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森友問題は影響なし!今年3月の日経平均に上値が重くなる理由はない=伊藤智洋

森友問題で安倍首相の支持率が下がると、株が下がるなどと言われています。そこで、例年3月の日経平均株価の推移を見てみます。今年は、上値が重くなる理由がありません。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2017年3月26日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。本記事で割愛したメインコンテンツ(ドル円相場やプラチナ相場の分析)もすぐ読めます。

3月31日の日経平均株価終値は「19226円」以上になる公算

森友問題で株が下がる?

23日は、国有地払い下げに政治家の口利きがあったか、安倍首相が寄付金を渡したか否かをはっきりさせるため、籠池氏が参院、衆院へ出頭し、事情説明を行いました。

冷静に判断できる方なら、既知のことになりますが、森友学園への国有地払い下げ、小学校参入への認可の手順に不正はありません。

問題なのは、国有地を払い下げに関して、役人の裁量の余地が大き過ぎるのではないかということです。

今回、安倍首相の気持ちを忖度して、交通局が廃棄物の処理価格を高く見積もったのであっても、もともと妥当な見積もりだったとしても、財務省が、第三者機関に妥当な払い下げ価格や、廃棄物の処理費用を見積もらせていればよかっただけです。

小学校の開校が迫り、子供たちが困る状況を避けるため、第三者機関でしっかりとした見積もりをしなかったことが問題の原点です。

この件には、予定通りに開校できなければ、子供の親、あるいは小学校側からクレームが来るので、そうならないように無難に収めようとする役人体質を十分に理解した上で、全体の筋書きを描いた人物がいると考えられます。

実際、証人喚問では、値引きの金額、なぜその金額になったかなど、籠池氏が知らないと思われることが多々ありました。

最近、竹中平蔵氏の「第四次産業革命!日本経済をこう変える」という本を読みました。ビックデータを活用したソーシャルネットワークの分野では、日本がすでに周回遅れになっているという話が最初のテーマになっています。理由は、言われつくしていることで、業界を守る規制が厳しく、新規参入を阻む要因になっているからです。

ありふれた言い回しですが、インターネットの普及により、企業には、国や地域、業種の垣根がなくなってきています。もう、規制によって守られる時代は終わりました。国によって守られるべきは、国民の生活、文化、安全であって、仕事ではありません。

今回の森友学園認可と国有地売却の問題は、責任の所在があいまいになっている割に、官僚の裁量に任されている部分が大き過ぎることが疑いをもたれる原因です。

国の役割、中央と地方の役割分担と、責任の所在を明確にした組織へと変われないと、世界の進化に取り残されたまま、国も企業も貧しくなってゆくのを待つだけです。

毎日、森友のことばかりで、あまりに腹立たしくて書きたくなりましたが、結局、ありきたりな意見で、愚痴を言っているだけの文章になってしまいました。

3月の日経平均株価に注目

気を取り直して、少し相場の話をしておきます。

日経平均株価の3月は、1年間が上値重く推移する場合でも、年間を通じて最も取引量が多くなりやすく、価格が下値を支えられやすい時期です。

バブル崩壊後の急落場面を経過した93年以降で、3月が傾向に反して陰線引けした(3月の始値よりも終値の方が低かった)年は、94年、95年、97年、98年、03年、05年、07年、08年、11年の9回(24年中)あります。

Next: 今年3月の日経平均株価に「上値が重くなる理由」はない



今年3月の日経平均株価に「上値が重くなる理由」はない

これらの年の1年間の値動きがどうなっているかを見てゆくと、97年、98年、07年、08年、11年が弱気パターンの年の展開になっています。

94年は年間が陽線引けする動きですが、6月に高値を確認して、その後、翌年まで続く下降の流れへ入っています。

95年は、年初の急激な円高を阻止するため、日米独の協調介入が入り、5月頃から円安トレンドを形成したことで、日経平均も上昇を開始しています。

03年は、政府が大手銀行を救済することを決めたため、4月末頃から反転して、上昇を開始しています。

05年は、1年を通じて円安の流れを作りましたが、8月まで3月の高値を超えられず、上値重く推移しています。

3月が陰線引けする場合、その年が上値の重い状況であることを暗示しています。3月が陰線引けしたにもかかわらず、年間が上昇している年でも、8月頃まで、3月までにつけた高値を超えられない動きになる可能性があります。

そうならずに上昇するのは、特別な状況の変化があったときだけです。

森友問題で安倍首相の支持率が下がると、株が下がるなどと言われています。27日から31日まで上値重く推移して、3月の始値19226円以下で引ける展開になるとするなら、3月の上値の重さは、森友など関係なく、もっと他に重要な問題が潜んでいることを示唆している可能性があります。

このことは、今年の上値が重くなるかもしれないと言っているわけではありません。今年は、上値が重くなる理由がありません

3月23日の安値が押し目底になって、週明け後は、堅調に推移し、3月31日の終値が19226円以上になる公算です。
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2.パワー・トレンド講座、第二十二回 年間の強弱パターンを知っていれば、今年のプラチナは読みやすい


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『少額投資家のための売買戦略』』(2017年3月26日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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