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5件に1件の確率!「相続税の税務調査が入る家庭」の特徴とは?=小櫃麻衣

今回は、相続税における「税務調査」について取り上げます。どういったご家庭が税務調査の対象となりやすいのか、また税務調査では具体的になにが調査対象となるのかなど、一から詳しく説明させて頂きます。(『FPが教える!相続知識配信メルマガ☆彡.。』小櫃麻衣)

どんな人が目を付けられる? 相続後に焦らないための基礎知識

税務調査の対象になりやすい「相続税」

一口に税務調査といっても、相続税だけが税務調査の対象となるとは限りません。相続税のほかにも、所得税法人税なども税務調査の対象となります。

よく所得隠しなどによる脱税容疑で逮捕者が出たというニュースを聞くと思います。しかし、相続税の脱税によるニュースはあまり報道されることがないので、「相続税については税務調査はあまり気にしないでいいんじゃないの」と思われるかもしれません。でも実は、相続税が税金の中で最も税務調査の対象になりやすいのです。

なぜ相続税が狙われるのか

では、なぜ相続税が税務調査の対象になりやすいのでしょうか?

結論から申し上げますと、相続税が税務調査の対象となりやすい理由は、税金の額が高額になりやすいからです。

相続は一生のうちに何度も経験することではないので、相続に関する専門知識がないまま、相続の手続きを終える方が多くいらっしゃるのが現実です。

その分、どこまでが相続財産なのかという線引きが曖昧になってしまい、結果的に本来申告すべき財産を評価せずに相続税の申告を終えてしまう方が多いのです。

そこに目を付けるのが、税務署です。相続が発生し、死亡届が市区町村役場に提出されると、その情報は税務署に提出されます。これによって、相続が発生したという事実を税務署が把握することができます。

税務署は独自の権限で、被相続人が所有していた不動産や預貯金・株式・生命保険の加入歴や、年収まで把握することができます。ですので、これだけの財産があるのにこれしか相続税を納めていないのはおかしいといった判断によって、税務調査の対象となることがあるのです。

被相続人の財産は一生をかけて築き上げてきたものが多いので、その分、何かひとつでも申告をし忘れていれば、相続税の申告漏れも莫大な金額になりやすいのです。

それに加えて、申告漏れの罰金として未納だった相続税額の35%以上の金額を追加で納めなくてはならないので、かなりの負担になることに間違いありません。

Next: そもそも「税務調査」ってどんなもの? 断れる?



そもそも「税務調査」ってどんなもの?

続いて、そもそも「税務調査」ってどんなものなのか?ということについて説明します。

税務調査に入られる=悪いことをして取り調べられている」と思ってしまう方がいるかもしれませんが、そんなことはありません。あくまでも税務署は被相続人の財産がどういった形で相続されたのかということを知りたいだけなのです。

税務調査と聞くと、いきなり捜査員が自宅に押し入ってきて調査を始めそうと感じるかもしれませんが、税務調査の対象になれば事前に担当者から連絡がきますし、調査当日も税務署からの質問に答えていくといった形式で調査が進んでいきます。

ちなみに大半の税務調査は任意調査です。

しかし、任意調査だからといって、実際に断ることは難しいですし、逆に非協力的な態度をすれば怪しまれる可能性もありますので、万が一任意調査の連絡が来たら、協力的な対応で臨むことをオススメします。

税務調査の対象になる確率は?

税務調査において気になる点。それは、どれぐらいの確率で税務調査の対象となるのか、またどういったご家庭に税務調査が入りやすいのかということだと思います。

確率で言いますと約20%、つまり5件に1件の割合で相続税の税務調査が行われていることになります!

ちなみに法人税や所得税においては、3%~5%の確率で税務調査対象になると言われておりますので、どれだけ相続税が税務調査対象になりやすいのかがおわかり頂けたかと思います。

Next: どんな家が税務調査の対象になるのか?



こんな家は税務調査に入られやすい

5件に1件の割合で行われる税務調査ですが、その対象になりやすいご家庭というのがあります。

まず、税務調査の対象となるご家庭は、大前提に相続税の納税義務のあるご家庭であることはなんとなく想像がつくと思います。

しかし、相続税の減税措置である控除特例を使うことによって大幅に相続財産の評価額を下げることもできますので、控除や特例を使わなくても相続税が発生しない、つまり相続財産が基礎控除額内に収まるといったご家庭では、税務調査の対象になることは少ないでしょう。

ここまでお話しすると感の鋭い方はお気づきになるかもしれませんが、まず税務調査の対象になりやすい1つ目のポイントは、相続財産が高額なご家庭。

具体的な金額を挙げると、3億円以上の資産をお持ちの方が亡くなった場合には税務調査の対象になりやすいと言われています。

ちなみに全国の相続税申告の遺産総額の平均は2億5,000万円と言われています。

相続財産が高額になれば、評価しなければいけない財産も増えるので、その分、評価額の計算ミスもあるだろうといった具合で税務調査の対象になりやすいのです…。

遺産総額が3億円を超えた場合には、相続税の申告書に特段怪しい点がなくても、税務調査の対象になりやすいので、注意が必要です。

Next: 税務調査の対象になる人の「3つの特徴」



税務調査の対象になる人の「3つの特徴」

富裕層の方に税務調査が入りそうというのは、なんとなくおわかり頂けるかと思います。ですので、遺産総額が大きくなりそうな方に向けて、税務調査の対象になりやすい3つのポイントについて解説していきます。

<(1)相続人名義の預貯金が多額にある>

相続人ご自身で貯めたお金であれば、もちろん何の問題もないのですが、相続人が専業主婦であったり、学生であったり、また収入に見合わない額を貯蓄していれば、被相続人から生前贈与を受けていたのではないかと疑いがかけられます…。

実際に被相続人からの贈与があり、贈与税の非課税枠である、年間110万円を超えているのにも関わらず贈与税を納めていなければ、贈与税も支払っていないですよねと突っ込まれてしまいます。

また、相続開始3年以内に行われた贈与に関しては、全額が相続財産とみなされますので、相続税申告の際に申告していなければ未申告財産になってしまいます…。

<(2)相続人名義の口座を被相続人が管理している>

また、名ばかり贈与といい、相続人名義の口座であるのにも関わらず、被相続人が口座の管理をしていたとしたら、それは相続人の財産ではなく、被相続人の財産とみなされます。

つまり、相続税の申告の際に、その口座の存在を明らかにしておらず、未申告のままにしておくと、税務調査の際に未申告財産として、追加課税されてしまうのです…。

<(3)証券口座があり、残額が多額にある>

また、これに付随して、証券会社に相続人名義の口座があり、残額が多額にある場合にも、税務調査の対象になりやすいといえます。

本当に相続人が証券会社に口座開設したのか、また学生である相続人が本当に株の売買をしているのか、配当金が被相続人へ振り込まれるようになっているのに、相続人本人の口座と言えるのかなどなど…。

税務調査で一番重視されるのは、他でもなくお金の動きです。税務署は簡単に被相続人や相続人のお金の動きを把握することができます。バレないからいいだろうという考えは禁物です。

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FPが教える!相続知識配信メルマガ☆彡.。』(2017年9月1日, 4日, 6日, 8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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[ほぼ 平日刊]
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