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【8月米雇用統計】今のドル円で突っ込みトレードは禁物!109~111円を想定=ゆきママ

9月1日の月初にいきなり雇用統計が発表されます。巨大ハリケーンの影響も心配されるところですが、この記事を読んでしっかり疑問を解消していただければと思います。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

押し目買いか?戻り売りか? ドル/円は値幅が出にくい相場環境

基本的に「ハービー」の影響はなし!

まず、今回の8月分の雇用統計については8月25日に上陸したハリケーン「ハービー」の影響を気にしている方も多いと思います。なんせテキサス州ヒューストンを直撃して57兆リットル以上の雨を降らせ、800年に1度とも言われる規模の大洪水となってしまいましたからね。

しかしながら、心配はご無用! 雇用統計は12日を含む週についての調査を行いますから、まず影響は考えられません

つまり、8月の調査対象の週は6日から12日にかけてで、家計調査においては12日を含む週に働いた約6万世帯に対して電話や訪問によってヒアリングを行い、事業所調査では毎月12日を含む賃金支払い期間における賃金や労働状況について回答を求めますから、今回の雇用統計についてはハリケーンの影響を想定する必要はほぼないでしょう。

ただ、ハリケーンに備えた動きというのも多少はあるため、必ずしも影響がゼロというわけではありませんが、基本的には無視できると思います。もちろん、来月発表される9月分はハリケーンの影響バリバリなので、その点はご注意いただければと思います。

ADP雇用報告は強めで上振れも?

先行指標を見ていくと、今回は日程の関係からISM(供給管理協会)の数字は雇用統計後ということになるためヒントが少なめです。それでも、ADP雇用報告民間企業の統計における雇用者数は強めの数字となっていますから、もしかすると上振れのサプライズがあるかもしれません。

先行指標の結果(数値はいずれも速報値)と雇用統計の事前予想値

ADPと本番の雇用統計に強い相関はないですが、今週に入ってからというもの強めの指標に反応してドルが買われていますので、雇用の伸びが予想を上回って非農業部門雇用者数が3ヶ月連続で+20万人台を超えてくれば、素直に好感してドル買いが強まる可能性はありそうです。

もっとも、最重要なのは平均時給(賃金上昇率)ということになりますが、もはや期待しているほど伸びないというのが恒例となりつつありますから、予想並であれば、むしろ雇用者の伸びを重視するかもしれません。

ちなみに、平均時給の事前予想値は前月比+0.2%、前年同月比+2.6%とのことで物足りなさは残っています。相場の雰囲気が変わるためには、前年同月比で+3.0%に近い数字が出ることが必要でしょう。

Next: ドル円の基本はレンジ相場。あえて勝負するなら売りから入りたい



ドル円の基本はレンジ相場

ドル円の日足チャートを見る限り、108円台での底堅さが目立ちますね。北朝鮮のミサイル発射で108円割れを試しに行きましたが失敗しており、今回の雇用統計でも数年に1度レベルのサプライズ的な下振れがない限り、ここを崩すのはかなり難しそうです。

一方、上値に関しても先日の月末需要で110円台後半が抜けきれず、8月以降に入ってから111.00円ラインはほぼアンタッチャブルな状態です。

したがって、今回の雇用統計ではよほどの数字のブレがない限り、相場が大きく動いていくことはないと思いますので、買いにせよ売りにせよ、突っ込みすぎたトレードは厳禁かと思います。想定レートとしては、執筆時点でちょうど1ドル=110.00円程度ですから、せいぜい上下に1円程度として109.00~111.00円と見ています。

ドル円の日足チャート

1ヶ月以上、108~111円というレンジ相場になっていますから、引き続きこのレベルでの値動きが続く可能性が高そうで、これを意識してトレード戦略を練ることが重要と言えるでしょう。

短期ならレンジ下限では買いから、レンジ上限では売りから、という戦略も当然アリですが、買いか売りかのどちらかで言えば、売りからというのがゆきママの見解です。

やはり9月末までに債務上限の引き上げと予算案の成立が迫られる中、ドルは買いにくいというのが本音です。ハリケーンの被災者を救うために挙党一致で対応するのではといった指摘もあり、トランプ政権にとってプラスとの見方も増え始めましたが、まだ予断は許さないと考えています。

一応、9月19~20日のFOMC(連邦公開市場委員会)でバランスシート縮小、金融政策の引き締めが行われるため、ドルをガンガン売れるかというとそうでもない部分はありますが、これはすでに市場も織り込み済みですからね。

というわけで、先行指標もまずまずですから、予想並かやや強めの結果を想定しつつ、ドル円が上値を伸ばせば戻り売りをメイン戦略としてトレードしていきたいと思います。もちろん、あっさり111円を超えてレンジブレイクとなった場合は、一旦様子見ながらピークがどこになるかを冷静に探っていただければ。

政治ショーや北朝鮮問題などでノイズが多くなり、ドル円はやや決めうちが難しくなってきましたが、今夜の雇用統計がチャンスとなるかもしれませんから、準備を整えて活用できるよう頑張っていきましょう!

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年9月1日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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