年末にあった程度の調整は、これからもあるでしょう。どれほど強い上昇相場にも調整はつきものですから、2017年の年初にも、2016年末と同じ程度の調整が来るかもしれません。しかし、2016年の初頭にあったような日経平均が短期間に4,000円近くも下げるような「暴落」が起こる可能性は低いし、2017年の相場はおおむね堅調だろうと予想しています。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2016/12/31号より)
プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。現在は、自動売買ソフトの開発、投資教室、メルマガの執筆など、多忙な日々を送っている。
2017年相場はしばらく(長ければ夏まで)上昇傾向が続く可能性も
年末の調整は何だったのか
例年、年末の相場は上昇しやすく、特に昨年のように強い流れの中で年末を迎えた場合、いわゆる「掉尾の一振」という年末独特の上昇が見られることが多いものです。
ところが昨年末は、28日の夜にNYダウが100ドルあまり下落したあと、29日(木)の東京市場で日経平均が250円ほど下落するという、ちょっとした番狂わせとなりました。
12月中旬以降ずっと海外時間に日経225先物が上昇しても、東京市場では売りが優勢で弱い傾向が見られ「なんだか嫌な感じだな」と思っていたところに、29日の下落です。
29日の調整でも、例によって「国内の個人投資家が売った」のでしょうが、年末で外国人投資家の買いが止んでいたためにやや大きな下落になったのだと思います。
年初の調整は「ない」か「限定的」
2016年末の調整を目のあたりにして、「2017年の年初には、さらに大きな下落があるのではないか?」と心配している投資家も多いのではないかと思います。
しかし僕は、年初の調整は「ない」か、調整があっても「限定的」だろうと予想しています。昨年末の調整は、年始の調整の先取りだったかもしれず、「これで年末年始の調整が終わった可能性あり」と考えています。
…これは、買って越年した方にとっては安心材料ですが、売っていた方にとっては、ちょっと嫌な見解ですね。
年末の下落は「為替の調整」だった
29日からの下落の「震源地」は「為替(米ドル/円)」でした。120円を手前に伸び悩み、停滞していた米ドル/円がクリスマスや年末にからむ手じまい売りで下落。それが日経平均に波及したのです。ちなみに本誌で言う為替の「下落」とは、「ドル円レートの下落」つまり円高を意味します。
そもそもテクニカル的に見て、米ドル/円は「115円まで下げて当然」という状況にありました。116円に接近する程度の下落は「あって当然」の調整でした。その「米ドル/円が下がりやすい(円高になりやすい)」という状況は、12月31日現在でも変わっていません。いぜんとして、まだ「いつ115円まで下げても、おかしくない」チャートのままです。
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