fbpx

【米大統領選】共和党・トランプ氏が他候補に仕掛けた「巧妙な罠」=冷泉彰彦

2016年アメリカ大統領選挙にむけ、白熱する各党の候補者指名レース。

なかでも注目度ナンバーワンは「不法移民は強制送還」「ISIS撃滅作戦に地上軍派遣」など過激な発言を繰り返し、日本に対しても強硬姿勢を表明した共和党のドナルド・トランプ氏です。

米国在住の作家・冷泉彰彦氏は、直近の支持率動向から、トランプ氏の躍進が「冗談では済まなくなってきた」と分析。共和党の他候補や民主党のヒラリー・クリントン候補がトランプ氏の“暴論”に反論できない理由を解説しています。

冗談で済まなくなってきた「トランプ旋風」

2位以下を大きく引き離したドナルド・トランプ共和党候補

共和党の大統領候補選びにおける「ドナルド・トランプ」の躍進という問題ですが、前回から1週間を経て事態は、予想した方向とは異なった様相を呈してきました。

私は、「失言大魔王」であり「ポピュリズムを言語化するお笑い芸人」に過ぎないトランプは、選挙戦の「前座」に過ぎないのであり、むしろ「選挙戦への注目度をアップする効果」として、共和党全体の党勢拡大にはプラスと言う見方をしていました。

要するに、いずれトランプは失速し、本格候補が浮上していくだろうという楽観論です。多くの政治評論家も「トランプ現象は政治リテラシーのない視聴者を動員した一時的なもの」としており、私も全く同感だったのです。

ですが、ここ1週間の動向を見ていますと「そうでもない」つまり「トランプ現象」というのは、冗談では済まなくなってきているのを感じます。3点指摘したいと思います。

(1)トランプ氏が他候補に仕掛けた「巧妙な罠」

まず、トランプの支持率が相変わらず「ダントツ1位(CNNでは25%)」である一方で、保守本流と見られていたジェブ・ブッシュ、スコット・ウォーカー、マルコ・ルビオといった候補がいずれも5から9ポイント数字を下げているという状況があります。現時点では2位以下には「誰も2桁支持率の候補はいない」というのですから深刻です。

ライバル達から見れば、トランプの政策などバカバカしくて相手にできない面はあるでしょう。

例えば16日の日曜日に放映された政治対談番組『ミート・ザ・プレス』に出演したトランプは「不法移民は強制送還」「ISIS撃滅作戦には地上軍派遣」などといった、「相変わらずのネタ」を真顔で提供して吠えていました。そしてその「話芸」は依然として注目こそされ、批判はされないという状況です。

もちろん、どちらも非現実的です。ですが、本流の候補としては今こうした「トランプの暴論」を批判するのは大変に危険なのです。

というのはどんなに精緻な論理で批判しても、トランプ批判というのは「自分は不法移民を許す」とか「自分はISIS作戦に地上軍は出せない」といった「一見すると弱気な政策」に見えてしまうからです。一種の罠がそこにはあります。

その「罠」に関しては各候補は気づいているわけで、そこをスルーするという戦術は分からないではないのですが、一方で、現代というのはメディアやSNSが発達した「異常なまでの情報スピード社会」であるわけです。

そのスピード感からすると、「ネタ」であっても「吠え続けるトランプ」に対して、「十分な批判ができない本流候補」を対置すると、後者の印象がどんどん薄くなってしまうわけです。その「負のスパイラル」が回り始めています――


好評配信中の有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』8月18日号では、このほかにも、

(2)トランプ氏を批判しないヒラリー・クリントン民主党候補の謎

(3)対抗すべき民主党に勢いなし、そのドタバタ劇の内幕

について詳しく解説。「本命のはずのジェブ・ブッシュ(共和党候補)については、この辺で大きく浮上するキッカケをつかまないと、本当に後がないことに」なると結論づけています。

冷泉彰彦のプリンストン通信』8月18日号 目次
1.巻頭言
冗談で済まなくなってきた「トランプ旋風」
2.メイン・コンテンツ「プリンストン通信」(第77回)
戦後70周年「安倍談話」の周辺
3.連載コラム「フラッシュバック70」(第59回)
4.Q&Aコーナー

2016年米大統領選は、世界の政治はもちろん、日本の経済や金融市場にも大きな影響を与える注目トピック。有料メルマガは初月購読無料、当月バックナンバーは登録後すぐに読めますので、ぜひあなた自身の目でアメリカの政治動向をチェックしてみてください!

冷泉彰彦のプリンストン通信』(2015年8月18日号)より一部抜粋

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

冷泉彰彦のプリンストン通信

[月額864円(税込) 毎月第1火曜日・第2火曜日・第3火曜日・第4火曜日]
アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、「アメリカでの文脈」をお伝えする。「日本を少し離れて」見つめる。この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらTwitterでMONEY VOICEをフォロー