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遂に始まった「波乱の9月相場」秋の大バーゲンセールを見逃すな=藤井まり子

日経平均はすでに売られ過ぎのバーゲンセール状態です。もしミサイルが日本列島に着弾して日経平均が1万7,000円台を割れば、大大大バーゲンセールです。(『資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』藤井まり子)

※本記事は有料メルマガ『資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』2017年9月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

すでに売られすぎの日本株。米朝関係が悪化すれば大バーゲンに

北朝鮮は9月9日の建国記念日に何をしでかすか?

9月5日からアメリカ議会が開催しています。後述しますが、ハリケーン・ハービーの被害が甚大だったことが「幸い」して、アメリカ議会での「上限債務引き上げ」はすんなりと可決される可能性も出てきました。

そして、本日9月7日(木)はドラギECBが金融政策を発表します。「直近の急速なユーロ高」は、ユーロ圏の物価を引き下げます。「急速なユーロ高」に一番困惑しているのは、ドラギECB総裁自身でしょう。この日の決定会合では、テーパリングについての議論は「封印」される可能性が出てきました。「行き過ぎたユーロ高」は止まるかも…

9月19日~21日はイエレンFOMC開催です。2017年金融界の最大のトピックスである「バランスシート縮小」着手が(たぶん10月1日から開始)発表されることでしょう。

こういった中、北朝鮮が9月3日(日)に「水爆実験」を行いました。大方の見方は、「9月9日の北朝鮮の建国記念日には、北朝鮮は6回目の核実験を断行するだろう」といった内容でした。

ですから、1週間繰り上げの「3日の6回目の核実験」には、とてもとても驚かされました。「3日にさっさと水爆実験をしたとなると、建国記念日である9月9日には、北朝鮮は何をしでかすのだろうか?」という点が、とてもとても大問題なんです。

北朝鮮は9日(?)発射のためにICBMの移動を開始した」との報道もあります。

さらに驚いたことは、前回1年前の5回目の核実験よりも、破壊力が急速に増していたこと。北朝鮮発表によれば「水爆実験」だったとのことです。アメリカ側の発表でも、今回の「水爆」は広島長崎型の6倍~10倍の威力があるとのこと。

北朝鮮は、「ICBM(大陸間弾頭弾)の先端に搭載可能な水爆」の開発に成功しつつあるということになります。

9月9日に「何もしない」という選択はない

それに対して、マーケットは意外と落ち着いた反応を示しています。日本国内の市場関係者の間には「北朝鮮の核やミサイルにいちいち怖がっていては格好悪い」といった「やせ我慢の風潮」がありますが、それは間違いです。

北朝鮮をめぐる地政学的リスク」は、9月3日以前と以降では、格段にリスクは高まっています。なにか偶発的な出来事が引き金になって、局地戦争へと突き進む可能性は、今回の水爆実験で高まってしまったのです。

北朝鮮としては、「記念すべき建国記念日」に何もしないという決断は、国民の手前「選択しづらい」

9月9日には、「ミサイルに小型の爆弾(核ではないかもしれない。そう願いたい!)を搭載して太平洋に向けて発射するのではないのか?」といった予想も成り立つわけです。

Next: 東アジアで高まる地政学的リスク。最終的な落とし所は?



東アジアで高まる地政学的リスク

にわかに、米朝間の緊張が高まって、東アジアの地政学的リスクが高まっています。

北朝鮮の水爆実験の技術的な側面を後ろで支援しているのは、ウクライナ経由のロシア技術ではないかとの情報も飛び通っています。

私たちは、どの方向へ進んでいるのでしょうか?

最終的な落としどころは、「米朝の間で『二国間平和協定』が結ばれる。これにより、アメリカは『北朝鮮の核保有は許す』が、『ミサイル開発は放棄させる』」というあたりになるのではないかと見られています。

これ以外に、局地戦争を避ける手段はないのではないでしょうか?

米朝はいずれ「二国間平和協定」を結ぶ

仲介役にスイスが名乗り出ています。11月当たりにこういった「二国間平和協定」が結ばれるのではないでしょうか?

日程としては、中国の顔に泥を塗るわけにもいかないので、「中国の秋の共産党大会(10月17日~)が終了した後に、米朝の首脳が直接会談する」などといった提案が模索されている模様です。

北朝鮮は「核を保有している国は滅ぼされないことを熟知している」ので、北朝鮮に核を放棄させることは無理。アメリカにとっては、「北朝鮮の核がアメリカ本土に届かなかったらそれでOK」なわけです。

ですから、日本の肩越しに、米朝はいずれは「二国間平和協定」を結ぶことでしょう。

日本国内では、「アメリカというお代官様が北朝鮮という悪党を退治してくれるだろう」と楽観している向きもありますが、それは無理筋な話なわけです。間違っているのです。

米朝が二国間平和協定を結ぶまで、「地政学的リスク」は高まったままと指摘できます。

北朝鮮の金正恩は案外馬鹿ではなく、あの奇妙な髪形も「馬鹿なふりをして味方を欺くため」だといった話もあります。たま~に「賢そうな顔」「正気そうな顔」をするときがあります。

「二国間協定」が結ばれるまでは、米朝の間でぎりぎりの駆け引き・攻防が続くことでしょう。どうか北朝鮮が暴走しませんように(アーメン)。

近い将来か遠い将来かはわかりませんが、米朝間で平和協定が結ばれた暁(あかつき)には、東アジアで日本の安全保障は、アメリカの安全保障からぽつりと取り残されることになります。

Next: 日本市場に「大大大バーゲンセール」はやってくるか?



日本市場はすでにバーゲンセール状態

9月4日の日経平均の終値は、1万9,508.25円。日経新聞の調べでは、この日の予想PERは13.81倍。ですから、日経平均の予想EPSは1,412.6円

日経平均のフェアバリューをPER:14.8倍とすれば、今現在の日経平均のフェアバリューは、ざっくり2万900円あたりです。

つまり、今現在の日経平均はすでに売られ過ぎ、バーゲンセール状態です。

今後、北朝鮮をめぐる地政学的リスクが日に日に高まれば、PERは13.3倍あたりまで低下することも考えられます。ですから、日経平均の下値は、ざっくり1万8,800円あたりでしょう。

1万9,000円前後に足るたびに、買い増していくと良いかもしれません。このあたりの水準が大バーゲンセール状態でしょう。

しかしながら、米朝間の緊張がさらに高まると、偶発的に北朝鮮のミサイルが日本列島に着弾することも、十分に起こりえます。日経平均が1万7,000円台の大台を割り込むこともあり得ます。こうなると、なにもかもが大大大バーゲンセール状態になります。がんばって力を振り絞って、買い増していきましょう。

米政府のシャットダウンリスクは急速に低下

なにやら真っ暗な話になってしまいましたが、暗い話ばかりじゃないです。

今回のハリケーン・ハービーはアメリカ南部を襲い、テキサスを中心に大洪水を引き起こしました。その被害は甚大です。復興支援金は1,900億ドル(およそ20兆円)との試算があるほどです。2005年のハリケーン・カトリーナの復興支援金が1,100億ドル(およそ12兆円!)だったことを考えると、今回の被害の甚大さがご理解いただけると思います。

ハリケーン・ハービーの被害のあまりの甚大さで、アメリカ議会も「上限債務引き上げ」に表立って反対できなくなりつつあるのです。

世の中、何が幸いするかはわかりません。先週までは、「アメリカ議会はバカだから、株式市場が5~10%くらい調整しなければ、債務引き上げで合意できないだろう」と、踏んでいました。今回2017年は、株式市場の調整という「神風」ではなく、ハリケーンという名の「神風」が吹いたわけです。

【関連】中東にミサイル売り込み?危なすぎる北朝鮮の金儲け戦略とセールス術=高島康司

上限債務引き上げで、アメリカ議会が紛糾する危険は急速に低下中です。ほぼ完全雇用状態での「被災地復興救済」の財政出動は、アメリカ国内の賃金を押し上げてインフレを巻き起こしてくれることでしょう。

アメリカ株式市場のリスクは、北朝鮮以外では、だんだん1つに絞れてきた感じがします。それは、9月20日のイエレンFOMCの「バランスシート縮小」着手の発表です。

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「ハービーの救済復興資金」は賃金を押し上げてインフレを巻き起こす

ドラギECBとイエレンFOMC~長期金利上昇には要注意


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資産形成・マクロ金融deあそぼ♪ − 貞子ちゃんの連れ連れ日記』(2017年9月5日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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