当初はうまくいっていましたが、どこかで運用につまずき、ウソでウソを覆い隠すようになったものと推測されます。

「詐欺ではないか?」早くから疑問も

順調に見えていたときにも、元会長の運用ファンドに疑問を呈する人はいました。「一度も成績が落ちることなく、毎年10%以上も配当を出し続けるのはおかしい」という声でした。

実は、米証券取引委員会(SEC)の職員は、少なくとも1999年頃から元会長の不正行為に関する情報を得ていたといわれています。なのにSECがその不正を見逃していたのは、メイドフ元会長が彼らと懇意にしていたからのようです。つまりファンドの矛盾自体は、早くからわかっていたのです。

Next: 投資詐欺は日本でも。ワイン投資ファンドの手口



投資詐欺は日本でも。ワイン投資ファンドの手口

こうした事件はたびたび起こっていて、日本でも最近、あるワイン投資ファンドの運用会社が経営破綻しました。

このファンドは、募った資金でワインを仕入れて熟成させ、値上がり差益を出資者に還元するというものでした。手口はナスダック元会長と同じく、後から加入した人の出資金を前の加入者に支払う方法で、77億円以上もの資金を集めたにもかかわらず、発覚当時、ワインの在庫は1億円ほどしかなかったということです。

そのファンドの運用会社は、第二種金融取引業というライセンスを取得していましたが、監査が適正に行われていませんでした。さらに投資の本を何冊も書いている、とある著名な実業家がこのファンドを推奨したため、被害が拡大。この実業家は、もともとは株式や債券などの金融資産を長期分散投資する手法を日本に広めた人でしたが、同じ投資とはいえワインや不動産などの実物資産に関しては畑違いでした。

ナスダック元会長詐欺事件とワイン投資ファンドの共通点

ナスダック元会長の詐欺事件と、このワイン投資ファンドの破綻には、いくつかの共通点があります。

それは単純な詐欺手法を、どちらも著名人の肩書きを使ってカモフラージュしていたこと、しかし著名人たちは、必ずしもその分野のスペシャリストというわけではなかったこと、監督官庁や金融庁をうまくごまかしていたことなどです。

信用リスクとは、要は「裏づけがとれない案件」のことです。

投資詐欺は、矛盾点を突き詰めていけば、ほとんど見破ることが可能になります。それを難しくしているのは、人々の「何とかリターンを得たい」という気持ちです。願望が人から冷静さを失わせ、真実を見えなくさせるのです。

投資詐欺を見破るには、案件を自分の希望や憶測とは切り離して、客観的な視点から分析することが大切なのです。

本日のワンポイントアドバイス

投資案件を検討する際は、自分の希望的観測は脇に置いて吟味するようにしましょう。
一番大事なのは、「集めたお金で運用者が何をしているのか?」ということです。

  1. 現物資産の場合、なるべく現場にいくなどしてきちんと確かめること
  2. 決算書や棚卸し表などの、数字的根拠を必ず確認すること
  3. 専門家をチームに入れるか、実態を把握しづらいものには手を出さないこと(例:ワインの本当の価値を知る人は少ない)

※本記事は有料メルマガ・俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 2016年6月6日号を一部抜粋・再構成したものです。メルマガでは今回ご紹介した以外にも、読者の方からのご質問に回答するQ&Aコーナーもあります。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2016年6月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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