ドル円がまさかの105円タッチするなど、今週は急速に円売りが進みました。理由については、言うまでもなくヘリコプターマネー期待が急速に高まったことによるでしょう。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)
黒田バズーカ第4弾なるか。発動でも円売りの賞味期限に注意
ヘリコプターマネー期待で円売り進む
ドル円がまさかの105円タッチするなど、今週は急速に円売りが進みました。理由については、言うまでもなくヘリコプターマネー期待が急速に高まったことによるでしょう。ヘリマネの定義は諸説あるものの、現状での認識としては、財政拡張と追加緩和を同時に実施するということになります。
そして、市場としては今月末(7月28~29日)に予定されている日銀金融政策決定会合で、黒田バズーカ第4弾(追加緩和)が発表されるとの期待感から円売りに大きく傾いているのが現状でしょうか。
しかしながら、今月末の会合で実際にさらなる追加緩和が決定されるかといえば、個人的にはかなり疑わしいと考えています。
ヘリコプター・ベンことバーナンキ前FRB議長が登場したことで、何故か期待感が先行しているものの、実は先月、現役のFRB議長であるイエレンは「中央銀行による財政支援が行なわれている現状は極めて異常」と発言しているんですね。
また、ヘリマネ論については、「学術論的議論にしても逸脱している」とし、ハイパーインフレに陥った国を引き合いに出し、「中央銀行の独立性が物価を安定化させる」と一蹴しています。
ドルの番人であるイエレンFRB議長は、かなりの慎重派ではありますが、政府の財政を中央銀行が下支えし、あまつさえ政府が中央銀行に圧力をかけて中立性をないがしろにするような今の日本の現状というのは、誰が見てもかなり異常といえるでしょう。
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月末までは底堅い円売り相場か。追加緩和でも賞味期限は短命
果たして、この異常な状態を黒田総裁が是とするのかどうかについては、消費増税を伴う財政再建を主張してきた保守的な一面も踏まえれば、その可能性はそう高くないのかなと思います。
というわけで、とりあえず月末までは緩和期待から底堅い円売り相場が続くでしょうが、結果を見ないと何とも言えません。市場では早くも底打ちといった声が上がっていますが、まだ何一つ決まっていないということは覚えておいていただければ。
そもそも論として、バーナンキFRB議長は自身がシニアアドバイザーを務める資産運用会社PIMCOでの講演が目的で来日しているので、政府筋と会談したからといってヘリマネ期待が高まるのは解せないんですよね。
陰謀論はあまり好きではないですが、PIMCOが債券運用の最大手ということも引っかかります。単に会社の利益を最大化するための演出ともとれるため、少し疑いの目も向けておきたいところでしょうか。
まぁ、仮に追加緩和が実施されたところで、円売りの賞味期限は1月末のマイナス金利発表時のように、極めて短命に終わる可能性も十分ありますからね。やはり、デフレ脱却となるまでは相対的に円が買われやすい地合いとなりがちですので、その辺を含めてトレード戦略を練っていただければと思います。
『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」』(2016年7月14日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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