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狙いは高齢者の資産。「マイナンバー詐欺」に騙される人、騙されない人=街

マイナンバー制度は、きちんと運営・管理されるならば行政を効率化する優れたシステム。しかし現実には、お粗末な運営により「新たな詐欺」を誘発しかねない状況にあります。(『億の近道』街のコンサルタント)

プロフィール:街のコンサルタント
20数年間を金融(主に証券)会社で過ごし、投資銀行業務や事業育成の業務を担当。「金融機関に籍を置く(安全な)立場で客観的なことを言うより、いっそのこと経営者と同じ立場で事業拡大のお手伝いを出来ないものか」と思い立ち、2005年春に証券会社をリタイアしてコンサルティング会社を設立。

ターゲットは「現金を持て余す高齢者」行政はアテにするべからず

詐欺師が泣いて喜ぶ「マイナンバー制度」お粗末な運営の実態

マイナンバー制度は、しっかりとした運営・管理ができるならば行政を効率化する有効な手立てとなり、正確な年金支払いや課税などにも役立つ優れたシステムです。ですが、日本年金機構(旧社会保険庁)を真似たお粗末な運営をするようであれば、それこそ詐欺グループが大胆に利用するなど、大混乱が予想される制度です。

早々に心配な事例を聞きました。

マイナンバーカードを申請するために送られてきた縦長のカード裏面の署名欄に「自署」とあるのですが、ある高齢のご夫婦が処理方法が良く分からず、ご主人が両方とも署名してしまったとのことでした。

いくらカード発行を申請するだけの書類とは言え「自署」とあるのに違う人が署名したのでは将来何か問題があってはいけないと親族の方が念のため問い合わせたところ、マイナンバーの担当者と以下のやり取りをしたそうです。

担当者:その書類はカード作成を申請するための書類であり、「自署」欄については誰が署名したのかをこちらでは確認の方法が無いので、そのままお客様のご判断でお送りいただければ結構です。

親 族:将来何か問題になってはいけないので念のための確認で電話しているつもりですが、仰っている意味は、本人以外が署名した書類でカード申請をしても将来において問題が発生しないという解釈で良いですね?

担当者:それはこちらではお答えできません。その書類を使うか否かは、あくまでもお客様の責任とご判断でお願いします。

いくらかでも不安を解消する良い方法は?と質問をしても「他の方法は無く、問題が発生するか否かはこちらではお答えできないので、お客様のご判断で…」と繰り返すだけの禅問答が続き、安心できる回答を得ることのないまま電話を置いたそうです。

しかも「20秒毎に10円が課金されます」と言うナビダイヤルで、素人と思われる担当者が質問の度に「少しお待ちください」と散々待たされた挙句の問答だったとのこと。この窓口対応には呆れたそうです。

これくらいの基本的な質問にさえ安心できる回答ができないのに「マイナンバーの運営を任せろ」と言われても…と大きな不安を持ち、これは将来において社会保険庁のずさん管理どころではない大問題が発生するのでは?と感じたそうです。

この手の手続きが苦手な高齢者や生活保護受給者をだまして別人の写真でカードを作ってしまえば、いくらでも不正ができてしまいそうですから。

その後、改めて当該地区の役所に問い合わせたところ、詳しい説明と共に、この件では悪用されるなどはないということを確認できたそうですが、「マイナンバーに関する問い合わせはこちら」と案内している番号の窓口がこれでは危なっかしい限りです。

Next: ずさんな行政のスキをつく「詐欺」から自分と家族の身を守れ!



不正や詐欺は、行政の隙をついて発生する

以前にも書きましたが、不正や詐欺などは、ずさんな行政の隙をついて発生して蔓延します。利権を維持したいがゆえに監視が緩くなる縦割り行政の弊害は無数にあり、国民が被害を受けても行政は決して責任を取りません。責任を特定出来ない(回避する)仕組みを取り入れているからこそ、不正に繋がりやすいことを承知しているにもかかわらず。

最近では把握されたくない資産をタンス預金にするため、家庭用金庫が前年比3~5割増のスピードで売れているそうです。3年以内には取引金融機関へマイナンバーの届出をしなければいけませんから、現金を持て余す高齢富裕層が名寄せを避けるため急いで隠しているのでしょう。以前にも増して高齢者が現ナマを抱えこむのですから詐欺に狙われやすく、今後も残念なニュースが続きそうです。

不動産などを含めれば個人資産の7割以上を持つ高齢者相手のビジネスが最も儲かるからこそ、あらゆる業界が高齢者をターゲットにしています。最近の健康指向などはその最たるもので、「効果不明」として処分を受ける食品会社や健康関連会社は後を絶ちません。

マイナンバーの取り扱いにつきましては、十分に注意していただきたいと思います。これから利益を出せるビジネスはいよいよ高齢者に関連する(高齢者からボッタくる)ものばかりになりそうと感じるからです。

兎に角、金融はもちろんのこと、何にしても「ボッタくられないよう注意してください!」としか申し上げられない時代となりました。

【関連】日本に残された道は? 28兆円の2倍「56兆円」でも実は足りない経済対策=矢口新

億の近道』(2016年7月7日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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