マネーボイス メニュー

準備は万端。日経平均株価はいつ「2万1000円の壁」を超えるか?=藤本誠之

日経平均の予想EPSが1330円を突破。これは非常に大きな意味を持つことで、5月末から6月初旬にかけて、日経平均は2万957円あたりまで上昇する可能性があります。(『グローバルマネー・ジャーナル』藤本誠之)

※本記事は、最新の金融情報・データを大前研一氏をはじめとするプロフェッショナル講師陣の解説とともにお届けする無料メルマガ『グローバルマネー・ジャーナル』2017年5月25日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に定期購読をどうぞ。
※5月16日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。

プロフィール:藤本誠之(ふじもと のぶゆき)
SBI証券 投資調査部 シニアマーケットアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 資産形成力養成講座 講師。

5月末から6月初旬にかけ日経平均株価は高値チャレンジへ

ドル円相場に注目

注目のドル円相場ですが、ポジティブなところ、ネガティブなところと、いろいろな面があります。

ネガティブなところとして、1つは北朝鮮の地政学的リスクが挙げられます。他にもアメリカトランプ大統領の内政FBI長官解任などいろいろな事件があり、ドル円に対して不安な部分があるかと思います。

ただ利上げも6月と予想されており、アメリカ景気に関してもそこそこ堅調だということで、ドル円は一気に下がったところから上がってきている状況です。ここは今しばらく堅調で、115円をつけるような相場が予想され、そこを抜けると118円あたりまで上昇する可能性もあると思われます。6月の前半から半ばくらいまでは、全体的にドル高円安という傾向となるでしょう。

大きな意味を持つ「日経平均予想EPS」1330円超え

また、日経平均の予想EPSが、5月15日には1330円となり、史上最高値を更新しています。非常に強い動きで、やはり企業業績がよくなってきたことがわかります。今期はだいたい4%程度の増益と言われており、それにプラスして、現時点ではまだ特別損失が出ていないのでこのようになっています。最終的に予想EPSは一株利益なので、経常利益、経常損失とともに、特別利益、特別損失も加わってしまいます。去年もその部分が大きく影響しました。

去年は大きな損が出た東芝が日経225の中でも大きな部分を占めていたので、その影響を受けました。今年は東芝が、実際に日経225から夏には外れると思われます。3月末に債務超過だったということから東証1部から東証2部へ、シャープが落ちたのと全く同じ形で移ると思われ、そうすると日経平均株価の採用銘柄ではなくなるのです。おそらく、東芝の代わりにセイコーエプソンが入るというのが今のマーケットの見方です。そのことも、1つのプラス要因となるわけです。

こうして予想EPSが1330円を抜けてきたということは非常に大きいことで、2月の時点では1204円で、そこから130円近く増えています。130円動くとどういうことになるかというと、PERで見ると今は15倍で、130円の15倍なので1950円、つまり、日経平均では約2000円違ってくるのです。PERは2月の時点ではほぼ16倍だったので、もしその16倍まで行くとしたら、2万1280円となり、前回の高値を抜けてしまうという形です。このあたりへの上昇は可能性としてあり得るのではないかと思います。

逆に言うと、15倍で1万9950円ですが、今はそこを割り込んでいます。アベノミクス以降、なんとなく15倍あたりが平均値のようなので、15倍より低いとなると割安感が強まっていると言えるでしょう。

そして足元、業績はそれほど悪くはならないだろうと思われます。為替が113円、114円くらいで進めば、さらなる増額修正につながります。こうしたことから、日経平均はもう少し強気で見てもいいだろうと思います。ただその後は、少し休憩という形で下がってくるとは思いますが、5月末から6月初旬にかけて、日経平均は高値をつけると予想します。うまくいけば2万1000円、前回の高値の2万957円あたりまで上昇する可能性があると思います。上がる時はすんなり上がるというわけです。また一目均衡表で見ても上抜けてきているので、強気相場が続くだろうと思います。

Next: 黒田日銀総裁はどう対応? トランプ大統領の内政問題が引き起こす恐怖



トランプ大統領の内政問題が引き起こす恐怖

アメリカ、ヨーロッパ、日本の現状を見ていくと、ヨーロッパでは非常に懸念のあったフランス大統領選挙で、ルペン氏、マクロン氏の一騎打ちとなり、結局マクロン氏が勝ちました。やはりルペン氏になると、EU離脱ということになり、フランスがEU離脱となるとなんのためにEUがあるかわからなくなってしまいます。

ヨーロッパはずっと戦争をしてきていて、特にフランスとドイツの仲が悪いのです。歴史上、第一次大戦、第二次大戦と、ずっと喧嘩をし続けてきたのがフランスとドイツなのです。この2つの国をなんとか仲良くさせようとできたのがEUなのです。そのフランスが離脱となれば大変なことになり、実際にEUが崩壊するということにもなるでしょう。

イギリスの離脱に関しては、地理的にも離れている上に、通貨もユーロを使わずにポンドを使っていたので、確かにイギリスのユーロ離脱は大きいものの、影響は限られます。むしろフランスが離脱となれば、Brexitどころの騒ぎではないというわけです。マクロン氏の勝利によってEUの崩壊が遠のいたということになり、とりあえず足元の欧州に関しては、少し心配感がなくなってきたと言えるでしょう。また、ヨーロッパでは引き続き量的金融緩和を実施していますが、そろそろ出口というものを模索し始めたところだと思います。

一方、アメリカはトランプ大統領の内政が問題となっています。トランプ大統領は様々な政策を打ち出していますが、内政に関しては、どうも国民の評価が低いという状況です。特にFBIコミー長官を更迭したことは、いろいろな面から考えて厳しい可能性があると言えます。

結局、内政がうまくいかないと外交で得点を稼ごうとします。それにより誰か敵を作ってしまうということで、北朝鮮の問題が心配になっているというのがアメリカの現状だと言えます。

そして、日本に関しては、日銀黒田総裁は頑張っているわけですが、正直今のところ全く何も打つ手がない状況です。何もしようがないので、今の金融緩和を持続していくしかないだろうという状況です。インフレ目標2%と言ってもなかなか達成できず、ただ、景気はそれほど悪くはないものの、物価がそれほど上がっていかないというところです。現状はそれほど悪い状態ではなく、景気はそこそこ良いと思われるので、打つ手なしと言うほどのひどい状況ではないように思います。こうしたところが現在の大きな先進諸国の動きです。

【関連】儲かるフランチャイズビジネスの見抜き方~「コンビニはヤバイ」の先にある成功法則=俣野成敏

【関連】奇人?変人?だから何?株で成功したいなら「頭がおかしい奴」になれ=鈴木傾城

【関連】近づく「官製ブラックマンデー」約束された急落のベストシナリオ=藤井まり子

>

グローバルマネー・ジャーナル』(2017年5月25日号)より抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

グローバルマネー・ジャーナル

[無料 週刊]
最新の金融情報・データを、大前研一をはじめとするプロフェッショナル講師陣の解説とともにお届けする“無料で最強メルマガ”です。テーマは週替わりで株式・世界・為替・商品市場と、具体的な不動産投資や債券、投資信託、ファンドなどのニュースも斬ります。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。