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「金貨を買えない時代」がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! その理由はどう見ても…

直近の金貨生産量が大きく減っていますが、地政学的リスクが高まるなか、需要が減少しているとは考えられません。供給不足の原因は、データを見るとわかります。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2017年6月15日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

原材料不足で「金貨・銀貨を買えない時代」が到来?データで検証

金貨は「引っ張りだこ」のはず

米国造幣局による金貨および銀貨の2017年5月生産実績をグラフにまとめました。

異常に少なかった4月実績よりは回復したものの、5月の生産量もやはり少ないです。需要が減っているからだとする意見もありますが、そうは思えません。どう見ても、原材料が不足しているとしか考えられません。

まとまらないギリシャとの協議、くすぶり続けるイタリアの銀行危機、トランプ政権の脆弱さ、深まる北朝鮮問題、解決が見えないシリア問題、各地で頻発するテロ、イラン問題、悪化を続ける世界経済など…危機は山積しているのですから、金貨は引っ張りだこのはずです。

著者は、原材料不足によって金貨・銀貨を買えない時代が来るのかもしれないと妄想してしまいます。

下記、グラフで状況を把握しましょう。すべてY軸の上限量は同じにしていますので、比較してください。

<金貨の生産販売量>

(ア):2015年通年の金貨(イーグル+バッファロー)生産販売量
(イ):2016年通年の金貨(イーグル+バッファロー)生産販売量
(ウ):2017年5月までの金貨(イーグル+バッファロー)生産販売量

2017年1月は149,500オンス、2月は42,500オンス、3月は29,500オンスだったのが、4月はなんと9,500オンスでした。そして、5月は19,500オンスでした。

<銀貨の生産販売量>

(エ):2015年通年のイーグル銀貨生産販売量
(オ):2016年通年のイーグル銀貨生産販売量
(カ):2017年5月までのイーグル銀貨生産販売量

2017年1月は、5,127,500オンス、2月は1,215,000オンス、3月は1,615,000オンスでした。
4月はたったの835,000オンス、そして、5月は2,455,000オンスと増えました。

<月平均生産量の対比(2011年と2017年)と生産内訳>

(キ):2011年の月平均生産量と2017年の月平均生産量(5ヶ月間だけ)の対比
金貨は5割、銀貨は3割の大幅減少です。

(ク):イーグル金貨の生産の内訳(2017年1月~5月まで)
イーグル金貨の4種類(1オンス、1/2オンス、1/4オンス、1/10オンス)の種別生産量(オンス)です。特に1オンス・イーグル金貨の生産量が激減したまま回復していません。

例年12月に生産を絞って、翌年1月の生産量にまわして見かけの生産量を増やしています。2015年末の12月はゼロで、そのほとんどの生産分を2016年1月の販売にまわしたのですが、それでも金貨の需要には対応できなかったようです。

同じく2016年12月も抑えて、2017年1月の販売にまわしたのですが、2月にはすでに息切れ、そして3月はさらに息切れ状態となりました。そして、この4月は窒息状態だったのです。

需要が減ったという解説をする人はもはや少数派でしょう。トランプ政権が世界の地政学的リスクを増大させたというのですから、金貨も需要が増えているはずです。

また銀貨の場合は、初夏頃から材料が入手できないようです。金貨と同様12月の銀貨生産は来年度分にまわすので、出荷はゼロ近くになっています。2016年12月も抑えて、2017年1月の販売にまわしたのですが、2月にはすでに息切れ、3月、4月も息切れ、そして5月で何とか息を吹き返したような状態となりました。

Next: 金貨の生産量が減る中で「生産枚数」だけが増えるカラクリ



生産量が減る中で「生産枚数」だけが増えるカラクリ

<金貨の種類別生産比率>

(ケ):イーグル金貨の種別生産比率
生産量が激減する中、何としても見かけを良くするために生産枚数を増やしています。

2016年は全生産枚数の42%が1オンス金貨でしたが、2017年5月までの生産実績では、1オンス金貨がたったの30%です。そして小さな金貨の生産枚数を増やしています。特に1/10オンス金貨は2016年47%だったのが、2017年5月までの生産実績では53%に生産枚数を増やしています。

米国造幣局の生産能力は十二分にあり、製造設備が一部遊休状態であることは、2013年の1月の生産実績から明々白々です。

とにかく、原材料が入らないのが原因でしょう。価格が安かろうが、高かろうが、現物がなく買えない時代に突入するかもしれないと警戒せざるを得ません。

大手金鉱山・銀鉱山の中には、金価格安・銀価格安から来る赤字に耐えられず、不採算鉱山を中国の大手金鉱山企業に切り売りするところもあります。

このような状況がどこまで続くかはわかりませんが、大手ブリオンバンクは、この状況を活用して自己勘定取引で買い集めています。

6月の生産もきっと増えることでしょう。これについては、また別の記事で最新データを紹介します。

高値になっても金貨現物は手に入らない状態に

現在の金価格や銀価格が安値レベルにあるとわかっている一般人はあまりいません。これが一般人にもわかる状態となっても、すなわち高値になっても、金貨現物は手に入らない状態になるでしょう。

金融システムが英国ユーロ離脱、ユーロ圏の崩壊の可能性、ギリシャ債務危機の再燃、ドイツ銀行問題、諸銀行問題で大きく軋んでいます。どこを見ても問題山積、当然、投資家たちはヘッジファンドから資金を引き上げ、別の安全地帯に向かっています。
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※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2017年6月15日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2017年6月15日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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