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砂漠で金を稼げと言うのか?「地方を見捨てた」山本幸三地方創生大臣=三橋貴明

記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年7月30日, 31日号より
※本記事のタイトル・リード・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

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政府の責任放棄。緊縮財政に縛られて「地方」を見捨てる安倍政権

山本幸三地方創生担当大臣「地方は稼がなければダメ」

よりにもよって地方創生担当大臣の山本幸三が、北九州市の講演で、「地方は稼がなければダメだ。<中略> 稼ぐことに頑張ろうという所はどんどん応援し、そうじゃない所は(応援)しませんということだ」と、語りました。

デフレは貨幣現象」を頑なに信じ込み、消費税増税を推進した点といい、この政治家は本当にダメです。というか、消費税増税の戦犯の1人である山本幸三を厚遇している時点で、安倍総理の亡国ぶりがわかります。

貧弱なインフラで稼げるのか?

山本大臣に聞きたいのですが、貴方は、砂漠でインフラがまったく存在せず、道路も送電線網も発電所も港も空港も鉄道も上下水道もガスパイプラインも何も存在しない地域で、所得を稼ぐことができますか?

できるはずがないでしょ? 日本の地方インフラ整備は、昭和で止まっています。日本の各地を回っている私は、まるで昭和期に逆戻りしてしまったように脆弱なインフラの上での人々の暮らしぶりに、毎度毎度、愕然としてしまうのです。

ひび割れ、長いこと補修されていない道路。高速道路は無しか、あっても片側一車線対面通行ポール立て。錆び付いた橋梁。崩壊するのではないかと怖くなるほど、古びたトンネル。単線の鉄道、しかも今どきディーゼル。鉄道の本数が少ないため、どこに行くにも自動車。道路事情が劣悪であるため、常に大渋滞。

ちなみに、一般道路を含めた渋滞による都道府県別総損失時間(人口当たり)を比較すると、意外なことに首都圏はそれほど悪くなく、岐阜県、宮城県、沖縄県、石川県、山梨県、長野県などの方が長くなっています。首都圏の場合、人口も多いですが、とにかく鉄道網の充実が半端ないため、渋滞による損失時間は(相対的に)短いのです。

Next: 「自己責任」で切り捨てられる地方。なぜ日本は公共投資を拡大できないのか?



トリニティ(三位一体)に支配された安倍政権

グローバリズムとは、規制緩和自由貿易、そして緊縮財政の3つが、常に政策パッケージとして推進されます。すなわち、グローバリズムのトリニティ(三位一体)です。

安倍政権は、グローバリズム政権です。大本の「考え方」がグローバリズムである以上、規制緩和と自由貿易、さらには緊縮財政の3つを「常に」推進せざるを得ません

とはいえ、現実の政治は「デフレ脱却」「地方経済再生」を求めてきます。もっとも、安倍政権はグローバリズムのトリニティ」に支配されている以上、財政出動といったデフレ対策に乗り出すことはできません

ちなみに、グローバリズムのトリニティはすべてデフレ化政策です。

でっち上げられた地方創生策

というわけで、安倍政権はデフレ化政策のグローバリズムを推進しつつ、金融緩和でデフレ脱却を図るという「いわゆるリフレ派」式のデフレ対策を実施し、見事に失敗しました。

地方経済再生も同じです。本来、地方創生策として推進するべきは、交通インフラの整備であり、他にはありません。とはいえ、トリニティに含まれる緊縮財政を推進している安倍政権にとって、公共投資の拡大などできるはずもないのです。

実際、地方創生策のペーパーを読むと、インフラ整備の「いの字」すらありません。トリニティに支配された安倍政権は、交通インフラの整備という正しい地方創生策は実行に移せない(もちろん、交通インフラの整備はデフレ対策としても有効です)。とはいえ、現実の政治は地方経済の再生を求めてくる。

安倍政権は、グローバリズムのトリニティを崩さない形の地方創生策を「でっち上げる」必要があったのです。

「自己責任」で切り捨てられる地方

でっち上げられた地方創生策は、当たり前ですが、「各地方は自助努力せよ。 稼げているところは地方交付税を厚くし、うまくいかないところは自己責任」と、各地方の競争を煽るという、「政府の責任放棄」的なものにならざるを得ませんでした。

初代地方創生大臣である石破茂、2代目の山本幸三。両者が共に地方の競争を煽る発言を繰り返し、「負けたところは自己責任」と、切り捨てに走ろうとするのは偶然ではないのです。

トリニティに支配された安倍政権には、はじめからまともな地方創生策など打ち出しようがないのでございます。すなわち、何かと問題がある(と私は感じる)山本幸三が地方創生大臣であるのは、偶然ではないのです。

政府の責任放棄」「地方の自己責任」式の地方創生を進める以上、地方創生大臣山本幸三は、むしろ「適材適所」という話になってしまうのでございます。

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三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年7月30日, 31日号より

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