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年末ジャンボ10億円を夢見る人が知らない現実。当せん者の5.28%が「5年以内に破産」の恐ろしい統計=鈴木傾城

年末ジャンボの1等が当たる確率は0.000005%にすぎず、それでも人々は「ゼロじゃないなら当たるかも」と行列を作ります。天才ニュートンも南海会社の株で高値を売り抜けながら、取り残される恐怖から全財産で買い戻して大損しました。さらに、宝くじの高額当せん者の5.28%が5年以内に破産したという研究もあり、大金を手にしても理性は戻りません。(『鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編』鈴木傾城)

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※有料メルマガ『鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編』2026年10月4日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

一獲千金の妄想に取り憑かれれば、場合によっては人生が破滅する可能性がある?

あなたは「一獲千金」を考えたことがあるだろうか。たとえば、宝くじで人生の一発逆転を考えたことは? 年末ジャンボ一等・前後賞10億円でも当たったら、それこそ「超」一獲千金だ。人生がひっくり返る人もいるだろう。

もう一生働かなくてもいい。満員電車に乗ることも、上司の顔色をうかがうことも、明日からは要らない。住宅ローンは一括で返せる。高いクルマにブランドの時計を一括で買うこともできる。

好きなときに行きたかった国に行って高級ホテルに泊まり、高級な料理を食べてグルメ三昧することもできる。年収500万円であったら、200年働いても届かない金額が10億円である。使い放題だ。

とは言っても、年末ジャンボの宝くじの一等賞なんかは、99.999995%の確率で当たらない。99.999995%と言われたら、もはやゼロだと言われているも同然の確率である。それでも、この一獲千金に参加する人は後を絶たない。

理由は、損得の計算が人を動かしていないからだ。「熱狂混じりの不合理な感情」がそこにある。

当たる確率が0.000005%でも「万一当たったら10億円。それは一生コツコツ働いても手に入らない大金だ」と思ったら、居ても立ってもいられなくなるのだ。もはや、それは理性ではない。壮大な妄想だ。

どれだけ「当たる確率は超絶的に低い」と説明されても、0.000005%の確率と言われても、2,000万分の1と言われても、「ゼロじゃないなら当たるかも」と思ってしまうのだ。

私は一度、ギャンブル依存の取材のために、「宝くじの聖地」と言われている銀座の数寄屋橋の売り場へ年末ジャンボの発売日に行ったことがある。そこには何百人もの人たちが長い長い行列を作って、3時間待ちで券を買っていた。

中高年ならまだしも、杖をついた具合の悪そうな高齢者までいる。それほどまで一獲千金が人々を駆り立てていることに驚きを隠せなかった。

正しく売り抜けた天才は、なぜ買い戻したのか

「もっと大きく儲けたい」「しこたまカネが欲しい」「一獲千金を手にしたい」という妄想は、人々の理性を簡単に狂わせてしまう。たとえば、天才数学者アイザック・ニュートンも、それで狂ってしまった。

1720年、イギリスで南海会社の株が急騰したことがあった。この会社は1711年に、政府の借金を株式に置き換えて負担を軽くする仕組みとして設立されたものだった。だが、国民のあいだでは大人気で、株価は信じられないくらい大きく上がった。

造幣局長官を務めていたニュートンも、この会社の株を保有していた。そして、それがかなりの高値となったときに、持ち株を売って大きな利益を確定させた。ここまでの判断は正しかった。

ところが、である。ニュートンが売った後も、南海会社の株価はぐんぐん上がり続けていった。ニュートンはひたすら上がっていく株価に周囲が大きな利益を上げるのを見て焦り、売ったことを後悔し、もはやじっとしていられなくなった。

結局、ニュートンは全財産を注ぎ込んで再参入したのだが、今度はそのまま暴落に巻き込まれていった。

何とか破産はまぬがれたが、ダメージは大きかった。「天体の動きは計算できても、人々の狂気は計算できなかった」と嘆いたのはこのときである。

ニュートンは、相場の過熱を見抜く目があった。失敗だったのは、周囲の熱狂に飲まれてしまって高値で買い戻したことだった。これは現在では「FOMO(取り残される恐怖)」として知られている。上がり続ける株を手放した後悔もあったのだと思う。

株価が下がる不安よりも、取り残されてしまう不安の方が大きかった。それが、ニュートンを破滅寸前まで追いつめることになった。ここでも垣間見られるのは、理性ではなくて理性をねじ伏せるような「熱狂混じりの不合理な感情」である。

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これは普通の人間なら抵抗不能な感情なのか?

「熱狂混じりの不合理な感情」は一獲千金を妄想しているときに発生しやすいのだが、仮にその一獲千金が成し遂げられたら収まって正常な感覚に戻るのだろうか。どうも、そうではなさそうだ。

あぶく銭が入れば、ますます理性は吹き飛んでしまうのだ。

日本では、宝くじで1,000万円以上を当てた人に、みずほ銀行から『【その日】から読む本』という冊子が渡されるという。弁護士や臨床心理士、ファイナンシャルプランナーの意見を取り入れて作られたものだ。

冊子には、「当せん金は現金で持ち帰るな」とか「当せん直後は自分が興奮状態にあると自覚せよ」とか「後悔するような軽はずみな言動に注意せよ」みたいな内容が書かれているという。

この警告には、もちろん根拠がある。3人の経済学者が、フロリダ州の宝くじ当せん者1,212人の記録と自己破産の記録を突き合わせた研究を2011年に発表している。これによると、5万~15万ドル(約785万円~約2,355万円)の当せん者の破産率は、以下のようになっていた。

・当せんから2年以内:12人が破産(0.99%)
・3年後から5年後:52人が破産(4.29%)
・5年以内の合計:64人が破産(5.28%)

まとまった大金が入っても、5年以内に5.28%の人がすっからかんになっていたのだった。数年という時間をかけて、当せん者は元の木阿弥となった。銀行が冊子を用意する理由は、ここにある。

このことから、一獲千金の妄想はーーー

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※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

image by:Bo_Bo/Shutterstock.com

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