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東京五輪9万人ボランティアという「やりがい搾取」に反対します=三宅雪子

東京五輪の9万人ボランティア計画には大きな問題があります。それはボランティアが働く分の雇用機会がなくなり、期待される経済効果が失われることです。(『三宅雪子の「こわいものしらず」』三宅雪子)

※本記事は有料メルマガ『三宅雪子の「こわいものしらず」』2017年6月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:三宅雪子(みやけ ゆきこ)
元衆議院議員。玉川学園女子短大、共立女子大学を卒業。テレビ局勤務を経て、2009年群馬4区で民主党から立候補し、比例復活当選。現在は、執筆やネット配信、福祉や介護のアドバイザーなどをしながら政治活動を行っている。

9万人ボランティアが奪う五輪の経済効果。バブルどころか不況へ

ムダ使いをしておきながら「無償ボランティアありき」の計画

作家の本間龍さんが、東京五輪の「9万人ボランティア計画」に異論を唱えて、問題提起をしています。

無償ボランティアの是非以前に「9万人ボランティア計画」については、かなり問題があります。9万人のボランティアを募集するということは、つまり9万人の雇用機会がなくなることになります。

これは、安倍総理が説明していたことと違います。多くの雇用が創出されて経済効果があるとされた「2020年の東京五輪招致」の大義名分がなくなってしまいます。

このままだと経済効果どころか、「五輪不況」が起きてしまう可能性があると心配になってしまいます。

東京五輪については、石原元東京都知事の招致にかこつけた大散財ぶりがすでに知られていますが、あれだけの無駄遣いを見せつけられて、今さら「お金がないから皆さんボランティアしてね」では、やはり抵抗があります。

本間さんは、そういう意味で注意喚起をしているわけです。「感動詐欺」には騙されず、労働の対価はちゃんと貰いましょうということです。

「お金がないから」というより、最初から「無償ボランティアありき」で五輪の計画が進んでいる(らしい)ことも、いかがなものかと思うんですよね。ちなみに、その募集をしている側のJOC役員の破格の報酬(年6,000万円とも)や高い手当(日当など)も問題になっています。

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通訳すらボランティア頼みの「ブラック五輪」

ボランティアをお願いしていいことと、してはいけないことが混在していることも、今回本間さんの指摘の1つです。

たとえば、「通訳」です。

通訳は専門性が高く、その資格を取るまでに勉強しているわけで、「先行投資」がされている分野です。五輪などはまさに、その通訳の一番の活躍の場となるはずなのですが、その通訳のボランティアも募集されています。

五輪で、通訳をボランティアでやれと言われてしまうと、職業通訳はいつ仕事をしたらいいんでしょうか?非常に疑問です。

そういえば、最近では作詞家秋元康さんの「クリエイターは無償」発言もありました。秋元さん自身が創造活動で生業を立てている方なので、この発言も不可解です。現在は決して恵まれていないクリエイターの待遇改善に、最も努力して欲しい方です。

ボランティアは全てダメということではなくて、雇用に悪影響を与えるものには反対です。
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三宅雪子の「こわいものしらず」』(2017年6月2日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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3年3ヶ月の与野党国会議員の経験を生かし、三宅雪子独自の語り口で、あたたかみのある中にも、言うことは言う「こわいものしらず」なコラムを展開します。加えて、「教えて!○○さん」「名言・迷言・明言」「永田町コトバ」「ヒトリゴト」「話はそれますが…」など、私的なコンテンツもローテーションでお届けする予定です。

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