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選挙と株価のアノマリー~外国人投資家のクセは今年も再現されるか?=櫻井英明

兜町カタリスト』櫻井英明さんのアノマリーシリーズ、今回は「選挙と株価の関係」「ローベータ銘柄」の2つのアノマリーをご紹介します。

好感か出尽くしか。7月参院選を前に、気になる選挙のアノマリー

1990年以降の「衆参両院選挙と株価」の関係

大和証券が1990年以降の「衆議院選・参議院選(17回)と株価の関係」をレポートにまとめている。

一般的に「政権与党の勝利」は、政局安定を通じて株価にはプラスになるイメージ。しかし事前に勝ちが予想されているケースが多く、逆にイベント通過で出尽くしとなってしまうことも多い。

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ただ、政治改革・経済対策期待が持続しているときは、選挙後も堅調。あるいは、いったん軟調となるものの、その後復調する傾向。選挙が行われた月は、10回のうち9回が買い越し。そして、1カ月は売り越しに転じた月が半分を占める。しかし2カ月後は、10回のうち8回が買い越し。3カ月後は、10回のうち9回が買い越しになっている。

「外国人投資家」の売買動向と選挙の関係

外国人投資家の投資行動として、選挙月から1カ月後は材料出尽くしでいったん売り越し。2カ月後・3カ月後は、再びファンダメンタルズの観点から買い越しに転じる傾向がある。

選挙前後、プラスになる業種

選挙前(選挙日の前営業日~20日前)と、選挙後(選挙日の前営業日~20日後)の33業種別の騰落率。与党が勝利した選挙の10営業日後の騰落率がプラスの業種は13業種、うち内需系の業種は9業種。
水産・農林、建設、石油・石炭、電気・ガス、陸運、倉庫・運輸、銀行、保険、不動産

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志の輔師匠のマクラで面白い「選挙の開票」

ところで…。志の輔師匠のマクラで面白いのが「選挙の開票」。

どうして20時の投票締め切りと同時に当選確実が出るのか。投票箱を閉めた途端に当選確実。開票速報を楽しみにゆでた枝豆に手を付ける間もなく結果が出る。

おかしい。と思ったらある数学者に諭されたという。「味噌汁の味見をするのに、全部飲み干しますか?一部から全体を類推するのが統計学ってもんです」と。

言われてみれば確かにそうだし、結果的に間違いも少ない。でも数千名の調査でEU離脱や残留を類推するのは、どうも枝豆以上に腑に落ちないが…。

割安株が発掘できる!? ローベータ銘柄のアノマリー

金融工学の言葉の一つに「ベータ値」というのがある。株価と市場の連動性を示すリスク指標で、市場平均よりも価格変動が大きいか小さいかを見る。要は感応度の問題でもある。

ベータ値1は、市場平均と同じ動き。ベータ値が1以上であれば、ハイベータ。1以下であれば、ローベータとなる。株価の変動が大きく激しいほどハイベータ。逆がローベータ。一般的には、株価が低い銘柄の方がベータ値は高くなる傾向がある。

ところで、アノマリーの一つに「ローベータ」というものがある。NYダウ構成30銘柄を低ベータから高ベータまで5銘柄ずつ6グループに分ける。1931年~2013年のパフォーマンスは最も低いベータ値のグループがリターンが最も高かった。価格変動は最も低かったがリスクに対するリターンの度合いが高かったことになる。解釈としては…。

ベンチマークを上回ろうとする思惑を持ったファンドマネージャーや投資家。「あわよくば」という思いや成長企業志向、あるいは自信過剰からハイベータ銘柄を好む傾向。それゆえローベータ銘柄に目が届かなくなり、ローベータ銘柄が割安になるという。

これは教訓として覚えておきたいところ。

【関連】英国EU離脱懸念の次に待ち構える米国発「イエレン・ショック」の中身=藤井まり子

「兜町カタリスト」』(2016年6月23日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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