日本政府は「国民が苦労して稼いだお金」を企業や外国などに分散して隠し持っていると指摘する中部大学教授の武田邦彦先生。今回のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』では、「なぜ政府は国民から税金を騙し取るようになったのか?」と題し、政治家を利用して財務省が国民から税金を騙し取る「からくり」について明かしています。
武田教授が断罪。政治家を利用し血税をむしり取るこの国のやり口
なぜ政府は国民を騙すのか?
日本の政府、企業、そして海外には私たちが働いて得たお金が推計で1000兆円もあり、それを「返して」もらえば、私たちの貯金は夫婦で2000万円を越え、もっと豊かな人生を送ることができるはずです。
それが分かっても、現在の日本人は「政治はどうせそんなことをしてくれない」と信じています。だから、日本人は政治に期待せず、衆議院議員選挙ですら投票率は53%にしか過ぎません。著者は「なんでもヨーロッパ」というのは嫌いなのですが、スウェーデンの投票率83%、ドイツの85%等に比較して、かなり低い状態です。
「だれに投票しても、お金は返ってこない」と、政治家に対する信頼感が不足しているからです。地方選挙では京都市長選の16%のように、「ほとんどの市民が投票しない」というところまで来ているのです。
政治に対して日本国民があきらめていることが、政治を悪くするし、お金も戻ってこないし、財務省が虚偽を言ってNHKが追従するというようなことを現実にしているのです。
ところで、なぜ政府は騙したのでしょうか?政治家も官僚も基本的には国民の公僕ですから、国民のために行動するはずですし、NHKも受信者の受信料で給料をもらっているのですから、本来は国民の味方のはずなのです。
Next: 「税金は取れるときに取っておきたい」政治家と官僚の本能
政治家と官僚のふざけた本能
虚偽を言った第1の理由は、「税金は取れるときに取っておきたい」という「政治家や官僚の本能」です。脱税や税金逃れが多いとは言っても、日本の国税庁はきわめて優秀で、国民からとるべき税金はかなり正確にとっています。1990年代に年金の記載間違いが5000万件もあったことと比較すると、当時の社会保険庁と税務署の力の差をしめしたことになりました。
物価は少しずつ上がるので、税金も少なくとも物価にスライドして上げていきたいし、各省庁から要求されるお金は常に不足気味ですから、常時、「税金を増やしたい」という欲求があり、そのためには「政治家を説得してなんとか誤魔化してでも増税する」というチャンスを伺う必要があります。
そこに「民主党政権(現在の民進党)」というポンコツ政権ができて、公約も守らず(高速道路無料化、家族手当など)、言うことも途中で平気で変えていたので、当時の野田元首相に公約違反の増税をやらせたのです。野田元首相は選挙で当選したとき「政治家は口で言ったことは守る。まして紙に書いたものはゼッタイに守る」と言い、「減税」を主張していたのに、議員になったら増税に踏み切るという珍しい政治家でした。
だから財務省としては千載一遇のチャンスで、「社会福祉と税の一体改革」というまったく意味の無い説明を国民にして増税に成功したのです。これにNHKがなぜ追従したのかは明らかではありませんが、NHKの予算は政府が決めるので「受信料を払う国民ではなく、予算を決める政府」の方を向いたと考えられます。
Next: 「社会的な価値の蓄積は増えているのに通貨が増えない」日本の現実
歪んだ社会、日本の現実
第2の理由は、大きな金融政策として、政府の借金(国債など)を日銀の通貨発行権を使って解消するということに躊躇したからでしょう。政府(日銀…政府と日銀は親会社と子会社の関係)は通貨発行権を持っていますから、たとえば1000兆円の国債を返すのに長期的に同額の通貨を発行して国債の分を元に戻すことができますが、これには日本の経済の状態や外国との関係で円の信頼性が傷つく可能性があり、なかなか踏み切れませんでした。
特に、現在の黒田日銀総裁になるまでは、日銀は通貨量を制限することでインフレを避け、正常な経済発展を可能にすることができるとしていました。しかし現在の状態を見ると、日本がまだ発展途上で国民が「よりよい生活をしたい」と必死に働くような環境ならば有効ですが、すでに成熟した日本社会では、民間の発展の力が弱ったときや、物に対する欲求が低くなって設備投資が少なくなったときには有効ではなかったのです。
国民の努力によって社会的な価値の蓄積は増えているのに通貨は増えないのですから、歪んだ社会になります。それが高度成長の時の日本とまったく違い、社長と臨時社員の給料の差がものすごく開いたり、失業率が低くても賃金が上がらないなどの「奇妙な現象」となって表れたのです。
(続きは当月無料の講読手続き後、2017年4月のバックナンバーをご購入ください)
<初月無料購読ですぐ読める! 6月配信済みバックナンバー>
・憲法を深く考える(4)最終回~明るい憲法改正(6/14)
・憲法を深く考える(3)~「戦争」や「軍隊」の定義(6/7)
<こちらも必読! 月単位で購入できる人気バックナンバー>
・憲法を深く考える(2)~憲法の限界(5/31)
・憲法を深く考える(1)~憲法前文と自衛権(5/24)
・すぐ給料を2倍にする方法(8)~未来の日本社会の像(5/17)
・すぐ給料を2倍にする方法(7)~お金持ちの生活(5/10)
・すぐ給料を2倍にする方法(6)~ドンドン捨てても大丈夫?(5/3)
・すぐ給料を2倍にする方法(5)~「給料を2倍にしたい」と思うこと(4/29)
・すぐ給料を2倍にする方法(4)~なぜ、政府は欺したか?(4/19)
・すぐ給料を2倍にする方法(3)~第2に、隠しているお金を出させること(4/12)
・すぐ給料を2倍にする方法(2)~政府以外にどこに赤字があるのか?(4/5)
・すぐ給料を2倍にする方法(1)~まず、ダマシを見抜くことから(3/29)
・メディアの錯覚を切る!(7)~「反権力」の妄想(3/22)
・メディアの錯覚を切る!(6)~地球の環境と利権(3/15)
・メディアの錯覚を切る!(5)~私たちの健康と病院経営(3/8)
・メディアの錯覚を切る!(4)~反日国家に塩を送る(3/1)
・メディアの錯覚を切る!(3)~反日国家に塩を送る(2/22)
・メディアの錯覚を切る!(2)~反日国家に塩を送る(2/15)
・メディアの錯覚を切る!(1)~反日国家に塩を送る(2/8)
・分別は役に立っているのか?(8)~私たちの希望を実現するゴミの捨て方(2/1)
※5月以前に配信された記事を読むには、6月分すべて無料の定期購読手続きを完了後、ご希望の配信月分バックナンバーをお求めください。
※本記事は有料メルマガ『武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実』』2017年4月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実』』(2017年4月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実』
[月額880円(税込) 毎週水曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。また、皆様のご質問にもお答えしますので、気軽にお尋ねください。