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結局は増税?石破内閣の経済政策から漂う不透明感に投資家が失望する理由=原彰宏

第102代内閣総理大臣に石破茂氏が選出されました。総裁選では「議論を尽くしてから」と説明していた解散を早々に表明し、10月27日にも投開票を行うとしています。結果はどう出るか。まずは石破内閣の閣僚人事から、経済政策の中身について検証します。(『 らぽーる・マガジン らぽーる・マガジン 』原彰宏)

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※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2024年9月30日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

「新しい資本主義」を前に進める?

今回の メルマガ メルマガ では、この話題に触れないわけにはいかないでしょう。自民党新総裁に石破茂氏が選出され、内閣総理大臣となりました。

閣僚人事も発表されています。重要な経済閣僚として、

財務大臣:加藤勝信(金融担当兼務)
経済産業大臣:武藤容治
経済再生大臣:赤澤亮正前財務副大臣(経済財政政策兼務)
経済安保障大臣:城内実
総務大臣:村上誠一郎
厚生労働大臣:福岡資麿参議院議員

政権の要(かなめ)である官房長官は、林芳正氏が留任します。官僚トップの事務の官房副長官に佐藤文俊元総務事務次官、政務の官房副長官に橘慶一郎衆議院議員、青木一彦参議院議員が就きます。

基本的には、岸田政権時の経済政策は引き継ぐと表明しています。いわゆる「新しい資本主義」を前に進めるというものです。

スローガン的なものは、「デフレからの脱却」「物価上昇を上回る賃上げ」。

石破政権の経済・財政政策は、経済あっての財政。経済を景気を良くして、経済のパイを広くすることで、財政政策があるという考え方です。

まずは経済の立て直しデフレからの脱却が最優先です。

当面は、金融緩和姿勢を崩さないというマーケット暴落に対してのリップサービスなのかもしれませんが、まずは経済、そして税制ということでしょう。

「賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現」

石破氏は会見冒頭で「賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現」を掲げ、物価上昇を上回る賃上げと設備投資の後押しで成長と分配の好循環を成し遂げるとしました。

賃金と物価の好循環を成し遂げるには、GX(Green Transformation:グリーントランスフォーメーション)とDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)で、設備投資を促進させて、経済成長という“パイ”を大きくさせることで、実現しようとしているのです。

雇用と投資の促進のため、企業の生産拠点を海外から国内に回帰させる必要があると指摘しています。

また報道では「メイド・イン・ジャパンの持つ価値や魅力を高める」と強調したとあります。

最低賃金引き上げを「成長戦略の一つの柱」と位置付け、2020年代までに1,500円に引き上げるとし、労働市場改革に関しては「成長分野への労働力の移動が円滑になされるよう仕組みを考える」と述べました。

賃上げの環境整備や価格転嫁対策を強化するため、下請け法の改正案を次の通常国会へ提出する方針も示しています。

企業の生産性向上を支援するなどし、2020年代に最低賃金を全国平均1,500円にまで引き上げることも掲げています。現政権の目標である「2030年代半ば」からの前倒しとなります。

Next: 地方から日本経済を底上げ。構想するだけならできるが…



地方から日本経済を底上げ

さらに地方経済を活性化することを起爆剤に、日本の国全体の経済の底上げをしようと主張しています。

地方から日本を良くするというのであれば大胆な「経済特区」を次々と設けることで地方に人や資金を呼び込めるような政策を打ち出せるかどうかが成功の鍵だと思います。

地方経済特区により地方に稼ぐ力をもたらし、コンパクトシティ構想の実現を目指すのであれば、経済活性は地方発で実現できるのでしょう。しかし、かつて石破新総裁は初代地方創生担当大臣でもありましたが、具体的に何を実現したのでしょうか。すぐには思いつきませんね。

石破新総裁はデジタル技術によって東京一極集中を是正して企業の地方進出を後押しし、地方での雇用創出などにつなげるとしています。

スマート農業やスマート水産業などを例に、一次産業のデジタル化を掲げました。「デジタル田園都市構想が大きな役割を果たす」と述べ、岸田政権の看板政策に重ねて言及しました。

観光産業も地方経済活性化の柱に据えます。「新しい地方経済・生活環境創生本部」の創設を掲げ、人口減少対策に力を注ぐとのことです。

なにより経済特区をどう取り組むのか、石破新総裁の地方創生の本気度が伺えると思いますけどね。

「防災庁」を設立

災害大国で専門の官庁がないのは異常だとして、かねて主張してきた「防災省」の必要性を改めて強調し、2026年度中に「防災庁」を設立し、検討を進めると述べています。

内閣官房には現在の経済財政諮問会議に代わる、経済・金融・市場などの危機対応を担う組織の創設を検討し、日銀や海外政府との連携強化を狙うとしています。

エネルギー政策については当初、「原発ゼロに近づける」と主張していましたが、その後は「安定したエネルギー供給が国家の生命線」と軌道修正しています。地熱や小水力発電を推し進め、省エネも最大限進めると主張しています。

できるのですかね…。

物価高対策については、10月使用分で終了予定の電気・ガス代の補助の更なる延長には慎重な立場な一方で、生活必需品の値上がりや住宅ローンの金利の上昇による影響に対し緊急対策を講じるとしています。

経済の先にある財政政策とは財政規律の健在性を保つことであるため増税をちらつかせることになります。

金利のある世界の実現…。

総裁選挙初期の頃は金融資産課税にまで言及していました。法人税増税もちらつかせています。

いつかは増税…。

ここは、立憲民主党の野田佳彦代表と共通するところではないでしょうか。

どっちに転んでも私達の生活は常に「増税」を意識しておかなければならないということですかね。

ちなみに加藤勝信新財務大臣の選挙公約は「国民所得倍増」です。どこかで聞いたようなスローガンですね。あくまでも「賃上げを起点にしていく」もので、そのためには、企業の設備投資の活性化も必要だとしています。

Next: またも絵に描いた餅?財務大臣・加藤勝信氏の「所得倍増計画」とは



企業の内部留保に課税?

加藤氏の所得倍増計画における政策プランは次の3点にまとめられます。

・賃上げ税制政策
・成長のための投資促進
・労働分配率の引き上げ

これらをどうやって実現するのでしょう。

石破新総裁の言う法人税増税も、加藤氏の訴えもおそらく企業の内部留保金に何らかの課税を行うことを考えているようですね。

石破新総裁のホームページに自身の政策が載っています。経済政策の少ないこと…。
https://www.ishiba.com/policy/

野田佳彦立憲民主党代表のHPに自身の政策が載っています。石破氏とどこが違うのでしょうか…。
https://www.nodayoshi.gr.jp/report/20240905/901/

早々に解散総選挙へ

石破茂総裁は30日に党本部で記者会見し、次期衆院選の日程について10月27日投開票にすると表明。9日にも衆院を解散し、15日に公示する方針となっています。

新内閣発足直後で高い内閣支持率が見込めるうちの選挙を狙う、と報道されていますが、どうなるでしょうか。

いよいよ与野党“新顔”同士によるガチンコ戦争が始まります…。

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らぽーる・マガジン らぽーる・マガジン 』(2024年9月30日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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