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黒田バズーカ第3弾「余地はない」 門間前日銀理事の指摘の重み=久保田博幸

日銀の7月追加緩和を予想する向きが多い中、年80兆円増えるペースで行っている長期国債の買い入れについて「永遠には続けられないのは当たり前だ」と門間一夫前理事が指摘していることは重要である。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)

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7月緩和期待をよそに、袋小路に追い込まれ打つ手が限られる日銀

前日銀理事・門間一夫氏の懸念

前日銀理事の門間一夫氏はブルームバーグのインタビューで、マイナス金利拡大も量の拡大も慎重な判断が必要で、もはやバズーカ砲第3弾の「余地はない」との見方を示したそうである。

量は次第に限界に近づいており、そう遠くない時期に長期国債の買い入れペースを落としていくことが「常識的な将来の見通し」だと語ったとか。

門間前理事は調査統計局長をはじめ、金融政策担当理事、国際担当理事を歴任し、5月末に退任したばかりである。

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2013年4月の時点で「多少野心的な目標であっても、気合で一気呵成(かせい)に2%に持っていこうという戦略は正しかった」と現在の日銀が行っている異次元緩和について肯定している面はあるものの、「気合」との表現を使うあたり、やや懐疑的な見方もしていたと思われる。

いずれにしても保有残高が年80兆円増えるペースで行っている長期国債の買い入れについて「永遠には続けられないのは当たり前だ」と前理事が指摘していることは重要である。

(国債買入の)限界に「だんだん近づいているという認識は日銀も持っている」と語った点については、黒田総裁のこれまでの発言とは相反するものではあるが、日銀としての本音でもあると思われる。

ここにきての債券先物の板を見ても流動性という面からは、やや危険な兆候も出てきている。

国債買入のペースを多少落としてもバランスシートは拡大し続けるので、引き続き緩和方向に行くという大きなフレームワーク自体は変わらないことを「しっかり説明していけば、引き締めになるとか為替相場の円高に作用するとか、そういう誤解を招く可能性は排除できる」と語ったそうであるが(ブルームバーグ)、日銀もこのあたりの落としどころをすでに探っているのではないかと思われる。

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