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本当に幸せ?「アーリーリタイヤ」の理想と現実~ハッピーリタイヤ入門(中)=俣野成敏

今回は「リタイヤ」特集の第2回目をお送りします。前回の記事では、これまで機能してきた日本の社会保障システムが限界を迎えつつある現状と、「老後とは一体何か?」というお話をし、「労働収入がなくなり、寿命が尽きるまでを老後」と定義付けしました。本記事では、多くのサラリーマンが憧れている「アーリーリタイヤ」を中心にお話することにしたいと思います。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2017年10月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

超高齢化社会での幸せな老後(中)「早期リタイヤ」の傾向と対策

サラリーマンを辞めるのはなぜ怖い?

人間にとって、お金がどれだけ大きな存在であるのかを示すよい例があります。これはある起業家が、自書の中で述べているエピソードです。

私がこれまで人生で一番不安を感じたのは、本格的に起業家になるために会社を辞めた日だ。明日からもう給料はもらえない。健康保険も年金もない、病気欠勤に対する保障もなければ有給休暇もない……。

会社を辞めた瞬間に、私は他人に雇われている多くの人がなぜ起業家になろうとしないのか、その理由がわかった。それはお金がないことに対する不安だ。収入が保証されていないこと、安定した給料のないことに対する恐怖だ。お金がない状態で長い間持ちこたえられる人間は非常に少ない。

出典:ロバート・キヨサキ著『金持ち父さんの起業する前に読む本』

上記は、金持ち父さんことロバート・キヨサキ氏が起業家としての第一歩を踏み出した時の様子です。キヨサキ氏のように、幼少の頃から起業家になるべく教えを受けてきた人でさえ、サラリーマンを辞めた時にこのように感じたというのですから驚きです。それだけ私たちは「お金がなくなることに恐れを抱いている」ということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

「念願叶ってリタイヤした後」の先にあるものとは?

世の中の多くの人が、「お金持ちになって南の島でのんびり、何も考えずに暮らしたい」と思っているようです。だったら、仮にそれをある日、とうとう実現できたとしたら、その先には何が待っているのでしょうか?

昨年(2016年)発売され、話題を呼んだ清武英利氏の『プライベートバンカー』。金融都市・シンガポールを舞台に、普段、伺い知ることのできない富裕層の生活ぶりや、彼らの資産を守り増やすことを任務とするプライベートバンカーの知られざる世界を垣間見ることができます。

物語の中では、世界一高い日本の相続・贈与税を逃れようと、多くの日本人がシンガポールに居を移し、ほとぼりが冷めるのを待っている様子が描かれています。たとえばある富豪は、毎朝、起きて「何もやることがないことに気づくのが、もっとも怖い瞬間だ」といいます。

その他、現地に溶け込めず、日本人が経営しているおでん屋で寂しく酒を飲む大金持ち。家族を日本に残し、一人異国の地で暇を持て余している元メーカーの会長等々。一言で言うと、人生に飽きてしまった人たちです。

かつて、日本には「相続人、被相続人がともに国外に5年以上居住すれば、海外の財産には相続・贈与税がかからない」という5年ルールが存在していました。

しかし2017年の4月からは、これが“10年”に変更になっています。それまで「何とか5年頑張れば」という人が結構いたようですが、10年となると、下手をすればそのまま異国の地で骨を埋めることになりかねません。

成功して、お金の不安もなくなったはずの人たち。念願叶ってリタイヤしたはずの彼らですが、必ずしも悠々自適とはいかないようです。

Next: アーリーリタイヤは「バラ色の世界」ではない。失敗事例その1



1. リタイヤは「バラ色の世界ではない」

「リタイヤ」と聞くと、多くの人は「解放された世界」だとイメージするようです。中には「やれば何とかなる」と思い、早期リタイヤを強行する人もいるようですが、計画を伴わない行動は、いずれどこかでつまずきます。まずは、事例をご覧ください。

【理想のリタイヤをするには、「計画と実行」が不可欠】

私が運営しているマネースクールにも「アーリーリタイヤをしたいのですが、いくらあればできますか?」とおっしゃる方が時々、いらっしゃいます。しかし残念ながら「いくらあれば、しても問題ありません」と一概に言うことはできません

以前、当マネースクールを訪れた方のお話です。相談にこられたのは奥さまでしたが、52歳になるダンナさまが半年前に会社を辞めた後に、転職活動もせず、今月で雇用保険が切れるという時になって、「オレはサラリーマンには向いていないから、独立起業しようと思う」と言われた、という内容でした。

このご相談の場合、ダンナさまがセミリタイヤに憧れていて、何の準備もないままに「B(ビジネスオーナー)とI(投資家)だけで生活したい」と言い出したパターンです。子供なしの2人家族とは言え、パート勤めの奥さまから「マネースクールに入会し、今ある数百万円の貯金で投資をすれば、何とかなりますか?」と言われても、何とかなるワケがありません

BとIの収入だけで暮らしていこうというのであれば、当然ながら軍資金信用力などが必要です。特に元手の必要なビジネスをする場合は、借り入れも視野に入れなければなりませんが、それには過去の実績がモノを言います。

そうした計画も準備もないままに、夢想だけで貯金をはたいても、投資のリスクは許容できません。相談にこられた方には「ダンナさまに働くようにお伝えください」とご返答する以外にありませんでした。

意外に多いのが、こうした「リタイヤ自体を目標にしている人」です。しかしリタイヤするということは、「労働することをやめる」ということですから、要は「自ら望んで、老後生活に入る時期を早めている」ことを意味します。

事例のダンナさまは、ほぼ何も準備をしていない状態で老後をスタートさせようとしていたワケですが、実際、こういう人は結構います。

Next: アーリーリタイヤの失敗事例2:ハメを外しすぎたツケが回り…



【ハメを外しすぎたツケは後に回ってくる】

次の事例は、「明日にでも会社を辞めたい」のをぐっとこらえ、我慢に我慢を重ねて、ようやく退職金が2500万円ほど支給された元サラリーマンの方の事例です。

頑張った甲斐があって、その人は退職金が1000万円ほど上乗せになりました。ところが、その人は「退職金が多く支給されたのだから」と、つい気が大きくなり、定年後に奥さまと豪華クルーズ旅行に出かけます。

その人にとって、プラスされた1000万円とは、いわば“ご褒美”のような感覚だったのでしょう。旅費やお土産代などで250万円ほどを使ってしまいました。

さらに「息子が結婚する」というので、資金援助もしてやり、あっという間に上乗せされた1000万円はなくなってしまいました。しかし、よくよく計算してみると、年金が思ったほど支給されないことが判明します。

結局、年金が出たら辞めるはずだった奥さんのパートも続けざるをえず、その人も現在、他のアルバイトを探しているところだということです。

この事例は、当事者が「いつまでに」「いくら必要なのか?」というマネープランをしっかり作成・把握していなかったために起こった失敗談です。これは「持っているお金をどこに投じて、どのように活かすか?」というマネーリテラシー以前の問題です。

それまで、月々数十万円しか出なかった給料が、いきなり1000万円単位で退職金として支給されたために、宝くじにでも当たったかのように感じてしまったのでしょうか。

一見、大きく見える数字も、以後の必要経費を考えれば、1円もムダにはできなかったはずです。なのに、せっかく上乗せされた退職金も活かせず、苦労が水の泡になってしまいました。

Next: それでも早期リタイヤしたい人は、○○○○○を意識しよう



2. それでも早期リタイヤをしたい人は

続いて、筆者自身が独立を果たした経緯をお話します。私は現在、自営業とビジネスオーナーを兼ねていますので、完全なリタイヤをしたワケではありませんが、いつでもリタイヤできる状態ではあります。

実際のリタイヤはどのようなものなのか、本当に早期リタイヤをすることがご自身の真の望みなのか等、考える際の参考にしていただければと思います。

【まずは「可処分時間を意識する」ことから始めよう】

私は、41歳でサラリーマンを卒業しました。30代をサラリーマン経営者として過ごし、1つの事業に自分の時間を捧げました。

何もなかったところから会社を立ち上げ、お店を14店舗にまで増やし、年商14億円企業に育てました。しかしそれは会社のブランドを借りてのことです。私はやがて、「自分自身の名前でどこまでやれるのだろうか?」と考えるようになり、自分の力を試してみたくなりました。

そこで1年間の準備期間を設け、独立の準備をしました。私が主に行ったのは――

続きはご購読ください。初月無料です<残約7,000文字>

【目的のないリタイヤでは「路頭に迷う」】

3. 早期リタイヤの近道とは「サラリーマンをやり尽くす」こと

老後資金3つの対策~本日のワンポイントアドバイス

「自分の老後はいつなのか?」を考えてみよう~今週の宿題


※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2017年10月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した全文もすぐ読めます。

次回予告

次回は「リタイヤ」特集の最終回をお送りします!これまで、2回に渡って「老後とは一体、何なのか?」から始まり、「アーリーリタイヤを目標にしてはいけない」ことなどについて語ってきました。
・老後破産を避けるために、何から始めるべきなのか?
・自由と責任は表裏一体
・人が過剰に保険に入ってしまうワケとは?
・老後を後悔しない生き方とは?
「増え続ける国の借金」「私たちを待つ超高齢化社会」「その中を、私たちはいかに生きるべきなのか?」等々、次回はリタイヤ特集の総括を行います。次回の特集も、どうぞお楽しみに!

【関連】いくらで人生逃げ切れる?超少子高齢化社会の「ハッピーリタイヤ」入門=俣野成敏

【関連】「逃げ切った」はずの人生を襲う、老後破産を回避せよ~リタイヤ入門(完)=俣野成敏

【Vol.71】「リタイヤ論(中)」(10/5)目次】

〔1〕イントロ:
「念願叶ってリタイヤした後」の先にあるものとは?

〔2〕本文:
「人類未曾有の超高齢化社会の行く末とは?」(中)
~少子高齢化時代の「リタイヤ」を考える~

1. リタイヤは「バラ色の世界ではない」
◎理想のリタイヤをするには、「計画と実行」が不可欠
◎ハメを外しすぎたツケは後に回ってくる

2. それでも早期リタイヤをしたい人は
◎まずは「可処分時間を意識する」ことから始めよう
◎目的のないリタイヤでは「路頭に迷う」

3. 早期リタイヤの近道とは「サラリーマンをやり尽くす」こと

★本日のワンポイントアドバイス☆★

☆今週の宿題★☆
「自分の老後はいつなのか?」を考えてみよう

〔3〕次回予告(予定):
「人類未曾有の超高齢化社会の行く末とは?」(下)
~少子高齢化時代の「リタイヤ」を考える~

〔4〕今週のQ&Aコーナー:
投資のリスクを回避する方法って?

〔5〕ニュースのビジネス的着眼点:
変わりつつある「日本の常識」

〔6〕編集後記:
当マネースクールにも通ずる古典の名作が、アンリミテッドで読み放題!

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【号外】働くなら、やっぱり外資系企業のほうがいいの?
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【Vol.54】「生命保険は結局、入った方が得?損?」(2) ~2017年の保険料改定がもたらすもの~
【Vol.53】「生命保険は結局、入った方が得?損?」(1)~2017年の保険料改定がもたらすもの~

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【Vol.49】「今から不動産って間に合うの?」(上) ~人口減少時代の不動産投資とは~

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【関連】日本のサラリーマンが知るべき「持ち家貧乏」と不動産投資の甘い罠=俣野成敏

【関連】サラリーマンの「一生働かずにすむ金が欲しい」はなぜ危険なのか?=午堂登紀雄

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俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2017年10月5日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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