先週末「中国がビットコイン取引所を閉鎖へ」との報道が流れてBTC価格が急落。いまだ真偽は明らかになっていませんが、この情報の信頼性を考えてみます。(『【確定版】メダカの仮想通貨・ビットコイン投資』メダカ)
※本記事は有料メルマガ『【確定版】メダカの仮想通貨・ビットコイン投資』2017年9月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:メダカ
横浜在住の会社員。学生時代から株や商品相場を追いかけ、最近は仮想通貨(暗号通貨)投資に重点を置いている。仮想通貨取引所「コインチェック」のチャットにときどき出没。国際情勢についても造詣が深い。
中国のビットコイン規制はどこまで本当? 真実を見抜くポイント
報道でビットコイン価格が急落
原稿執筆時点(9月11日 午前7時00分)で中国当局が本当に規制に乗り出すのか、騒動の真相は明らかになっていません。記事の最後に載せたサイトに経緯がよくまとまっているので、詳細はそちらに譲ります。本稿では、今後も役立つような情報の判断、つまり真偽の評価方法にポイントを置いてお話ししましょう。
ポイント1:チャットは有事には敏感に反応する
発端は中国メディアの報道でした。
金曜の夜に突然BTCが下がりだしたので、私もあれ?と思いチャットを覗いたところ、中国当局が何かの規制をしたらしいという発言がありました。チャットは発言内容の信頼性はピンキリというか、ほとんどが情報を含まないおしゃべりの場です。しかし何かが起きると早耳の人が発言するので、異変を感じるには便利です。
ポイント2:ツイッターは発信者の特徴を知っておくといざという時に便利
この点、ツイッターは過去のツイートを見ればその人物がどんな情報を発信してきたのかが一目瞭然。情報の信頼性もかなりわかります。
そこで中国情報に強いツイッターのアカウント(@cnLedgerさん・個人なのか不明)をチェックすると、すぐに中国メディア「財新」のネット報道が震源だとわかりました。当局が暗号通貨と(法定通貨の)元の交換停止を検討中という内容でした。
中国語はわからないのですが、あとから同誌の英語版もツイッターのリンクをたどって記事を読み、@cnLedgerさんの情報が正確であることを確認しました。
ポイント3:メディアのスクープ報道の信頼性は情報源に注意
しかし英語版の記事を読むと情報源は監督当局に近いひとりの人物(a source close to regulators)となっており、当局者そのものではないことがわかります。
※参考:http://www.caixinglobal.com/2017-09-09/101142821.html
Next: 当事者に取材していないニュースは基本的に信用できない
ポイント4:当事者に取材していないニュースは基本的に信用できない
私は財新を知りませんでしたが、国内外の評判や同誌のサイトに掲載された多くの記事の内容からして、信頼に足る経済メディアだと考えられます。日経ビジネスもかつて提携記事を掲載していましたし、編集幹部の報道姿勢はウィキペディアでは真実を追求する姿勢を持つ人物として記載されています。
取材は当事者に確認するのが基本です。今回は監督当局と取引所が当事者ですが、財新の記事はどちらにもあたった形跡が記事からは伺えません。ここが大丈夫か?と最初に思った点です。当局に確認できない事情があるならせめて取引所に確認すればよさそうなものですが、なぜかしていない様子なのも気になりました。
すると先ほどのツイッターアカウント@cnLedgerさんは大手取引所のひとつ、OKコイン社に直接確認をとり、「当局からは連絡を受けていない」というコメントをツイートしました。すばらしい仕事です。
こうなると情報を裏付けるものが当局の事情に詳しいひとりの部外者の情報だけとなり、これだけ大きなニュースの根拠としては心もとない状況になります。
ポイント5:大手メディアでも取材していなければ信頼性はチャットと同じ
そうこうするうちに3大取引所の残るBTCCとHuobiも同様のコメントを自らツイッターで発信。ますます財新の報道の真偽がわからなくなってきました。
私はこうした状況を踏まえ、可能な限り関連情報を読んだうえで自分のツイッターで報道の真偽はどうもはっきりしないと警戒を呼びかけました。
当局が取引所を停止するという情報が事実なら一大事です。アメリカなど外国のメディアも中国の現地報道として伝えました。
日本でも少なくとも日経と共同が9日(土)に記事を配信。これで暗号通貨界隈では「やっぱり本当だったんだ」という空気が広がります。しかし日経も共同も記事をよく読むと、結局は財新の記事を引用しているだけで独自のウラ取りの事実は含まれていませんでした。つまり依然として事実は不透明なままなのです。
そこで私は大手のメディアでも直接取材していなければ信頼性はチャットと変わらないとツイートし、まだ警戒を解くべきでないと呼びかけました。
Next: BTCCの偽アカウントが暗躍。事態は収拾に向かうのか
BTCCの偽アカウントが暗躍
それから少しして、@cnLedgerさんが「BTCCの英文ツイッターの偽アカウントがある」ことをツイートしました。この偽アカウントにアクセスすると、本物とそっくりで見分けがつきません。本物は@yourBTCCなのに対し、偽アカウントは@youBTCCという違いだけ。あとはプロフィールやHPのリンクもすべて完全に同じ作りでした。では何のために作ったのか? その答えは最新のツイートにありました。
本物は「私たちは通常通り運営中です」と報道の不安を打ち消すような情報を発信していたのに対し、偽アカウントは「私たちは監督当局の指導に従い取引を停止することにしました」という完全なデタラメをツイートしていたのです!
ここまで手の込んだことをやる動機は1つしかありません。ショートを仕込み相場の下落で一儲けしようとしたはずです。
中国当局が会見を行うしかない
週末に中国共産党機関紙の人民日報の英語版が後追いし、これで決まりかと思わせる場面がありました。しかし記事の内容には独自の情報はなく、決着とはなりませんでした。
いずれにしても今回の騒動は中国の当局者が週明けにも会見を行って、報道を追認するのか否定するのか、はっきり方針を公表するまで決着がつきません。財新の報道が役所が休みとなる週末に入る、金曜日の夜という狙ったようなタイミングなのも気になっています。
このニュースが真実を伝えているのか、あるいは大誤報に終わるのかはわかりません。私自身も取材していないのに、憶測でモノを言っても始まりません。ただこれほどまでに財新の報道を裏付けるものがほかに出てこないのは、非常に不自然さを感じます。真相はどうなのか、早ければ月曜にもわかるのではないかと期待しています。
今回の一連の経緯がよくまとまっているイーサリアムジャパンの公式HPです。また、ツイッターユーザーの「墨汁うまい(@bokujyuumai)」さんは米中など外国の暗号通貨関連情報を瞬時に伝えてくれていて頭が下がります。
実験・分散投資(18週間の結果)
メダカのひとり言
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『【確定版】メダカの仮想通貨・ビットコイン投資』(2017年9月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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