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「次の世界金融危機にはどの国も対応できない」中央銀行のなかの中央銀行・BISが警告

各国中央銀行をメンバーとし「中央銀行のなかの中央銀行」とも呼ばれるBIS(Bank for International Settlements・国際決済銀行)。そのBISが先月28日に発表した年次報告書に、「各国中銀は弾薬を使い果たしており、次の世界金融危機では戦闘不能になる」との気になる警告がありました。メルマガ『いつも感謝している高年の独り言』が詳しく解説します。

弾薬を使い果たした各国中央銀行は「戦闘不能状態」に

BIS(国際決済銀行)の警告

次の世界金融危機(もしかすると現在進行形の世界金融危機)が起きた場合、各国中央銀行の弾薬が枯渇しているため対応不能であるという、BIS(国際決済銀行)の警告レポートが公開されました。

遅すぎるのかもしれませんが紹介します。英国テレグラフ報道です(6月28日付)。ポイントを見ていきましょう。

膨張し続ける「低金利バブル」

前回の危機の後始末で、世界中の中央銀行は持っている弾薬を完全に使い果たした。それゆえ、次の世界金融危機が発生した時には戦闘不能になっているだろうとBISは警告する。

中央銀行の中央銀行と呼ばれるBISが、年次報告書の中で金融財政政策に対して酷評したのだ。世界各国は自国経済を浮遊させる為に金利を繰り返し繰り返し下げてきた結果、壁際まで自分を追い込んだと警告したのだ。

この世界中での低金利政策の下で流れ出した「借入コスト激安のイージーマネー」が危険な賭博投機に変化し、鉄火場に油を注ぎ、その結果バブル膨張が起き、結果破裂しそうになるたびに金利を下げ、それを繰り返し繰り返し、ここまでやってきたのだ。

「考えられない範囲まで戦線が拡大」限界点を憂慮

BISの財政経済局のトップ Claudio Borio氏は、
「2008年危機以降の景気回復が弱かったため、世界中の中央銀行は、真っ暗闇の中で、何とか確実なものを探し出そうとして極端な低金利を続けた。景気悪化の対策だと言うかもしれないが、むしろ金融バブルの膨張に油を大量に注いだのかもしれない。本当は調整すべき時に調整することができず、遅れたのかもしれない。結果として債務は膨れ上がり、成長はほとんどできず、金利は余りにも低すぎる。つまり低金利が低金利を産む状態に陥っている」
と警告した。

BISは、あまりにも長期間の低金利政策が災いし、次の危機の時には、もうこれ以上金利を下げるのは事実上不可能で、有効な対策が残っていないと警告しているのだ。

そのことを「これまでの財政措置は、すでに限界点を超えてしまい、考えられない範囲まで戦線を拡大膨張させてしまった」と表現している。

マイナス金利の異常性に言及

EU圏、デンマーク、スウェーデン、スイスの中央銀行は、金利をゼロ以下のマイナス金利にして経済を浮揚させようとしている。昨年のマイナス金利政策は最も異常な動きであったとしている。

さらに、世界人口の老齢化が進み、公的債務を世界人口で負担するのは年を追うごとに苦しくなっている。ところが政治家は、債務を増やして一時的な景気の上昇に頼りすぎており、必要な苦しい選択を選ばない。

政治家は、成長を阻害する債務(公的資金、財政支出増加)に依存するのではなく、歳出側で正しい改革をする事に焦点を絞るべきであると結論付けている。

この警告に関して、中央銀行総裁たちは どのような回答を持っているのでしょうか?

私にはわかりりません。打つ手はないのです。

借金を重ねて、景気を浮揚させると主張する政治家・中央銀行総裁は、素晴らしい演劇人です。有効な手段を持っていないのに、持っているフリをするのは大変なことだからです。

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いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2015年7月15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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