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【12月米雇用統計】夢から覚めた市場。弱い数字には一定の警戒が必要に=ゆきママ

明けましておめでとうございます。相場に目を向けると、申酉騒ぐという格言通り、新年早々ドル円相場は大荒れとなっています。さらに本日発表の雇用統計がここに加わるわけで、ますます混沌としてくるかもしれません。それでは、今回も雇用統計の結果と相場の先行きがどうなるかを紐解いていきますので、どうぞよろしくお願いします。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

解けはじめた「トランプの魔法」今回はショート目線に妙味あり

冷め(覚め)始めた市場!弱い結果には要注意

トランプ勝利後は、まさに魔法にかけられたかのように円安・ドル高の流れが続きました。11月9日には101.18円をつけましたが、そこから上昇は止まらず、12月15日には118.66円を記録しており、わずか1ヶ月ちょっとの間に17.5円も上値を伸ばしたことになります。

この値動きの原動力となったのは、言うまでもなくトランプへの期待感であり、特に目玉である法人税の大幅な引き下げによって、アメリカ経済はインフレが加速し、バブル状態になるといった見通しに基づくものです。

しかしながら、現実にはトランプはまだ大統領に就任しておらず、政策の実現性についても徐々に市場の見方が厳しくなり始め、ドル円相場もやや踊り場に差し掛かっているというのが、ここまでの流れとなっています。

つまり、ある意味でドル円相場にとってはトランプが今後どうするのかということが最も重要であり、本来であれば今日の雇用結果がどうなろうとあまり関係がないわけですが、市場が熱狂から覚めつつあることも考慮すれば、弱めの数字により警戒すべきでしょう。

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相場全体が軟調な推移となっており、今の市場は「覚める」と「冷める」という二重の意味で、そろそろ現実に引き戻されつつありますから、よほど強い結果にでもならなければ再点火して120円を目指すといった雰囲気にはなりにくいと思われます。実際、先行指標はかなり好調な数字が並んでも、さほど反応はありませんでしたからね。

やはり、どちらかといえば弱めの結果となった時の方が反応としても大きくなりそうなので、そうなった場合は要注意です。

先行指標はまずまずで、市場もニュートラルな状態

それでは、先行指標事前予想値を見ていきましょう。まずは先行指標からとなります。

先行指標の結果(数値はいずれも速報値)

ADPが発表した民間部門の雇用者数弱含みで、ISMの発表した雇用指数も一見すると冴えない感じです。ISMの非製造業部門に関しては、大幅に弱まった感もありますが、前回があまりに強すぎたことを割引く必要はあるでしょう。昨年1年間を通してみれば、改善傾向は変わらずですからね。

前月比で見ると全体的に赤い数字が目立つので良好とは言えませんが、大きな問題のある数字はないので、概ねまずまずでしょう。ただ、期待感はさほどないので、ハードルはそれほど高くなさそうです。

そして、事前予想値については、非農業部門雇用者数が+17.5万人、失業率が4.7%、賃金上昇率は前月比+0.3%(前年比+2.8%)となっています。賃金上昇率は強めの数字に見えるかもしれませんが、前回(11月)が−0.3%とかなり弱く、この反動を見ているためで、期待感が高まっているわけではありません

したがって、市場はニュートラルな状態にあるでしょう。予想並みの数字が出てくれば概ね問題ないものと思われます。

Next: 今回はショート戦略が有効に? 想定レンジとエントリーポイント



直前のレートによってはチャンスもありそう

冒頭でお話ししたように、今の相場の根本にあるのはトランプへの期待感ですから、本質的に雇用統計の結果でどうこうという状況ではありません。ただし、弱めの数字には警戒すべきと考えていますので、下値を重く見て想定レートは1ドル=114.50~116.50円としておきます。

具体的な戦略について考えていくと、今回は予想を上回る良好な結果が出たとしても、すでにトランプによって今年の景気が上向くことは織り込んでいますから、どんなに上昇しても、上値のポイントである118.60円の抵抗を一気にブレイクしていく理由にはなりづらいでしょう。

しかも、ここまで117円から118円にかけての水準では売りが強く反落を繰り返していて、仮に強めの結果が出たとしても上値攻略は難しそうですから、発表直前のレート116.50円に近い、あるいは超えているようであれば、ショート(売り)から入るのが有効となりそうです。

それから、直前のレートが115円台であった場合にどうかというと、ここでは心理的節目でもあり強い抵抗帯となっている115.00円近辺を明確に割り込んで、さらに下の110.00円ラインを目指すかどうかが鍵となります。

しかし、押し目買い意欲は相変わらず強く、ネガティブサプライズ級のショック、つまり雇用者数、賃金上昇率もマイナスといった数字でもなければ、瞬間的に割り込む場面はあっても底抜けは難しそうなので、直前のレートが115円台であればショートから入るのは控えるべきでしょう。

また、ロング(買い)からのエントリー、この雇用統計に限っていえば、ほとんどチャンスはなさそうです。強い結果が出ても上値余地は限られていますし、弱い結果が出た際の底抜けリスクを考えると、短期的には自信を持って入れる状況ではありませんからね。

今年の戦略のベースになるのは円売り・ドル買いとなりますが、こと今回の雇用統計に関しては、あまり強気にはなれませんし、予想並みの結果であればさほど動かなそうなので、直前のレートを見てチャンスであればショートからと考えています。

というわけで、今回の雇用統計はあまり旨味がなさそうなので、無理してまで参加する必要はないと思いますが、発表前のレートを見て判断して頂ければと思います。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年1月6日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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